死角
腕の骨折でキーボドをうつことができませんでしたが復活しましたV
「みんな準備はいいかい?」
一際大きい蜘蛛を前にかまえるクロット・リズ・トイス・ネルチャ・リンドル。
小さい蜘蛛はリアたちが何とかしてくれる。
その確証から5人はただ目の前の蜘蛛に集中していた。
それぞれが武器を構える。
「ギュゥゥゥゥゥぅウウウウ」
蜘蛛が吠えるのと同時にクロットが銃の引き金を引いた。
カンッ
金属同士が当たったかのような音
クロットの撃った弾ははじかれ、傷一つつけることはできなかった。
「かたい...」
クロットの弾をはじきながら蜘蛛は突進してきた。
その巨大な体からは想像つかないほどの速さで迫ってくる。
「速いな...クソッ」
左に跳んで避ける
クロットが元いた場所には数秒遅れて足の一本が突き刺さっている。
(地面硬かったのに...)
「ッ!」
着地するまでわずかな時間。
自由の利かないそのコンマ数秒のうちに、蜘蛛の脚がクロットを襲った。
「グゥッ」
抜いた細剣でかろうじて防御をしてみたものの威力を殺しきれず吹き飛ばされてしまう。
三メートルほど飛んだクロットは何とか空中で体勢を立て直し着地した。
「大丈夫?」
心配そうに駆け寄ってくるネルチャに
「...平気」
と答えたものの細剣を持つその手にはしびれた感覚が残っていた。
「あの敵を倒すにはどうしたものか…」
視線の先にはリズ達の攻撃を受けても傷一つついていない蜘蛛。
「起こして任せちゃえば簡単なんだけど...はぁ」
視線を移した先では離れた場所で精霊の上に乗りすやすや寝ている水気。
近寄ってきた子蜘蛛達は白が殺していた。
「白ちゃんも大変だなぁ。こっちは僕がなんとかしなきゃだよねぇ」
手のしびれも収まった。
魔具を試してみようかとポケットに手を入れたとき、クロットは蜘蛛の様子に違和感を覚えた。
クロットは自身の直観に従い蜘蛛の動きを観察した。
「こいつ硬い」
「文句言ってる場合じゃないよ」
ぶつぶつと文句を言っているリズをネルチャがなだめる。
先ほどから何度攻撃してもその固い外殻を破ることはおろか、傷一つつけることができていない。
それにこいつの動きはどこか不気味さを感じた。
それは単にその醜悪な外見だけではない...たとえるならすべて見られているようなそんな感覚。
クロットは違和感の正体に気づいた。
それは蜘蛛の動き。
前方の攻撃への対応の速さ、そして後方からの攻撃に対する反応の速さ。
蜘蛛には四つの目がある。中には八つの目を持つものまでいるという。
そして広範囲を見ることができる。
しかしあの蜘蛛の動きの異様さは視野が広いというレベルを超えていた。
四つの目を持つ蜘蛛、その死角がどれほど狭いのかはわからない。
しかしただでさえ巨大なあの蜘蛛の胴体は明らかに死角を作っている。
にもかかわらずあの蜘蛛は向きを変えるわけでもなく、トイスの攻撃を対処して見せた。
それはまるですべてが見えているかのように。
「なーる...わかちゃった」
クロットは駆け出した。




