カルタスへの途中で
「もぉいやだぁ...」
そうつぶやくのは召喚した白の背中で寝ている水気。
そして、そんな水気を呆れた顔で見るのは額に汗を浮かべながら歩いている
リア・クロット・トイス・ネルチャ・リズ・レーシア・テレ・・・
水気たちが旅立って三日目。
真上から降り注ぐ日差しを浴びながら、一行は山を登っていた。
「あれ、リンドルは?」
トイスが、リンドルがついてきていないことに気づいた。
「あぁ...リンさんならあそこです」
テレが水気の後ろを指さす。
寝ている水気の後ろで、だらしなくよだれを垂らして寝ているリンドルがいた。
「ここで道あっる?」
ネルチャが地図を見ながら先頭を歩くクロットに聞く。
「もちろんだって。ここの頂上のカラタスって村からの依頼なんだから」
水気たちが目指しているのはカルタスという村。
そして目的はその村からの依頼を解決することだった。
というのも先日、旅立ってすぐのこと・・・
クォォォォ
水気たちのもとに一羽の鳥が飛んできた。
その鳥はリアに二通の手紙を渡すと再びどこかへ飛んで行った。
「なんてかいてあるの?」
リアは手紙を開くと声に出して読んだ。
「拝啓 迷い子の皆様。
この度はギルドの設立、誠におめでとうございます。
この先皆様は旅の中で自らが考えて、誰かを助けたり、困っている方からの要望という形でクエストを進めていくことになるでしょうが、時折このような形でこちらがクエストを発行することもあります。
こ度は挨拶を兼ねましてクエストを発行させていただきました。
また、こちらが要請したクエストにつきましては、各街にありますギルド管理所の方で報酬を交換させていただいておりますので、クエストの用紙の方は大切に保管していただきますようお願いいたします。」
「へぇ...で、そのクエストって?」
「あ、これですかね?」
リアはクロットにもう一枚の紙を渡した。
『場所;カラタス
依頼内容;作物を荒らす外敵の発見及び駆除
報酬;100000S 』
「ここに行けばいいの?」
クロットは紙に描いてある地図を頼りに次の目的地を決めた。
そうしてここまで来ているわけだが...
一つだけ問題があった。
それは水気が嫌がっていたことに関係しているのだが...そして、リアたちの額に汗が浮かんでいることにも関係があった。
それはつまり...
「次っ。右から三体来ます」
「後ろと前からも二体ずつ来てます」
これで何体目だろうか…二メートルはあろうかという鳥型のモンスター、ガメル群れに襲われていた。
「これで、43体目」
数えていたらしいトイス。だがそれに耳を貸す余裕も無かった。
一匹一匹なら楽なのだろうが、その連携と何より数に一行は疲弊していた。
「ギャーギャうるさくて眠れない...」
白の上で嘆く水気。
白が代わりにガメルを倒しており、水気自身は何にもしていないのだが...ガメルが仲間を呼ぶときや、仲間と連携をするときに出す甲高い鳴き声や、本来なら聞こえるはずのない超音波に。要は睡眠を妨げる騒音被害に苦しんでいた。
そしてついに起き上がった。
「ああもぉうるさい!白、行け」
水気の指示に白は一声をあげて駆け出した。
まずは目の前にいる二体のガメルに向けて氷の刃を飛ばす。
氷の刃は前にいた一匹を切り裂き、そのまま後方にいたもう一匹へ向けて勢いを殺すことなく飛んでいく。
しかしガメルは降下することで刃を避けた。
そし地面すれすれを飛び、白に近づこうとしたのだが...
グシャッ
それを呼んでいた白が炎を纏った右前脚でガメルを踏み潰した。
あっという間に二体を倒した白は後方にいた二体のガメルに向けて駆け出した。
距離を取ろうとするガメルだったが、羽が凍りだし動かせなくなっていった。
そのまま落下していくガメルに白は見向きもしないで残りの三体へと向かっていった。
落下していくガメル。
「全部ここまでされていたら楽なのにね」
「水君を怒らせたからです」
待ち構えていたクロットとテレによってとどめを刺された。
「あの三体は視界を奪えばいいよ、あっちに任せて。西から15匹来てるからそっちをよろしく」
白に指示を出した水気。
白はすぐに西へと向きを変えた。
三体のガメルの周りに黒いガスが発生して、ガメルの頭にまとわりつき視界を奪った。
近くにいたリアとネルチャが三体に向かっていた。
白は離れた位置まで来ると、西を向いて止まった。
息を大きく吸い込んだ。
ブォォォオオオオ
白は強大な火炎放射を吐いた。
それは数百メートル先、通常の人ならば視認することさえ難しい位置にいたガメルの群れを焼き払った。
「・・・寝よ」
こうしてガメルの群れを撃退した水気たちは、他のガメルの群れが来る前に目的地であるのカラタスへと急いだ。




