人格?
今回、水気の苦手なあの人が久しぶりに登場。
静かな部屋。
その部屋に敷かれた布団と、その上で静かに寝息を立てる水気。
そして今、静かな空間を壊す。
「呼ばれて飛び出てジャジャジャ……わかってますよ。そういう雰囲気じゃないことぐらい。私、ナレーターですので」
「……すぅ」
起きない水気
「茶味さーん...起きてくださーい」
「...んん」
少しだけ目を開く水気。しかしすぐに閉じてしまった。
「なんで寝るんですか」
「...あれ?ナレーターさん?久しぶりー」
ようやく起きた水気。
「それにしてもさっきのあれ、かなりひどいんじゃないんですか?」
(あれ?)
「それよりあなたからあんなセリフが出るなんて思いませんでしたよ」
(セリフ?...俺なんか言ったっけ?)
頭をかしげる水気。
まるで心当たりがない様子だ。
「さっきのことをもう忘れたんですか?あれだけ言っておいて?」
「言ったのは僕ですよ」
水気が言った。
「初めましてになるんですかね?」
「茶味さん何言ってるんですか?」
「やはり少しわかりにくいですよね」
そういうと水気は指を鳴らした。
「あれ?なんで俺呼んだの?」
「この方が説明がしやすいと思ったので」
水気と会話しているのは…もう一人の水気
「分身ですか?」
「いいえ違います」「違うよ~」
同時にこたえる水気。
見た目はおろか、声すら同じである。
「多重人格というのはご存知ですか?」
「まぁ、一応知識としては」
「さすが、ナレーターさんですね」
「...なんかその見た目で言われると違和感がありますね」
片方の水気は苦笑いを浮かべて続けた。
「僕は彼の人格の一つです」
「...?...っえ⁉」
驚きのあまりナレーターは生まれて初めて驚きの声おあげた。
「...ちょっと。確かにそうですけど、今は関係ないじゃないですか。なので巻き戻し」
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「僕は彼の人格の一つです」
「...?...っえ⁉」
「さすがにナレーターさんも驚きましたか」
「はい...多重人格ってつらい経験を繰り返し経験した際に起きることのある、一種の自己防衛ですよね。まさか、茶味さんにそんな経験があったんですか」
「驚くことはそこなんですね」
「いつのまにか寝てるし」
水気は隣で再び眠りについていた水気を見ながら笑った」
「彼...つまり僕でもあるんですけど、今までに、普通の人ならそれこそ正気...時には自己さえも失いかねない経験をたくさん経験してきました。そしてその中の一つが僕ということです。僕たちの能力を使えば人格を形成し、実体化させるなんてたやすいことです」
「そうですか…」
「っと、そういえば最初の要件はなんでしたっけ?」
水気は重くなった雰囲気を変えようと無理やり話を変えた。
「え、えーと...なんであんなにきつい言い方をしたのかを聞きたかったんですけど、いつもの茶味さんじゃなくて、あなたが言ったんだということが分かった時点で納得しました。」
「そうですか。ではそろそろ眠りますんで...」
「あ...待ってください、最後に一つだけ伺いたいんですけど。あなたという人格は、どういう経験からできたんですか?」
その質問に、水気は少し暗い表情を浮かべた。
「いえ、言いにくいことでしたら、大丈夫ですよ」
「いえ、大丈夫です。僕という人格は.........彼のめんどくさいことを代わりにやるという名目で生まれました...まぁだから逆に得意だし、平気っていうのもあるんですけどね...」
悟りを開いたような表情を浮かべる水気
「あっ...お察しします」




