覚悟とやさしさ
「お、おい…なんなんだよお前」
辺りは血の海と化していた。
駆け付けた兵隊は残骸も残らないほどバラバラになり、すでに命はなっかた。
そこに立っているのは水気たちを襲った男。
しかし、男の顔は青ざめていた。
「殺さないの?」
男がこうなっている原因だった。
当の昔に四肢は吹き飛んだ。
体も切り刻み残るは損傷した頭部のみ。
到底生きていられるはずがない。
「もう終わりか…つまんないな」
それでも水気…茶味水気は平然と宙を漂って笑っていた。
「いい加減気づきなよ」
突然耳元で囁かれた。
「……ハッ⁉」
気づくと周りを複数の武装した兵士に囲まれていた。
腕や足には拘束具がつけられている。魔力をうまく使えない…
先に殺した兵士一人はいたが、布をかけられている。
血の海などではなかった。
「いったいこれは……」
男がつぶやいたとき少し離れた場所で少女たちの声がした。
「水気さーん」
「水気ー」
「抵抗はするな。おとなしく立て」
「…ッチ」
兵士に無理やり立たされた時、ちらっとだけ声のしたほうが見えた。
白くて大きな精霊の上で欠伸をしながら、集まった少女たちを見下ろす、無傷の水気。
「ねぇ…」
重い空気の中でリズが口を開いた。
「さっきのって…」
「夢なんかじゃないよ」
先回りして水気が言った。
ふと白が消えて水気は地面に降りた。
水気の表情はいつもの、だるさと眠たさを合わせたようなものではなく、無表情だった。
「彼は死んだ。」
・・・・・・・・
水気の言葉にみんなは口を閉じるしかなかった。
「君たちは何で武器を取らなかったんだ?」
水気は無表情で続けた
「殺意は感じなっかたわけはないんだろ。外に出ればこんなこと一度や二度じゃないんだよ。死ぬか殺すかの中でためらうのはやさしさでも何でもない。覚悟がないだけだよ」
水気が指を鳴らすとリアたちは宿に戻ていた。
しかし誰もそのことに気が付かなかった。
あとからリアたちに気づいたカルトたちが来てもしばらくその場でちすくんでいた。
水気はさっさと前まで使っていた部屋に入り寝た。




