迷い子
Diary
『x月x日
先日の突然の襲撃から二週間が過ぎた。
コウル先生とコブキ君はどうしてあんなことをしたのかな?
今回はあれだけですんだけど、この先もあの人たちと何かあるような気がする。
体育館は校長先生に訳を説明したら許しをもらえてよかった。
…まあ元々私たちが壊したんじゃ無かったから、ちょっと複雑な気持ちだけどね。
茶見さんの能力を使えば簡単に直せそうだけどめんどくさいって言い張って結局動かなかったのは呆れてしまった。
…あと、茶見さんの事だけど。
毒迷樹の煙を吸ったはずなのに茶見さんはいつもと全然変わってなかった。
お母さんに言われて嫌々病院に行ったけど、そこでも異常はみられなかったみたい。
二人と煙を一瞬で消したのは茶見さんの能力だと思うけどやっぱりすごいな~って、かっこいいな~って思ったよ。
明日はついに卒業して旅立つんだけどこの先、何があるのか楽しみだな。
それに、何があっても皆や茶見さんと一緒なら、何でもできそうな気がするしね。』
リアは日記を閉じて部屋の明かりを消した。
「君たちはこれから色々なものを見て経験して、限界を決めることなく頑張ってくれ」
台に立つワイドが水気、リア、クロット、トイス、ネルチャ、リズ、リンドル、テレ、レーシアの九人を眺める。
手には紙とペンを持っている。
ネルチャとリアに背中を押されて水気がワイドの前に出てきた。
水気は嫌そうな顔をしながら隠そうともせず口を大きく開けてあくびをしている。
「もぅ」
リアが小さく呟く。
水気の事を知らない者からは怪訝な顔をするが、水気の事を知っている者からは苦笑いとため息をこぼしている。
実際ワイドも大変だな…という感じでリアとネルチャに苦笑いを向けている。
「コホン。それでは、いいかな」
ワイドが咳払いをひとつして水気にペンを渡した。
面倒くさそうに、しかし、リアとネルチャの威圧に押されて水気はペンを受け取った。
水気がペンを持つとペンと紙が光だした。
ペンに引き寄せられるように、紙がワイドの手から離れ、水気の前に浮かんだ。
紙にはこう記されていた。
『ギルド設立にあたって。
ギルド管理局局長ラスカ・シンドルの名の元に_____________をギルドマスターとしてギルド__________の設立を許可する。』
下にはラスカ・シンドルと直筆のサインが添えられていた。
水気はあくびをしながら紙を眺めていたが、首をかしげた。
「何て書けば良いの?」
全員がずっこけた。
「昨日みんなで話し合ったでしょ‼」
リアが水気に向かって叫んだ。
「そうだっけ?」
「もう。ギルド名は“ラプソン”でギルドマスターは茶見さんでって、話したじゃないですか」
「え~…ギルドマスターって面倒くさくない?俺やだよ~」
嫌そうな顔でそういう水気に今度は反対に立つネルチャが叫んだ。
「それも昨日説明したでしょ‼って言うか、なにもしなくて良さそうだからやりたいって言ったのは水気くんでしょ‼」
「そうだっけ?…ならいいや」
思い出そうとしたが思い出せなかったので、水気は考えるのをやめて紙にペンを走らせた。
『ギルド設立にあたって。
ギルド管理局局長ラスカ・シンドルの名の元に茶見水気をギルドマスターとしてギルドラプンソの設立を許可する。』
そして、ラスカ・シンドルという直筆のサインの下に茶見水気とサインをした。
そして、一通り確認を見終えて一言。
「間違えた」
・・・・・・・・「あっ」
気づいたときには遅かった。
紙はさらに輝きを増すと水気の身体に溶けるように消えた。
ここに、“導き手”ならぬ、“迷い子”が結成された。
受験の合間に書くのは息抜きになるのかならないのか……びみょうなところだね




