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無気力チーター  作者: maiki
第一章 学校編(ロール)
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一夜の夢3


ボーー・・・・・・


テレはベッドに寝転がり天井を見ていた。

天井に何かあるわけではないがただ何となくボーっとしていた。


どれぐらいそうしているのか、何でしてるのかは自分でもわからなくなった。



どれぐらい天井を見ていただろうか。

古そうでも意外と綺麗なこの寮では数える染みもない。



「ボー・・」

何となく今の状況を口に出してみた。


返事などあるはずもないが…………

「ボー・・」


「…………ッ!?」


寝ているテレの足元からした声に慌てて反応するテレ。勢いよく起き上がった。



「…………」

そこにはベッドに腰を掛け、天井を見ている水気がいた。


水気はテレが見ていた辺りをジーッと見ている。


瞬きすらしない水気は人形かと思ってしまうほどだ。

実際テレも一瞬人形かと思った。少ししてテレの方に顔を向けるまでは・・・。



「す、水君!?」


水気はテレから視線を再び天井へと向けた。


「あそこに何かあるの?」


「え、いや、えと…………」

そこでテレは、天井を見て「ボー」っと独り言を言っていた自分を思いだし、それを見られたということに顔を赤くした。



水気は天井から再度テレに顔を向けると

「何か悩み事?」


「え、別にそういうわけで…………そ、そうなんです。実は」

ただ何となく見ていただけだったのだが、そうやって説明するのは恥ずかしいかった。


実際に悩みはあるので気にしないことにした。


「悩み事なら聞いてあげるよ。俺にできる範囲でならね。」


「…………あ、ありがとうございます」

彼に出来ないことなどあるのだろうか…それ以前に、水気からそんな風に言ってもらえるとは思ってなかったのでつい敬語になってしまった。



「ん?」


何も話そうとしないテレに水気は首をかしげた。


「じ、実は…」


テレは水気に気がつき、慌てて話始めた。

本来なら誰か、レーシアやリアに聞いてみようと思っていた事を打ち明けた。


テレが話したことは精霊の事だった。

自分の長所と言えば複数の属性を扱えること、そして属性の数に応じた精霊の数だと思ったからだ。

しかし、実際に考えてみたがよくわからない、ということしかわからなかった。

その事について水気に相談してみようと思った…最後に背のことも付け加えてみた。



「精霊か…」

水気は少し考えるそぶりを見せた。

背のことはスルーされてしまった



「精霊なら、まずは魔法について知るべきかな。」

「魔法ですか?」

「そう、魔法」


そういうと水気は両手の指を八本立てた。

「火・水・風・木・土・闇・光・ユニーク。この八つの魔法は、生まれたときから決まっていて、努力によってそれが変わることはない。それはわかるよね。」

「はい」


本当に、水気なのだろうか。テレは水気をジーッと見つめるがすぐに顔が熱くなってきて、下を向いてしまった。

(信じよう。本物だと)

テレがそんなことを考えている間も水気の講義は続いている。


「精霊のことを考えるなら先ずはここから知る必要がある。本来なら精霊は一人一体…一種類って言い方の方がいいかな?でもそれは数種類の属性を持っていること自体が珍しいからなんだ。」

再度水気はテレにここまではわかるよね。と確認する。

テレが頷くと再び話始めた。


「つまり、一属性に一種類の精霊ってことだね。で、魔法は訓練や慣れなんだけど、精霊は特訓よりも一緒にいる時間が大事なんだ。信頼ってやつだよ。」


「……信頼ですか。」

テレは一つの光が見えた気がした。

そんなテレに水気は微笑みを浮かべ


神銘しんめいとか合精ごうせい何てのが主かな?」

「神銘?合精?それは何ですか?」

「神銘っていうのは、喜怒哀楽の四つの感情に応じた四柱の神精。精霊のさらに上ってところかな。合精っていうのは誰にでも使える技じゃなくて、基本として2体以上の精霊を出せるってのが条件かな。」


水気は難しい顔をしているテレの頭に手をのせ

「まあ、ヒントはここまでってことで。もう戻るよ。」


水気はベッドから立ち上がるとそのまま扉へと向かっていく。

礼を言おうと立ち上がろうとしたテレに、立ち止まった水気は振り返ると

「そのままの小さいテレも十分可愛いよ。」

水気は扉から出ていった。



ドンッ。


・・・・・・「痛っ」


ベッドから落ちた衝撃でテレは目を覚ました。






「ハァッ…ハァッ」

暗い道場に気合いとともに響く空気を切り裂く高い音。



レーシアは一人剣を振っていた。

剣は空気を裂きその威力を示す。


レーシアは自身と剣の調子を確かめるように、1回1回を正確に振り下ろす。



何十回…何百回…汗が頬を伝うのも構わずに繰り返す。



(私はまだまだ未熟だ。魔法が駄目ならせめて剣術だけでも…)



「本当にそれでいいの?」


目の前に水気が現れた。


「…………」


レーシアはジッと水気を見つめる。

そして笑みをこぼす。


「どうした?こんなところで」

レーシアが水気に問う。


「相談にのろうかと思って」

水気はレーシアに笑顔を向ける。

「本当に?ありがとう。なら……」





「魔法について聞いてもいい?」

「いいよ」

「魔力が小さいけど、このままじゃダメだって思ってるんだ」

「使い方に工夫をしてみるってのはどうかな?ネルチャとかトイスが詳しいと思うよ。」

「…………使い方。そうか、使い方か。ありがとう」


レーシアの頼みで二人は高速で動きながら木刀を交えていた。

攻めて、守って一瞬も気を抜くことなく、それでもお互いが笑っている。


二人は今つばぜり合いに持ち込んでいた。


二人は距離をとった。


そこでレーシアが満面の笑みを浮かべた。

「そろそろ終わりにしよう。楽しい夢も目覚めなきゃ、朝が来るから」


水気は片眉を上げた。

「気づいてたの?」


「もちろん。君がこんなに積極的なはずがないでしょ。」


「ハハハ。まあね」


お互いが距離を詰める。


剣が交差し、レーシアはベッドの上で目を覚ました。






皆が眠った六時間前


ある部屋の中で一人作業をしていた。

様々な薬品が入ったビーカーが並ぶ。


「これとこれを混ぜたら…………」


ボフッ

煙が立ち上った。



「できたー。これを使えばラブラブな夢を見られる‼」



クロットの部屋から出た煙はリアたちが寝る寮に広がった。





「いやぁぁぁぁああ」

クロットは走っていた。

背後に迫り来る無数の魔物。ヤモリのような魔物、蜘蛛のような魔物、様々な魔物がクロットを狙って追いかけてくる。



ガバッ

クロットは大粒の汗を浮かべ、起き上がった。

「失敗したー」


その夜、クロットは寝る度に変わる、気持ち悪い夢のせいでほとんど寝ることは出来なかった。




朝、太陽が昇った8時半頃。

シルカはリアたちを起こしに向かった。


「あれ?」

しかし、どの部屋にも誰もいなかった。


順番に見ていき、残すは一つだけになった。


シルカは水気の部屋の扉を開けた。


水気が捨てたせいで無駄に広くなっている部屋には、幸せそうに眠る八人と…………うなされている一人がいた。


「蜘蛛はもう嫌だぁぁ」


クロットの声が響き皆が起きた。



水気の部屋で皆が固唾を飲んで見守る。

何時間たったのだろう。

少ししかたっていないような気さえする。



時計は十一時半を指していた。


その光景はさらに数分たった頃に起こった。



「ん~…ふわぁ~」

水気が目を覚まし、伸びをする。


目を擦り、二度目のあくびをし終えたとき、ようやく周りに気がついた。


「ふわぁ~~…皆どうしたの?」



水気が起きたことで全員のテンションが一気に上がった。


そして、水気が起きたときに言おうとしていた言葉。


「せーの」

発案者であるリアがタイミングを合わせ、


『お帰りなさーい』


全員の声が揃って日が昇りきった寮の中にこだました。


「…………?」

「ほら」


キョトンとしている水気をシルカが肘でつく。

水気は理解したようだが面倒くさそうに顔をしかめる。


しかし今度はさっきよりも強くシルカが肘でついた。


「…はぁ…………ただいま」

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