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無気力チーター  作者: maiki
第一章 学校編(ロール)
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一夜の夢


一同の視線が布団でスヤスヤと気持ち良さそうに寝ている水気へと集中する。

今までの心配はなんだったのかと思ってしまうほどの寝顔を見せられたら、起こすのが可哀想になってしまいそうだ。


しかし、いまの状況は少し違う。

水気はカルトやレーシア、シルカが起こしても、一向に起きる気配がない。


「でも、こうしてなかなか起きないのっていつものことだもんね」


魔法のことも含めて水気のことをよく知っている者は、こんなものだと納得している。



「しかし…突然転移していて、寝てるなんてのはおかしくないか?」

水気の魔法について知らないワイドは水気のことを心配している。

「しかも戻ったとして何で、カルトの宿なんだ?ここじゃなくて」



「確かにそうかも。」

シルカはいまのワイドの言葉になにかを感じたのか、再び思考に入った。


(仮に彼が穴に落ちた先で迷宮のボスに勝ったとして、そしたら塔が崩れるのは書に記されている通り.....ならなんで彼はここじゃなくて宿に?)



水気を見ながら、テレと話していたトイスが

「迷宮のラスボス倒したらなにか、ご褒美とか貰えたらいいのにね。そしたらテレは何がほしい?」

「そうだねぇ。私なら.....」

テレがトイスの質問にそうだねぇ、と応え、欲しいものを言おうとしたときシルカが勢いよく立ち上がった。


「それだっ!?」


皆はシルカの突然の行動についていけず、ただボォッと見ていた。


シルカは思い浮かんだ答えがおかしくないか、もう一度自問自答し、大丈夫だと判断し


「多分水気君は、迷宮のボスに勝ったんだよ。その報奨として多分…なにか一つだけ願いを叶えてくれるって言うやつだったんだよ。」


ここまで聞くと、もはや皆がシルカが何を言いたいのか理解した。


「水気君がお願いしそうな事といったら……」


ワイドはよくわかっていないみたいだがリアたちはお互いの顔を見合わせ頷いた。

皆が同時に

「「ぐっすり眠りたい」とかだね」

「多分ね」



シルカも満足そうに頷いた。





「ちょっと待ってくれ!」

シルカが満足そうに座ったのと同時に今度はワイドが勢いよく立った。


「迷宮ボスだぞ?それを彼一人で倒したと言うのか?」

やはりワイドは水気のことはあまりよく知っていなかった。


「言っちゃなんだが、彼が一人で倒せるとは、私には到底思えない。」


そんなワイドをなだめたのは親友であるカルトだった。


「おいおい、見た目で判断するとはお前らしくないぞ。彼のことならここにいる皆がその実力も含めて信頼してるんだ。」


カルトは部屋の中にいる全員を示して言った。


皆がワイドに注目する。


ワイドも皆を見て、少し落ち着きを取り戻した。

すまない、とカルトの肩に手を置き


「確かに、彼のことは皆が信頼しているみたいだな……でも、これだけは聞かせてくれ。仮に彼が倒したとして、本当に「ぐっすり眠りたい」なんて願いをするのか?」


そう言われて、やっぱりそう思うよね、という苦笑いを皆がする。


「どんな風なのかは分からないがもう少し願いならあるんじゃないかな?」


まくしたてるように言うワイドに皆はもはや悟りを開いたような顔で


「「「彼はこういう人なんです」」」


それだけを言った。



数分後


「とりあえず私は戻るよ」

「ああ、それなら私も。そろそろ宿が心配だからね」


ワイドとカルトが立ち上がり、建物をあとにした。


残ったメンバーは、この寮に住んでいるので、まだ残っている。


「いつぐらいで起きますかね?」

レーシアは呟くように、シルカに聞いた。


「ん~、どうだろうね。まぁ明日か明後日には起きるでしょ。それより皆も疲れてるんだから、早く寝なさいよ。明日からはもっとハードになるわよ」



こうして今日は解散した。




リアは部屋に戻ると部屋着に着替え、ベッドに飛び乗った。

「疲れたな~」

溜め息とともに溜まっていたモヤモヤをすべて吐き出す。


そして、考えるのはこれからのこと・・・


(卒業したらいろんな所に行くんだよね)


悩んでいると、部屋の扉がノックされた。

「はーい」


リアは起き上がると同時に扉が開き、一人の人物が入ってきた。


リアはその人物を見るやいなや目を丸くした。


なぜなら、入ってきたのは

「あれ、白頭?」

水気だったからだ。


水気は部屋のなかをキョロキョロしながら入ってきた。


「え……ど、どうして」

いつ起きたのか、呼び方、そんなにキョロキョロしないで、言いたいことはいくつもあったがうまく言葉がでなかった。


水気はそんなリアを気にすることなく、ベッドに座ると

「なにか悩んでるの?」

そう聞いてきた。


聞きたいこと、言いたいことは山ほどあるのに、自然と一つだけ口から出ていた。


「私は、もっと強くなりたいんです。魔力がどうとかそういうのじゃなくて、もっと皆の役にたてれるような……そんな強さが」


リアは自分だけが話していることに気がつき、水気を見た。

水気はずっと天井を見ていた。

色々なモヤモヤがあるが、これを聞いてもらったとき、勇気が持てたような気がした。



聞いてくれてありがとうと言おうとしたところで、水気がポツリと話始めた。


「白頭は役に立ってると思うけどな……でも、一人一人の力が大きいと、チーム全体が強くなるけど、連携にしても何にしても仲間とどうできるか、役割や得意不得意とか色々あるから。」


水気はリアの頭に手を乗せ


「でも、ここにはいろんな人がいるんだから、皆に話せば絶対力になってくれるよ。」


水気はリアの頭に手を乗せたまま、立ち上がり、「俺もいるしね」といって、笑った。


リアは顔を赤くして、固まった。



水気は部屋を出ていこうとする。



リアは手を伸ばし、

「待ってくださいっ!?」



・・・・・・・・・・・・

リアは目を覚ました。


それでもリアの顔からは不安の色は消えていた。


「私はもっと強くならなきゃ」


溜め息とともに出したなら、あとは目標に向かって頑張るだけだ。




リズはベッドに、ねころがり、天井を見ていた。


するとどこからともなく水気の声が聞こえた。


「寝れないの?」


リズは慌ててベッドから体を起こすと部屋のなかを見渡した。


扉の前に水気が立っていた。

水気は静かにリズの横まで来ると、机の椅子を引いて、そこに座った。


「チャッキーいつ起きたの?」


水気はリズの質問に答えることなく、

「悩みがあるの?」

とだけ聞いた。


リズは今、一番悩んでいることを話した。


「クロッチって、すごいなぁって思って。クロッチは私と同じ土魔法の使い手で、魔具を使った戦術とか色々あって、私には何があるのかなって思ってね」


クロッチとはもちろんクロットのことだ。


クロットは頭の回転も早く、何でもできる。

自分と同じ属性の魔法を使うからこそ、どうしても自分と比べてしまうのだ。



そんなリズの気持ちがわかっているのか、水気は

「リズはリズだから、それでいんじゃない?比べるよりも、自分で一番のものを磨いていけばいんだよ。一芸極めればなんとかって言うし。ライバルって考え方は大事だけど、前提としては仲間なんだから。リズはそれがわかるから大丈夫だよ。」


「そ、そうかな……」

リズは顔を赤くして、布団に潜った。


少ししてリズは目を覚ました。








次回、水気のお悩み相談は続きます

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