水気の過去
少女…リアが話している間目を閉じて話を聞いていたリアの父、うなずきながら聞いていたリアの母。そして・・・
「あっ、これもおいしぃ。おぉこれとこれは合うな~」
いまだに食べている…水気
・・・・・・
リアの父と母は途中で諦めていた。
「ほぉそんなことがねぇ」
「うん、だから茶見さんをここに泊めてあげてほしいんだけど…」
「それは構わないんだが、茶見君、君は今までどうしてたんだい?」
「…?「どうしてた」って、何が?」
「いや、すまない。聞き方がおかしかったかな。君は今お金がなくて、言ってしまえばたまたま助けた子が宿屋の娘だった訳だろ。」
「そうだね。そもそも助けたのもたまたまだったんだけどね。」
リアの話では水気が嫌がっていたということはうやむやにしていた。
「でも別に宿がなくてもなんとかはなったと思うよ?まぁ今さらそんなこと考えてもどうするか何てわかんないんだけどね。」
「そ、そうか。見たところ君はリアと同じぐらいの年頃だと思うが学校にはいってるのか?」
「行ってないよ~。そもそもそこまで昔のことはわからないんだから行ってたとしても覚えてないかな~」
「覚えてないのか?」
「2,3年ぐらいから前のことはなんにもわかんないよ。」
・・・・・・
水気の話で周りが黙ってしまう。
そんな中一番に話始めたのは
「それよりお腹いっぱいになったら眠くなっちゃった。どこで寝ればいいのかな~?」
......水気だった
「.........そ、それはすまない。部屋はリアに案内させる。
リア、部屋までつれていってあげてくれ。」
「う、うん。茶見さんこっち、ついてきて」
「茶見君。
私はカルト・リノアだ。妻の名前はシルカ、これからよろしく頼むよ。」
「よろしく~。」
水気とリアが部屋から出ていき。二人になったカルトとシルカは顔を見合わせ微笑んだ。
「面白い子だな。」
「そうね。これから楽しくなりそうね。」
リアに連れてこられた一室は今まで泊まっていた宿のどこよりも広かった。
部屋は二つになっておりひとつが畳になっている。二つの部屋は襖で分けられておりなかなかに落ち着いた雰囲気だ。
「ここ普段からあんまり使われてないから。ここの突き当たりに私の部屋があるから何かあったら呼んでください。」
「OK。じゃ~また明日ね~」
「あの、...........今日はありがとうございました。それではおやすみなさい。」
そう言うとリアは小走りで部屋に行った。
朝、水気が寝ている部屋にはひとつの影があった。静かに水気を見下ろしている...そして
「おはようございまーす。」
水気の布団を元気よくはがしたリアは寒さに震える水気を見てとても面白い気持ちになった。まるでこたつで寝ていた猫みたいだ。
「ん~、誰~?寒いよ~」
「もぅなんでまた布団かけようとしてるんですか。起きてください朝ですよ。」
「やだぁ~まだ寝てたいぃ」
「父さんが呼んでるんですよ。」
「あとで~」
「もぅこうなったら。
・・・我が名はリア、我が求めに応じ顕現せよ・・・水と歩みし水の精よ。」
突如呪文のようなものを呟くとリアの周りに青い蝶々のようなものが集まり形を作っていく。それはすぐに子猫のような姿になる。
「お願い。小さい水の玉を出してくれる?
それをあの人の...ってえぇ~」
リアが寝ている水気を指差そうとしたときそこに水気の姿はなかった。
するとリアの後ろから
「ねぇねぇ今のなに?どうやったの?」
水気が興味津々っといった様子でリアに詰め寄ってきた。
急に後ろから水気が近づいてきて慌てたリアは意集中することができなくなり子猫のようなものは元の小さい蝶々たちの姿になり消えていった。
「あれ?さっきの猫消えちゃった。」
リアは水気の言葉に違和感を覚えた。
「あの?水気さん、まさかとは思いますけど魔法のことも覚えていないんですか?」
「あぁその事なら、えっとね~......」
その時ドアが開きリアの母、シルカが入ってきた。
「ちょっとリア、起こすのにどんだけかかってるの?学校行く時間になっちゃうわよ。」
リアは時計を見ると
「あぁ~‼今日早くいかなきゃいけないのに~」といいながら慌てて部屋を出ていった。
「今度はおばさん?なにしに来たの?」
そんな水気の問いにシルカは笑顔で
「君を起こしに来たんだよ。リアに頼んでたんだけど、なかなか来ないし、しかも魔力を感じたから、どうしたのかと思って。」
「へぇ~あれが魔法なんだ。面白そうだね。蝶々が飛んできたと思ったら猫になったから変なの~、って思ってたんだ~。」
「水気君魔法知らないの?もしかして魔法のことも忘れてるとか?」
「さっきリアにも聞かれたけど違うよ。もともとああいう魔法は使えないんだ~。魔力も少ないしね。」
「でもリアの話だとリアを追いかけてた男を一瞬で倒したって聞いたけど。」
「あぁそれはね…」
グギュルルルルゥゥゥ~~~~
・・・
「とりあえずご飯にしよっか」