大きな存在
「それじゃいくよぉ~」
水気が一歩進むと同時にクロットとネルチャがすごい勢いで距離を詰めてきた
今度はネルチャが詠唱を唱えている。
恐らくは精霊を召喚しようとしているのだろう。
クロットは2丁の拳銃をしまいながらトイスが使っている細剣より少しだけ太いぐらいの剣を抜こうとしていた。
・・・・が、二人は詠唱を続けることも、細剣を抜くこともできなかった。
二人にダメージはまだない、そもそも行動を止めた.......というよりも動くことすらできなかった。
目の前にいる水気を見ていると意識より本能が働いた。
水気自身はいままでの気だるそうにしていたときとまるで変わらないのに見た目とは違う、感じたものの精神に響くような雰囲気を持っていた。
クロットは笑みを保つだけが精一杯だった。
水気が指をならすと..............
クロットとネルチャの頭上に最初にネルチャが使った魔法、<業炎>が現れた
それだけではない、水気の前には2頭のオオカミ.......クロットが召喚した精霊だった
続けてリアの精霊である<水の精王>も2頭現れた
予想外、それ以上に規格外とも言える目の前に広がる光景に、クロットだけじゃない、ネルチャはもちろん回りで見ていたリアやレーシア…白コートの女性までもがまばたきも忘れこの光景を見ていた。
その瞬間その場にいた全員は.......クロットさへ、水気に神々しさを感じた。
歓喜だろうか、恐怖だろうか.......クロットは自身の震えている理由がわからなかった。
「すごい.......」
隣ではあまりの出来事にネルチャは気絶していた。
クロットも気絶するのをどうにかこらえているがこれはもう意地だった。
水気が手を前に出すとそれが合図だったかのように4体の精霊と炎の塊がクロットに向かって来た。
最後の抵抗ではないが生徒会長として、また幼馴染みの親友として気絶しているネルチャの前に立ちふさがった。
笑みを絶やさずに覚悟を決めて目をつむった。
少しの時間がたったがなんの衝撃も来ない、恐る恐る目を開けると目の前には座っている4体の精霊と頭上には炎の塊があった。
4体の精霊が動く気配がないので恐る恐る上を向くと少しずつ降りてきているのがわかった。
しかしそれはクロットに近づくにつれ、徐々に小さくなっている、クロットの顔のすぐそばまで来たときにはゴルフボール程の大きさになっていた。
こんな近くにあってもすでに熱さは感じない、それがクロットのおでこに当たったとき反射的に目を閉じたが、それとは違う不思議な力によってクロットの意識は深く沈んでいった。




