ヤル気ないけど・・・旅立ち?
「これからどうしよ…」
宿の一室。
ベットの上に寝転んでいる青年がつぶやいた。
「あら?外もう暗い。今日はもう無理か…寝よ」
辺りはすでに暗くなっていた。
そのことに気づいた青年は再び目を閉じた。
・・・・・・さて彼の名前は茶見水気
つい先日宿を追い出されていた。
ちなみに追い出されたのは、この街に来て八度目だった。
「最後はみんな笑顔で送り出してくれてるのに…」
・・・・とりあえず彼は九度目の宿で一日中ただただゴロゴロと過ごしていた。
「お休み……」
・・・・・・・・・あのー…茶見さん?起きてくださーい。お~い。
「……誰?…?誰もいないじゃん」
辺りを見渡した水気は再び目を閉じて寝てしまった。
ちょっと起きてください。あなた主人公なんですから冒険しようとかないんですか?読者の皆さんからしても面白くないじゃないですか⁉
「うるさいなぁ⁉ちょっとナレーター勝手に話に入ってこないでよ‼そもそも主人公とかしんないし、面白いとか知らないよ」
めんどくさがらないでくださいよ。
「嫌だよ。めんどくさいし…ってかさぁ冒険とか読者とかナレーターって中二病的な?(笑)」
おいちょっと待て‼誰が中二病だ、誰が‼
いいからさっさと出て行けこの文無しがっ⁉
「外夜なのに~?今から出ても何もできないよ?ナレーターなのにわからないの?」
ブチッ
だったら明日の朝一で行けよ(笑)
ゾクッッッ⁉
(何だろ?殺気みたいなものが…)
翌日
「ふぅぁぁ~」
(なんか変な夢見てたな~)
昼にようやく目を覚ました水気はあくびをしながら見ていた夢のことを思い出していた。
「幻聴が聞こえるって疲れてたのかなぁ?」
周りを見ても変わったところは一つもない。
「やっぱり夢だったか…そうだよね……寝よ」
布団にもぐろうとした水気だが
・・・・・・・・・・・・‼ゾクッ‼
(今なんか凄い鳥肌がたったけどこれはあれかな!風邪・・・)
・・・ゾクッ‼‼
「違うな、これは確かに殺気だな」
「夢じゃなかったのかぁ…なら冒険がどうのこうのっていうのも夢じゃないのかぁ…めんどくさいな」
仕方なく布団から出た水気
「とりあえず町の外にでもいってみるか。」
そう考えた水気は宿から出た。
「…出ていかれるんでしたら宿代の方が500ゼニーになるんですが。」
(あらら)
声を聞いたときからなんとなく気づいてはいたが振りかえって確信した。
・・・宿屋の主人だ。
(逃げるのは簡単だけどこの先めんどくさいことになる。かといって金がないことを正直に言うと同じぐらいめんどくさいことになりそうだぁ)
お金を持っていなかった水気はあまりのめんどくささに溜息を吐いた。
しかし
「どうぞ、500ゼニーです。最近この辺りは物騒になってるらしいので気を付けてくださいね」
そういって水気はお辞儀をして宿を後にした。
(お金持ってたの?)
「君はめんどくさがって何もしないから僕が預かってたんだよ!」
水気は独り言を言いながら去っていった。
「さて門の外に出るのははじめてだな~」
水気が門を出ようとしたとき門の前にたっていた一人の門兵が外に出ようとする水気を慌てて止めてきた
「ちょっと君、外に出ようとしてたけど冒険者か?」
「冒険者?…なにそれ?そんなのやってるわけないじゃん‼」
胸を張り自慢するように言う水気に
「ならこの門の外にはいかせるわけにはいかない。最近魔物の凶暴化とかで警戒が厳しくなってんだ。悪いな」
「OK~ じゃ~ね~」
簡単に引き下がる水気。元々やる気がない…もとい乗り気じゃない水気には願ったりかなったりだった
(ん~残念だな~、でも仕方ないね~)
街に引き返す水気。
「宿とかこれからどうしたらいんだろ…」
水気の頭の中ではすでに休むために。という方向で進んでいた