猫に心から感謝
「はぁ~~」
疲れた、とにかく疲れた近頃残業がつづいて今日も会社から日の出を見ることになってしまった。でもこれで今日から三連休だ。足取りも軽くとはいかないが、休みに何をしようか自宅に帰る車の中で考えていると、ふっと視界の端に白いものが見えた。すぐにブレーキを踏んだ瞬間それが猫だと分かりハンドルを左に切り猫を撥ねずに済んだとこまでは良かったが、迫りくるトラックまでは避けることができなかった。
(あっ!こりゃダメだな)そう思った瞬間強い衝撃を感じ全てが真っ暗になり意識が消えた。
「黒崎*?*+」「黒崎達**?」
何かが聞こえるけど、真っ暗で何も見えないし、声もくぐもってわかりずらい。もしかして誰かが自分を呼んでるのか?
「黒崎達也君」
はっきりと自分の名前が聞こえた時、真っ暗だった場所が淡い光に包まれたので、声のした方に目を向けると、全身真っ白な服に長いあごひげを蓄えた見た目仙人のようなおじいさんが、腕に猫を抱いて立っていた。
「黒崎達也君、本当に申し訳ない」
この場所にも驚いているがいきなり初対面のおじいさんにあやまられてビックリしていると、それがわかったのかおじいさんが、すまなさそうに状況を説明してくれた。
「黒崎君まず初めにここがどこかというと所謂あの世と呼ばれる一歩手前のような場所と思ってもらえればよい。なぜ君がここにいるのかは本当に申し訳ないのじゃが、この子のせいじゃ」
そう言っておじいさんは抱いている猫の頭を⦅ペシッ⦆と叩いて頭を下げて謝ってきた。
「この子の名前はクイルとゆうんじゃがこのクイルが黒崎君が住んどる場所にワシの目を盗んで散歩にでかけてしまてのぉ~、この子を避けようとした黒崎君の車とトラックがぶつかり死んでしまったじゃ、そしてあの世に行く前の魂をここに呼び寄せたとゆうワケなんじゃ」
(ここにいる理由はわかったけど、何よりも気になるのが)
「あの~もしかして、おじいさんは神様かなんかですか?」
「そうじゃの~君たちの世界の言葉を借りるなら創造神とゆう感じかのぉ~」
「創造神様ですか!あの~それで俺をここに呼んだのはなぜですか?」
「そうじゃった大事なことを説明せねばなぁ、まず最初に悪いんじゃが君を生き返させることはできないんじゃ。死んだ者が生き返るとゆう概念のない世界で死んだ者を生き返らせると、どうしても世界に歪みができてしまう。だから黒崎君には、別の世界で生きるかもしくは、このままあの世に旅立つかをきめてほしいんじゃ」
「もっもしかして異世界転生てやつですか?」
「そうじゃなぁ~転生とゆうよりも、どちらかと言えば転移かのぉ~。もし別の世界にいくのなら君の生前の体をあちらの世界で再生し、魂を送るとゆう感じじゃ」
まさか異世界にいけるとは、このての小説なんかも読んだことはあるけど、まさか当事者になれるとは、これは散歩にでてくれたお猫様に感謝、感謝だな。
なんにしろ行くにしてもその世界がどんな世界かまずは聞かないと、すごく危険な世界でついてすぐあの世にUターンなんてイヤだし、それに異世界に行くならもしかして小説なんかでよくある不思議能力なんて貰えるかもしれないし、とゆうか欲しい。
「創造神様。今から行ける世界はどんな世界なんですか?」
「そうじゃなぁ~~地球でゆうところの中世のヨーロッパのような街並みにRPG要素がふんだんに盛り込まれた世界かのぉ~」
「えーっと何といいますか、またえらくザックリとした説明ですねぇ。じゃぁっ、RPGみたいな世界ってゆうことはもしかして、魔法なんかあったり、魔王や勇者なんてのもいたりするんですか?」
「フォッフォッフォッフォッ魔王や勇者なんておりゃーせんよ。まあでもモンスターなんかはおるから魔法やスキルなんてものはあるのぉ~」
創造神様の話では、魔王や勇者はいないがモンスターがいる世界しかも魔法にスキルなんてものまである。これは危険だがこれを断る奴はいないだろう!
「創造神様。その世界に行きます。」