14話 1
いやあ
これは酷い。
見てる人、居る?(二回目)
二人は一瞬の内に距離を詰め、睨み合う。
僕は、結界で作った棒(以下、結界棒)を振り下ろす。
兵士は刀で受け流す。
「そういえばさっ、名前をっ、聞いてないっ、ね!」
「ああっ、そうだなっと、お前、名前は?」
戦いの手を止め、自己紹介をする。
端から見れば、ふざけてるよね。
「俺の名前は騎川、軍の副司令官なんかをやってる、名字は捨てた。」
「僕の名前はクロ、結界と呪いの妖怪さ。」
二人の間に更にピリピリした空気が漂う。
「自己紹介も終わったし、」
「ああ、そうだな。」
「「いざ、勝負!!!」」
結界棒を薙ぐ、それに対し騎川はしゃがんで避ける。更にそこから切り上げに掛かって来るが、それを、僕は柱の形の結界で右側に弾き飛ばす。弾き飛ばした先には、呪いの塊、効果は[停滞]にしてある。しかし、騎川はそれすらも両断してきた。そして、そこからどうやったのか、刀を胴に当てて来る。
痛い、強い!
僕は一度距離を取る、何で近距離で戦ってんの僕。インファイトは得意じゃないんだから、中距離でやり合えよ、僕。
騎川の周りに結界を張り、そのまま圧殺せんと結界を一気に小さくする。しかし、と言うかやはりと言うか、騎川は結界を斬り払う。すぐに今度は、結界の杭を全方位から騎川に襲わせる。しかし、またしても斬り払う。そして、その一連の動作は舞の様で、一瞬目を奪われた。
奪われて、しまった。
「貰った!」
「うあっ?!」
一閃、僕の体は二つになった。
筈だった。
「……あれ?
「……おいおい…ふざけんなよ…?」
簡単に言うと、体は繋がっている。今は、それが分かっていればいい。
まだまだ、戦える。
「ハアアア!!」
「うお!?」
今度は結界に[侵食]の呪いを掛け、雨の様に杭を落とす。大地は呪いに侵食され、穢れていく。その穢れた大地を操り、追撃を掛ける。
「なにがなんでも、通らせてもらうよ!」
「はっはっはっは!そう思うならさっさと通ってくれ!時間がねえ!」
「なら、次で決めるよ!」
呪いの力を手集めて、凝縮する。
「早く決めろよ?」
「もう終わり!」
呪いの力を騎川に向けてレーザーの様に放った。
「来世で会おうぜ。」
「その時は宜しくね。」
とりあえず、僕の戦いは終わった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あっちは終わったか…。」
心配はしてなかったが、危ない所は在ったな。体が両断された時とか、近距離で戦っていた時とか。まあ、八百長試合だったみたいだが。
「死ね!妖か―」
ああ、弱い。自分的にはクロと戦っていたアイツとやり合いたかったが。しょうがないか。
なんとなく、人間の作った筒状の船に目を向けてみた。
船の先端にそれはいた。
真っ白の、妖怪とも人間とも似つかない、何とも言えない何かが居た。
しかし、それは瞬き一瞬で、姿をかき消した。
「なんだ?」
…まあいいか。ルーミアも片付けは終わったみたいだし。
「蛮華!終わったのかー!さっさといくのかー!」
「ん?ああ、そうだな!クロは?」
「もう行っちゃったのかー。」
「何!?」
残り、10分
訂正しました。