カイバル②
誤解がとけました。
「失礼します。」
再び市長室へ来たハムレットだが、今度は例の5人も一緒だ。
入室した5人がまず感じたのは硝煙の匂いである。
「始めまして、この街の市長、アダムズです。まずは捕縛について代表してお詫び申し上げます。」
そう言って歩み寄る30代後半の男性の後ろに89式が置いてあるのを見逃さなかった。
(誤って発砲したな!?)
5人の視線を感じたらしい市長はハハハと苦笑いしつつ、すまなそうに壁を指差したのだった。
が、とりあえず自己紹介だと割り切り口を開いた。
「私は坪井翔平と申します。」
「後ろの4人は部下です。捕縛についてはこちらの対応にも非がありますので特に追及はしません。」
「そうですか。ありがとうございます。」
「あの・・・この鉄の棒について教えて頂けませんか?」
そう言って顔を覗かせたのは捕まえられた時の指揮官だった。
「えっと・・・・・、その前に私達を馬車に連れてってもらえませんか?」
「大至急しなければなら無いことがあるんです。」
「えぇ、いいですよ。」
市長の許しを得た坪井は3人を馬車へ向かわせギリギリの定時連絡を、自分は89式小銃の説明をし始めたのだった。
一通り89式と自分達の説明(ホールや転移のことは伝えずはぐらかした)を終えた時、黒川が呼びに来た。
「隊長、どうやらもう向かっているそうでして・・・・」
「へっ!?」
「それで、司令が引き返させるのが面倒だから市長から部隊が街に入ってもいい許可を取れ。だそうです。」
「・・・・・はぁ。」
「えーと、アダムズ市長。こちらに我々の後続が向かっているそうなんですが街に入ることと、そこの前広場を使わせてもらう許可を頂けないでしょうか?」
(そう簡単に下りる訳ないだろうな・・・・)
と内心思いつつも聞くと
「いいですよ。」
という返事で正直、面食らったのだった。
「分かりました、では20分程で到着するそうなのでよかったら一緒に外で待ちませんか?」
「そうですね、分かりました。」
こうして救出部隊あらため、「自由貿易都市カイバル分遣隊」が送られてきたのであった。
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