カイバル①
進行を少し早めました。
レンガや大理石で作られた立派な建物が並ぶ市街地。
その中心部のとりわけ大きいのは市庁舎と騎士団の建物だ。
捕えられた5人は騎士団の建物の地下牢で監禁されていた。
「マズいことになりましたね。」
不安を口にするのは佐藤だ。
「あぁ、だが拳銃が取られなかったのがせめてもの救いだな。」
「騎士団員達の顔を見るところ、どうやらこの世界には銃はないようですね。」
坪井に続き古井が発言する。
「あの顔見ました?この棒はなんだって顔でしたよね。」
黒川が苦笑しながら言う。
「それよりも定時連絡だ。」
「既に1回していないんだ、もう連絡しないと手遅れになる。」
「・・・」
坪井の発言に一同は黙り込む。
なぜならば、定時連絡が2回途切れた時点で活動に支障有りと判断されて、仲間達(特殊作戦群)による救出作戦が行われることになるからだ。
「作戦が行われればこの街に被害が及ぶことに・・・」
「クソ!どうすれば!!」
坪井が苦悩している時である。
「釈放だ!!出ろ!!」
と急に腰にサーベルを差した団員がやって来て地下牢を出されたのだった。
〜市庁舎〜
「では、報告を聞きましょうか?ボーゼスさん?」
声の主、アダムズ市長は革製のイスに深く腰掛け、頬杖をつきながら促す。
「はい。盗賊出没の知らせを受けて我々が向かっていたところ、怪しい5人を発見し荷物の提示を求めたところ、拒んだ為、念のため捕えました。」
「なる程・・・」
「気になるのは彼らが持っていた鉄の棒です。」
「これをご覧下さい。」
そういって差し出したのは取り上げた89式小銃だ。
「これは一体なんですかね?」
そういいながら手を伸ばしたところ
パシュ!!
「!?」
驚き飛び退く2人。
鉄の棒の先からは煙が立ち昇り、壁には穴が空いていた。
(一体なんなんだ?!!!)
そう思った時だった。
「失礼します!!」
「隊長!!どうやら先程捕えた5人ですが盗賊では無いようです!!」
そういってドアを開けながら飛び込んできたのは同じ隊に所属するハムレットだ。
「当の盗賊ですが、モンバサ村にて眠りこけているのを捕縛しました。」
そう報告を続けたハムレットだが、2人が尻餅をついているのを見て怪訝な顔をする。
「・・・・・わわわ、分かった、彼らをここに連れて来てくれ。」
「はぁ、分かりました。」
そう言ってなんだろうな?と小声でボヤきながら部屋を出て行った。
2人は立ち上がり、『コホン』と咳払いをした。
そして
「彼らはいったい・・・・??」
と呟いたのだった。
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