赤く塗りつぶせ!
ぐちゃり、ぐちゃり だなんて音を立てながら腹部の突きたてた包丁を回すように動かす。
いくら動かしても鳴り止まない音にイライラしてくる。死んだくせに、死んだくせに。
もしかしたら死んでないんじゃないか、と一旦抜き出した包丁を両手で持ち直して勢い良く心臓の部分に振り落とした。
ぷちょ、と飛び散った血が私の顔を汚していく。と同時に鈍い咳きをしたこいつは大量に血を吐き出しやがった。ほら、生きてたじゃん。
そりゃ、そうだよね。だって、こいつは
「…なんか、痛いんだけど」
「そう、じゃあ死んで」
「あー…うん、死にそうなぐらい痛いな…」
「死にそうじゃダメなの、死んで」
「いやだって、まだ死ぬような痛みじゃない、し…」
本 当 に こ い つ は 。
非常に腹が立って、もう一度包丁を振り上げた。 その瞬時、莢は今まで見せたことのない顔を見せてきて、
首元を狙ったそれは、首を微かに掠って床に突き刺さった。 なに、いまのかお
「、…なんで、驚いてんの」
「いや…誰だって驚くと、おもう…けど」
「…し、ね」
やめてやめてやめてお前のそんな人間らしいところなんて見たくないの期待しちゃうじゃないどうせ貴方は人間じゃないくせに化け物のくせに、電子的ななにかのくせに!!
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね と呪文のように呟く(このまま言葉の勢いで本当に死んでくれるんじゃないかってくらい大量に)私に伸ばされる大きな手。
ピクリと反応してしまう自分こそ死んでしまえば良いと思う。だなんて目を見開きながら考えていると、ふいに頬を包み込まれた。
「…、泣くなって」
「なんのこと」
「うん、ごめんな、人間じゃなくて、ごめんな」
ごめん、だなんて。思ってもないくせに。
(死んじまえ、似非人間)