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婚約破棄を目指した逃亡王女、気づけば毒舌騎士を巻き込んで二人ともお尋ね者になりました  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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15/31

1-14 適当に作った石が、国家滅亡級の爆弾でした

 手の中に納まっている石が、

だんだん熱くなっていく。


(フフ……来てる、来てるわ!)


そして――


カッ!


私の指の間から

まばゆい光の筋が溢れ出した。


「な、何だ!? うわあっ! 

まぶし……っ!」


キースがギュッと目を閉じ、

両腕で顔を覆い隠す。


光の筋はやがて再び石の中に

シュウシュウと音を立てて吸い込まれていく。


この手応え……成功だわ!


口元に、思わず笑みが浮かんだところへ

キースがビクビクしながら尋ねてきた。


「お、おい。姫、今一体何をした?」


「よくぞ聞いてくれたわ。

さぁ! これが何か、

自分の目で見てちょうだい!」


私はそっと手を開いた。


そこには、ゴロリと赤く輝く

美しい石。


(ん? これはもしかしてルビー……?)


首を傾げたとき。


「ああっ! こ、これは!」


キースが叫ぶ。

キョロキョロと周囲を見渡すと

突然私の手のひらからルビーを奪い、

自分のポケットにねじ込んだ。


「あ! 何するのよ! 泥棒!」


驚く私を無視して、

キースは私の腕を掴むと猛然と

走り出す。


「ちょっと! どこへ行くのよ――!」



****


「はぁ……はぁ……」


人けのない路地裏に連れ込まれ、

私は肩で息をしながら

キースを睨みつけた。


おのれ、キース。

体力のない王女の私をここまで走らせるとは。


「よし……ここなら誰も来ないだろう」


キースはボソリと呟くと、私ににじり寄る。


はっ! ま、まさか

またもや貞操の危機……!?


「姫……」


「ち、近寄らないで!」


手にしていた日傘を

ビシッと彼の鼻先に向けた。


「す、少しでも

おかしな真似をしようものなら叫ぶわよ!」


するとキースは心底イヤそうな顔で叫ぶ。


「なっ! 一体何を妄想してるんですか!

俺にだって選ぶ権利くらいある!」


「権利って何よ!

こっちにだってあるわよ!」


「そうじゃなくて!

これ、一体何をしたんです?

さっき拾ったのは、ただの石でしたよね?」


キースはポケットから

赤く輝くルビーを取り出した。


「ええ、そうね。ただの石だったわ」


「何だって……!?」


キースの顔がみるみる青ざめていく。


「別にそれほど驚くことじゃないでしょう?

ちょっと石に魔力を注いだだけよ」


「驚くことですよ!

ただの道端の石をルビーに変えるなんて……

聞いたこともない!」


ふふん。

毒舌なキースがここまで褒めてくれるなんて

珍しいわね。

別に悪い気はしないけど。


「まぁね。だから言ったでしょう?

私の力を使えば路銀なんて造作ないのよ」


「一体、姫は……何者なんです?

こんな魔法、今まで見たことも

聞いたこともありませんよ?」


「え? ただの錬金術だけど?」


キースの顔が再び引きつった。


「錬金術ですって!?

まさか、こんながさつで非常識な姫が、

あの錬金術を使うとは……嘘だぁー!」


頭を抱えて絶叫するキース。


「何よ! それどういう意味よ!」


するとキースが急に真顔になった。


「……本当に、何も知らないのですか?」


「ええ、そうね」


「錬金術を扱える者は、

世界にほんの一握りしかいないと

言われています。

その中で有名なのが、この大陸を総べる

皇帝だと噂されています」


「ふ~ん……皇帝ねぇ……」


どんな人なのだろう?

けれど雲の上のような存在のことを言われても、

ちっともピンとこない。


するとキースが眉を顰める。


「随分興味なさそうですけど……

もしかして姫の他にも扱える者がいるのですか?

陛下とか……ララ王女様とか」


「いいえ。お姉様は魔術の腕はすごいけど、

錬金術は使えないわ。お父様もね」


「え!? じゃあ、

バルディア王国で錬金術が使えるのは……

姫、あなた一人だけなんですか!?」


キースの目が、

これ以上ないほど見開かれている。


「そうだけど。

ねぇ、そんなことより早くこの国を出ないと。

言ったでしょ? 命を狙われてるって」


わざと先ほどの悪党たちのことを持ち出す。


するとキースの顔から

すうっと血の気が引いた。


「そ、そうか……。

だから国王様はこのガサツな姫を溺愛……。

もし姫に何かあれば、

間違いなく俺の首が飛ぶ……!」


「さっきから何言ってるの? 早く行くわよ」


クルリと踵を返す。


「……姫」


後ろから、

やけに真剣な声が飛んできた。


「何よ」


「俺、今とんでもない人を

護衛してる気がしてきました」


「今さら?」


そのまま私は、何事もなかったかのように

大通りへと歩き出す。


……この時の私は、

それがとんでもない騒動の種になるなんて、

これっぽっちも思っていなかった――

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