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プロローグ

 信じられないことが起こった。信じたくないことが……

 ハンサムで仕事もできて、優しくて、まさに完璧な婚約者に、家庭があったなんて信じられる?それも二人も子どもがいるなんて!しかも、それから私が誰かに突き落とされて、ビルから転落死してしまったなんて。


 私は冴えないOL、谷田りこだ。茶髪の26歳。ポンコツだから仕事だって楽しくない。上司も顧客も大っ嫌い。ずっと家にこもっていられたらいいのに、と思いながら毎日職場に向かっている。


 尾崎るいは婚約者で、社内の先輩だった。クラクラとなってしまうような魅力の持ち主だ。背が高くて、卒なく仕事をこなし、スーツの着こなしもかっこいい。


 大好きだった。そんな彼と結婚するはずだったのに……



 職場のビルの屋上で、尾崎の妻だという人に会う予定だった。もちろんそんなことするべきじゃなかったのだ。不倫相手の奥さんに会おうとするなんて気が狂っている。でもすっかり動揺していて、そんなことも思いつかなかったのだ。とにかく尾崎には妻も子どももいない、ちゃんと私と結婚するはずだ、と誰かに言ってほしかった。


 ビルの上はものすごく寒い。屋上のへりに立って街の空を見ると、雪がちらついていた。明日はクリスマスイブだ。ホワイト・クリスマスになるんだろうか?


 目の奥からじんわりと涙があふれてきた。イブは尾崎と過ごすはずだった。ショートケーキやチキンを食べて、二人で映画かなんか見て。

 甘くとろけるくらい幸せなクリスマスを過ごすはずだった。でもそんなの全部嘘だったのだ。


 ドアが背後で開く音が聴こえた。ハンカチを出して、慌てて涙を拭こうとする。何度ふいても無駄だった。涙はどんどんと溢れ出てくる。泣くまいとすればするほど、あふれ出してくるのだ。


 足音が近づいてきて、相手がすぐそこに立っているのがわかった。振り向こうとする。


 いきなり、背中をものすごい力で押された。あまりに突然のことで抵抗する暇もなかった。ただ、ビルの上から地面へまっしぐらに落ちていったのだ。

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