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青星の水晶〈下〉  作者: 千雪はな
第6章 愛しい人をこの手に
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04 | 隠されたもの(前編)

《離れた者を呪う》《呪いを継続》《遠隔地の様子を探る》《魂を抜き去る》《魂へと魔力を引き寄せる》――五種類の魔法陣を机の上にそれぞれの山にして分け、それらの横に残りの二種類も並べて眺めた。


そして、数日前のスコットとの会話を思い出していた。



___『どれにも当てはまらないとは、どういうことだろうか』


僕はもう一度、手にした魔法陣と文献を見比べながらスコットに聞いた。スコットは、近くの棚からファイルを取り、それに挟まれた数枚の魔法陣を机に並べた。


『幾つか理由はありますが、一番多いのは書き損じです。これのように途中で描くのを辞めているとわかりやすいのですが、こちらのように完成間近ですと、書き損じかどうかの判断が難しくなります』


スコットが指差す魔法陣は、半分ほどまで描かれたものと、綺麗に完成しているように見えるが、一部に赤で印が付けてあった。魔術調査員が研究の過程でつけたものだろう。


『だが、これは同じものが数枚あるから書き損じではないんだろう?』


『はい、仰る通りです』


『では文献には載っていない未知の魔法陣ということか?』


『古い魔法陣でしたらその可能性もありますが、現代では難しいでしょう』


『何故?』


『新たな魔法陣が効果を発揮するかは、実際に魔力を注ぐ必要があります。魔術が途絶えていた間は無理でしたし、ライナス様とアリア様に魔力が宿ってからも、その魔力はかなり貴重なものですから、新しく魔法陣を作って、それを試すために使ったとは考えられません』


『なるほど』


『ですから、闇夜の雫の集い……黒魔術結社が描き溜めていた魔法陣は、彼らから押収したこの文献に載っていると考えて間違いないと思われます』


そう話しながら、スコットは別の魔法陣をファイルから取り出した。それは魔法陣が部分的に赤のインクでなぞってあった。


『これは…?』


『二つの魔法陣を合わせて描いたものです。こちらの《水を器に貯める》魔法陣と…、えっと…あ、これですね《温める》もの。湯をすぐに用意するための魔法陣ですね』


スコットが示した文献のそれぞれのページと、机に置かれた魔法陣を見比べた。確かに、赤くなぞったものは《水を器に貯める》もので、残りの部分は《温める》魔法陣と一致していた。


『魔法陣を重ねることで、一度に目的を果たすことができるようになるのか…』


僕は、そんな方法もあるのかと唸った。


『はい。ただし、重ねて柄が潰れてしまうと効果が無くなるようで、あまり例はありませんが』


僕は手にしていた緻密な柄の魔法陣を見つめた。


『だが、これは重ねられたものだと見ているのだな』


『まだ確証はないのですが、線の交わり具合からそうではないかと…』___



この魔法陣は、何と何を組み合わせたのか。


誰かを呪うためなど忌々しい目的がなければ、額に入れて飾ってもいいと思える程の緻密な柄の魔法陣を手に取って、じっと見つめた。文献の中の魔法陣から当たりをつけては、一致するのではと線を追っていくが、途中で違うことに気づいてため息を吐いた。


三つだけしか確認していないのに、ひどく疲れた。目の奥が痛くなるような感じがして、ぎゅっと目を瞑った。

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