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◆これまでのあらすじ

『青星の水晶〈上〉』を一話分程度の長さにまとめました。すでに上巻を読んでくださった方は、次のプロローグへお進みいただいて大丈夫です。まだの方でお時間がありましたら上巻もお読みいただけたら、とても嬉しいです。

かつては魔術師が魔法を使うのが当たり前だった世界。その魔術が失われてから一千年以上が経っていた。


レトーリア王国の第七王子ライナスは、王位継承にほぼ縁のない立場ながら王国のために公務をこなし、その人柄から国民にも慕われていた。


王子の趣味は魔術師が作ったとされる古い魔道具の収集。王立アカデミーで魔術史を研究するレイドナー教授がライナスの親友のギルバート・ハンティントン侯爵であることが縁で、発掘した魔道具のうちアカデミーで収蔵しないものを譲ってもらうことがあった。


その日も教授から譲ってもらう魔道具を受け取るために、ハンティントン侯爵邸に訪れていた。ライナスは、ギルバートの妹アリアに譲り受ける魔道具の中にあった藍晶石(らんしょうせき)の魔法(ぎょく)を一つ渡したが、その後、邸内で大きな爆発が起き、アリアが巻き込まれた。


アリアは爆発を間近に受けて助からなかったと思われたが、翌日、奇跡的に目を覚ました。しかし、すぐにアリアの身に異変が。茶色かった瞳の色は暗青色に緑と白が筋状に混ざり、まるで魔法玉の藍晶石のように変わっていた。そしてアリアの周りに風雨が荒れ狂い、屋敷の外でも嵐が起きた。


ギルバートが助けようしても風雨の壁に弾かれてアリアに近づくことすらできなかったが、アクアマリンの瞳を持つライナスは、自分なら風雨の壁を抜けられると確信した。古代の魔術師は、魔力が瞳の色に表れていたと言われていた。その確信の通り、ライナスは風雨の壁を抜け、アリアを抱きしめ嵐を鎮めることができた。


アリアが起こした嵐は、ハンティトン侯爵邸の周りに湖を作るほどの雨を降らせていた。




アリアが強大な魔力を授かったことを受け、王国騎士団の直下に魔術庁が創設され、王立アカデミー内には魔術調査班が組織された。そして、アリアは魔術調査班に保護されることになった。


ライナスは急な変化に戸惑っているであろうアリアを心配して、その不安な気持ちに自然と寄り添っていた。王子という立場で彼女を守ることを考え、魔術庁長官に志願した。


アリアの魔力暴走、外出先での投石など問題が起きる中、ライナス自身にも魔力が宿っていることに気づく。レイドナー教授立ち合いの元、魔道具で王子の魔力について計測したところ、ごく僅かだが魔力を持っていることがわかった。自分では魔力を生み出さないが、魔力許容量と呼ばれる魔力を保持できる量が多いことがわかり、アリアの中でどんどんと湧き出て押し潰されるような負担を感じている魔力を引き受けられる可能性が出てきた。



日が経つにつれ、王都を中心に魔女を排除するよう訴える抗議活動が広まっていた。それは、何者かが民衆の魔術への漠然とした畏怖の念を(あお)って意図的に起こしているようだった。そのことを把握した王国は、魔術調査を王都から離れたウェーンブレン離宮に移すことにした。


ライナスは魔術庁長官の立場から王都に残らねばならず、アリアが離宮へ移ることに不安を感じていた。しかし、抗議活動を陽動する者達の正体もその目的もわからない中、代替策もなく、せめて離宮への移動時の護衛を少しでも厚くするためにライナスがアリアに同行することにした。


離宮へ移動する馬車の中で、ライナスは不安そうに向かいに座るアリアに手を握った。二人の手のひらがぴたりと重なった途端、アリアの魔力がライナスへと流れ込んだ。溢れかえって押し潰すように重くのしかかるアリアの魔力を引き受けられることがわかり、ライナスは嬉しくなった。


以前は、ライナスにとってアリアは親友ギルバートの妹というだけの存在でしかなかったが、魔法玉の爆発以降、彼女を守ってやりたいという気持ちが大きくなり、次第に大切な存在になっていた。



アリアをウェーンブレン宮殿に送り届け、王都に戻ったライナスだが、彼女のことが心配でなんとか時間を作り、自ら様子を見に行くことになった。宮殿に向かう途中、先触れに出していた従者が戻ってきて宮殿が襲撃され、アリアが攫われたと報告した。


ライナスは、従者と共にアリアを連れ去った者達を追った。アリアを乗せた馬車に追いついたが、彼女を盾にして馬車から出てきたのは、魔術調査班の調査官マーガレットという女だった。


剣を構えるライナスとチェスターの前で、マーガレットはアリアに躊躇うことなく(なた)を振り下ろした。人質としてその身に危害を加えられることはないのではとライナスは考えていたが、マーガレットは魔術師の生死は問わないと言い放ち、ライナス達に武器を捨てるよう迫った。アリアがこれ以上傷つけられることを止めるため、相手の要求通り武器を捨てたライナスは、チェスターが作った隙を突いて放った氷の矢でマーガレットとその護衛を倒し、傷つけられたアリアの元へ駆け寄った。


肩から背中にかけて鉈で切り付けられたアリアの深い傷にライナスは治癒の魔法をかけた。直前の氷を矢を放った時に魔力をほぼ使い切っていたため、治癒の魔法をかけ始めて間もなくライナスの魔力は尽きた。しかし彼はまだ止血できていないアリアへの魔法を止めることなく、自分の生命力を使っても治癒の魔法をかけ続けた。


そして倒れたライナスに、今度は意識を取り戻したアリアが魔力をできる限り渡した。急に魔力を大量に渡したことで貧血のような状態になっても、アリアは魔力を返そうとするライナスの申し出を拒んだ。


いつの間にか、お互いにかけがえのない、命を懸けても守りたい存在になっていた。



王都に戻ったライナスは、アリアに婚約を申し込んだ。王子の婚約者の立場であれば、より強固な護衛をつけることができるとの理由もあるが、何よりもライナスがアリアに想いを寄せ、妃にと望んでいた。


アリアの兄ギルバートを始め、王家や貴族らの同意を取り付け、ライナスはアリアに求婚した。アリアが驚き戸惑う中、お互いに想い合っていることがわかり、アリアはライナスの気持ちを受け入れた。


二人の婚約を公にして以降、アリアは魔術庁長官であるライナスの補佐官として、ライナスの住まいでもあるセレスティレイ宮殿で共に執務をすることになった。


公私共に仲睦まじく過ごす二人を、従者も微笑ましく見守っているが、アリアを狙う集団やその目的は調査を続けているものの、未だ闇に包まれていた___

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