第6話 未知の職業
孝太は、ギルドの人々の視線を浴びながら、ステータスカードを見つめていた。
【名前】孝太
【レベル】1
【職業】???
【スキル】
・《プログラム言語の加護》
・???
(……職業未定って、どういうことだ?)
「おかしいな……普通、ステータスカードを発行すると、戦士や魔術師、弓使いなどの適正職が自動で決まるはずなんですが……」
ラナが困惑しながら、ギルドの端末とカードを何度も確認する。
「うーん、やっぱりシステム上は ‘未定’ になっていますね……」
「未定なんてことがありえるのか?」
ガルフが腕を組むと、周囲の冒険者たちもヒソヒソと話し始めた。
「もしかして、特殊職じゃないか?」
「いや、特殊職でも何かしらの名前が出るはずだ」
「呪われた職業だったりしてな」
孝太は焦りつつも、何とかこの状況を理解しようと考えた。
(普通のジョブがつかないってことは……俺の《プログラム言語の加護》が影響しているのか?)
そのとき、孝太の視界にまた青白い文字が浮かんだ。
[条件を満たしました。職業『コードマスター』を解放しますか?]
[YES / NO]
(コードマスター……?)
孝太は少し考えたが、これ以上の混乱を避けるため、YES を選んだ。
[職業『コードマスター』が設定されました]
突然、ステータスカードの表示が変化した。
【名前】孝太
【レベル】1
【職業】コードマスター
【スキル】
・《プログラム言語の加護》
・《デバッグモード》
「えっ!? い、今、職業が決まりましたよ!」
ラナが驚きながらカードを見せると、周囲の冒険者たちも目を丸くした。
「コードマスター……聞いたことねえ職業だな」
「魔術師の一種か?」
ガルフもステータスを覗き込み、孝太をじっと見た。
「……お前、本当に何者なんだ?」
孝太自身も、それが知りたかった。
(コードマスター……これが、俺の職業……?)
だが、それがどんな力を持つのか、まだ誰も知らなかった。