第34話 分岐点の謎
青い光に導かれるように、森の奥へと進む。
木々の間から漏れる光が強まるにつれ、空間の歪みも顕著になっていた。
「メイの言っていた"プログラムの分岐点"か……」
孝太は歩きながらデバッグモードを展開する。
execute("scan", "area", "mode=detail")
[スキャン結果]
[異常な時空間の乱れを検出]
[複数の現実が干渉]
[警告:境界が不安定]
「孝太、このパターン……」
アイリスの声が緊張を帯びる。
「まるで、世界を"分岐"させようとしているような波形よ」
その時、リーシャが立ち止まる。
「あれを見て」
開けた空間に、巨大な装置が姿を現した。
それは巨大な水晶のような形状で、中心から無数の光が放射されている。
「分岐装置ね」
アイリスが確認する。
「世界の可能性を分岐させ、別の歴史を創出する機械」
孝太が装置に近づこうとした時、リーシャが腕を掴んだ。
「待って。周りを見て」
よく見ると、装置の周囲には複数の影が動いていた。
白衣のような装いをした人々が、装置の調整を行っている。
「《プログラマー》たちね」
アイリスが警告する。
「でも、様子が変……」
その通りだった。
彼らの動きには、どこか機械的な不自然さがある。
まるで、操り人形のように。
「これは罠かもしれない」
リーシャが剣を構える。
しかし、その時——予想外の声が響いた。
「や~っほー! また会えたわね!」
木の上から飛び降りてきたのは、先ほどの少女・メイだった。
今度は、両手に奇妙な形状の銃のような装置を持っている。
「メイ!? なぜここに」
「もちろん商売よ♪」
メイは軽やかにステップを踏みながら言う。
「この状況、絶好のビジネスチャンスでしょ?」
《プログラマー》たちが一斉にこちらを向く。
その目は、妙に虚ろだった。
「あ、見つかっちゃった」
メイが両手の装置を構える。
「まあ、そのつもりだったけど!」
突如、装置から虹色の光が放たれる。
それは《プログラマー》たちを包み込み、まるでデータが解凍されるように、その姿を変えていった。
「なっ!」
孝太が驚きの声を上げる。
《プログラマー》たちの正体は、《エラーハンター》を小型化したような機械生命体だった。
「私が言った通りでしょ?」
メイが得意げに言う。
「これは"別の可能性"を引き出す装置じゃない。偽物のプログラマーを生み出す複製装置なの」
「じゃあ、本物の《プログラマー》は?」
メイの表情が真剣になる。
「それが問題なのよ。この装置、誰が作ったのかしら?」
機械生命体たちが一斉に攻撃態勢を取る。
新たな戦いの幕が、切って落とされようとしていた。




