第3話 スキル「プログラム言語の加護」
孝太は目の前に浮かぶ青白い文字を見つめた。
[スキル「プログラム言語の加護」を取得しました]
スキル?まるでゲームみたいだ。
しかし、今の状況を考えれば、ただの幻覚とは思えない。
「おい!貴様、何をぼーっとしている!」
鎧の男が剣を抜き、孝太に詰め寄った。
「俺はこの街の門兵だ。怪しい奴は捕らえさせてもらうぞ」
孝太は冷や汗をかいた。
(ヤバい、どうする……?)
異世界に転生して早々、捕まるなんて最悪すぎる。
何とか誤魔化せないかと考えていると、頭の中に奇妙な直感が浮かんだ。
——コードを使え。
(……コード?)
無意識に、手を前に出し、口を開く。
「print("俺はただの旅人です。敵意はありません。")」
すると——
「俺はただの旅人です。敵意はありません。」
孝太の言葉が、響くような不思議な声となって空気に溶けた。
まるで、呪文のように。
門兵の男は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに険しい表情を和らげた。
「……そうか。確かに、お前からは邪悪な気配は感じないな」
効いた!?
孝太は驚きながらも、胸を撫で下ろした。どうやら、「プログラム言語の加護」 というスキルのおかげで、コードを”魔法”のように使えるらしい。
(これ、めちゃくちゃ便利なんじゃないか……?)
「いいだろう。だが、ここは危険な場所だ。街までついてこい」
門兵の男は剣を鞘に収め、孝太に歩くよう促した。
こうして、孝太は異世界での最初の一歩を踏み出した。
だが、彼はまだ知らなかった。
このスキルが、世界の運命を左右することになるとは——。