第28話 西部農園の異変
バルドールの西部農園。
通常なら穏やかな風景が広がるはずの場所に、異様な光景が広がっていた。
「これは……」
孝太は目を疑う。
広大な農地の一部が、まるでモザイク画のように区切られている。
そこでは、作物が異常な速度で成長と腐敗を繰り返していた。
「まるで時間が……」
リーシャが呟く。
「ループしているのね」
アイリスが補足する。
「同じ時間が何度も繰り返されている」
孝太はすぐにデバッグモードを展開した。
execute("analyze", "time_anomaly")
[解析結果]
[状態:時間ループ発生]
[範囲:半径50メートル]
[周期:約3分]
[警告:拡大傾向]
「このままじゃ、農園全体に広がる可能性が……!」
その時、近くの農夫が駆け寄ってきた。
「お願いです! このままじゃ、収穫が全滅してしまいます!」
孝太は歯を食いしばる。
(世界の修復プロセスは進行中。でも、こういった局所的な歪みには個別に対処しないと)
「リーシャさん、私が解析と修復を行います。その間、周囲の警戒を」
「了解よ」
リーシャは剣を構えながら、周囲を警戒し始めた。
孝太は慎重にコードを入力する。
execute("debug", "time_structure", "local")
[デバッグ開始]
[異常の根源を特定中...]
「見つけた!」
スキャン結果に、異常の核となるコードが表示される。
しかし——その時、予想外の事態が起きた。
[警告:未知のプログラムを検出]
[対象:急速に接近中]
「孝太、来るわ!」
リーシャの警告と同時に、空間が歪んだ。




