第27話 目覚めの瞬間
「……た」
「……うた」
「孝太!」
意識が戻りかける。
目を開けると、そこにはリーシャの心配そうな顔があった。
「よかった……」
リーシャの声に、安堵の色が混じる。
孝太は周囲を見回した。
地下空洞の中、巨大な結晶の前。あの時と同じ場所だ。
ただし、結晶の輝きは穏やかになっていた。
「どれくらい……」
「気を失ってから30分ほどよ」
リーシャが答える。
「でも、その間に色々なことが起きたわ」
孝太はデバッグモードを展開する。
execute("status", "world")
[現在の状態]
[世界安定度:82%]
[修復プロセス:実行中]
[予想完了時間:算出不能]
「上手くいったんだな」
アイリスの声が響く。
「ええ。あなたの選択は、正しかったわ」
リーシャが不思議そうな顔をする。
「何があったの?」
孝太は立ち上がりながら、簡潔に説明した。
世界の真実、そして自分が選んだ道を。
「……そう」
リーシャは深く頷く。
「私も、それが正しいと思う」
その時、結晶が柔らかな光を放った。
[MESSAGE]
[修復プロトコル:安定稼働中]
[管理者承認:継続]
「これからどうするの?」
リーシャが問いかける。
孝太は結晶を見つめながら答えた。
「歪みを一つずつ、直していく。時間はかかるけど……」
「私も手伝うわ」
リーシャがきっぱりと言う。
「あなたの力が、この世界には必要なのだから」
孝太は微笑んだ。
「ありがとう」
そして、デバッグモードに新たな通知が表示される。
[新規タスク検出]
[場所:西部農園]
[状態:時間歪曲現象]
[優先度:高]
「行きましょう」
リーシャが剣を構える。
「次の"歪み"が、私たちを待っているわ」
孝太は頷いた。
これは長い戦いになるだろう。
でも——この世界と、そこに生きる人々を守るために。
二人は地上への帰路についた。
朝日が昇る頃、彼らは次なる戦いの地へと向かっていた。




