第24話 歪みの真相
壊れたデータのように歪むゼインの姿。
その瞳には、虚ろな光が宿っていた。
「やっと来たか……"オリジナルのコード"を持つ者よ」
ゼインの声は、まるでノイズが混ざったように不安定だった。
「ゼイン……何があったんだ?」
孝太が一歩前に出る。
リーシャは警戒を緩めない。
「気をつけて。彼は……完全に"侵食"されている」
「侵食?」
その時、アイリスが緊急の警告を発した。
「孝太! 彼の中に異常なコードを検出!」
execute("analyze", "target=Zane", "detail=max")
[解析結果]
[重大な異常を検出]
[状態:データ構造が崩壊]
[原因:未知のプログラムによる侵食]
「私は……もう遅い」
ゼインが苦しそうに言う。
「結晶に触れた時、"それ"に飲み込まれた……」
巨大な結晶が不気味な輝きを放つ。
「"それ"って……何なんだ?」
ゼインの体が、さらにノイズのように歪む。
「この世界の……"真の姿"だ」
突如、結晶から無数のデータの光が放射された。
それは、まるで映像のように壁面に映し出される。
そこには——驚くべき光景が広がっていた。
無数の世界線。
そして、それらが重なり合い、書き換えられていく様子。
「これが……この世界の真実か」
リーシャが呟く。
ゼインが震える声で語り始めた。
「私は……気付いてしまった。この世界は、無数の可能性が重なり合って出来ている。そして、誰かが意図的にそれを操作している」
「誰かって……」
「《プログラマー》……この世界の外側にいる存在だ」
孝太は息を呑む。
(まさか、俺のような異世界からの存在?)
ゼインが続ける。
「私は……この世界を正しい姿に戻そうとした。でも、結晶に眠る"本来のプログラム"に触れた時……私の存在自体が"エラー"として認識された」
その瞬間、ゼインの体が大きく歪んだ。
「うっ……もう、時間がない」
「待ってくれ! まだ何か——」
「孝太……お前なら、きっと」
ゼインの声が途切れる。
「この世界の……本当の……」
そして、彼の姿がデータの光となって消失した。
静寂が地下空間を支配する。
「孝太!」
アイリスの声が響く。
「結晶からの出力が急上昇!」
巨大な結晶が、まるで鼓動を打つように輝き始めた。
「逃げるわよ!」
リーシャが孝太の腕を掴む。
しかし、その時——結晶から放たれた光が、孝太を包み込んだ。
「うっ……!」
視界が真っ白になる。
そして、孝太の意識は深い闇へと沈んでいった。
彼が最後に見たのは、結晶に映し出された無数のコードと、その中に垣間見えた"本来の世界の姿"だった。




