第23話 地下の真実
鉱山の入り口には、重い鉄の門が設置されていた。
門の前には、無数の採掘道具が散乱している。
「これが、突如消失したという道具たちね」
リーシャが一つを手に取る。
孝太はデバッグモードを起動させた。
execute("scan", "items", "range=5m")
[スキャン結果]
[対象:採掘道具×47]
[状態:データ構造に異常]
[特徴:一時的な存在消失の痕跡あり]
「これらの道具は一度"消された"後に、再び実体化したみたいです」
アイリスが補足する。
「まるで、世界から一時的に削除されたかのような痕跡があるわ」
リーシャは鉱山の奥を見つめる。
「中に入りましょう。でも、気をつけて」
二人は慎重に鉱山内部へと足を踏み入れた。
松明の光が、岩肌に深い影を落としている。
その時、アイリスが警告を発した。
「孝太、この先……何かおかしいわ」
通路の先端が、まるでモザイクのように歪んでいた。
「また歪みか……」
リーシャが剣を構える。
孝太は即座に解析を開始する。
execute("analyze", "spatial_anomaly")
[解析結果]
[重大な異常を検出]
[警告:現実改変の痕跡]
[推定:意図的な改変]
「これは……」
孝太の声が震える。
その時、突如として地面が揺れ始めた。
「っ!」
リーシャが孝太を支える。
岩壁からは、まるでデジタルノイズのような模様が浮かび上がる。
そして、その模様は次第に文字へと変化していった。
"WARNING: SYSTEM CORRUPTION DETECTED"
"ORIGINAL CODE FOUND"
"EXECUTING ELIMINATION PROTOCOL"
「逃げて!」
リーシャの叫びと同時に、通路が崩れ始めた。
孝太は急いでバリアを展開する。
execute("barrier", "area", "strength=max")
青い光の壁が、落下してくる岩を防ぐ。
しかし——地面に亀裂が走り、二人の足元が崩れ落ちた。
「うわっ!」
暗闇の中へと落ちていく二人。
孝太は咄嗟にコードを入力した。
execute("float", "targets=all", "power=safe")
落下速度が緩和され、二人はゆっくりと地下空間へと降りていく。
「……ここは?」
足場を確保した二人の目の前には、信じられない光景が広がっていた。
巨大な地下空洞。
そして、その中心には——巨大な結晶体が存在していた。
結晶からは無数のコードの光が放射されており、まるでデータの海のようだった。
「見て、あれ!」
リーシャが指差す先には、結晶に向かって作業をする人影があった。
「まさか……」
孝太の目が見開かれる。
その人影は、よく見覚えのある姿をしていた。
銀色の髪、黒いローブ。
「ゼイン……!?」
しかし、その人物が振り返った時、二人は息を呑んだ。
それは確かにゼインだったが——その姿は、まるでデータが壊れたかのように歪んでいた。




