第22話 双極の戦い
黒い存在の攻撃をリーシャの剣が弾く。
鋭い金属音が響き渡る。
「今のうちに!」
リーシャの声に、孝太は即座に動いた。
execute("analyze", "time_distortion", "detail=max")
[詳細解析]
[歪みの中心点を検出]
[座標:x=45, y=12, z=3]
[特徴:時間加速と減速が交錯]
「見つけた!」
孝太は歪みの構造を理解し、新たなコードを組み立てる。
背後では、リーシャと黒い存在の戦いが続いていた。
剣の一閃一閃が空気を切り裂き、黒い靄がそれを躱す。
「チッ……実体がない!」
リーシャの攻撃が何度も空を切る。
その時、孝太の声が響いた。
「アイリス、支援を!」
execute("support", "target=Risha", "type=enhancement")
リーシャの剣が青く光り始める。
「これは!?」
「プログラムによる強化です。これなら、あの存在にも傷をつけられるはず!」
リーシャは一瞬で理解し、剣を構え直した。
「感謝するわ!」
強化された剣が黒い靄を切り裂く。
今度は確かに手応えがあった。
一方、孝太は時間歪みの解除に集中する。
execute("stabilize", "time_flow", "method=gradual")
[実行中]
[進捗:25%]
[警告:不安定要素を検出]
「くっ……もう少し!」
その時、黒い存在が悲鳴のような音を上げた。
リーシャの剣が、ついに決定的な一撃を与えたのだ。
「見たか!」
リーシャの声に、孝太は振り返る。
黒い靄が崩れ落ちていく。
しかし——その破片が、孝太の方へと飛んでいった。
「危ない!」
リーシャが叫ぶ。
孝太は咄嗟にコードを入力する。
execute("barrier", "self", "priority=max")
黒い破片が透明な壁に弾かれる。
そして、その破片が地面に落ちた瞬間——データが流れ出した。
[データ断片を検出]
[解析中……]
「これは……!」
孝太の目が見開かれる。
そこには、見覚えのあるコードが含まれていた。
しかし、それを確認する暇はない。
「孝太! 鉱夫が!」
リーシャの声で我に返る。
「ああ、今すぐ!」
孝太は最後のコードを実行した。
execute("normalize", "time_flow", "force=true")
[実行完了]
[時間歪みを修正]
[対象領域:安定化完了]
歪んでいた空間が徐々に元に戻っていく。
そして、鉱夫の動きが通常の速度に戻った。
「はっ!」
鉱夫が大きく息を吸い込む。
「な、何が……」
リーシャが駆け寄り、鉱夫を支える。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ……でも、なんだか変な夢を見ていたような……」
孝太は安堵の息をつきながら、先ほどの黒い破片を見つめていた。
(あのコードは……ゼインのものに似ていた。でも、どこか違う)
「孝太」
リーシャが声をかける。
「鉱山まで、もう少しよ」
「ああ」
孝太は頷いた。
(答えは、きっとあそこにある)
二人は鉱夫を安全な場所まで送り届けた後、再び山道を進み始めた。
そして、その先には巨大な鉱山の入り口が見えていた。




