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第一部 夢の一歩 8話

調子が良ければ9話が明日の22時に!?

〜回想〜


小学生の猿楽が一人で下校している

周りでは「この後、公園で遊ぼ!」「また明日ね!」など楽しそうな子供達がたくさんいるが、猿楽は一人だった。

まるで猿楽だけ別の世界にいるようなそんな光景だ


ただ猿楽は別に寂しそうではなく動物図鑑を片手に楽しそうに下校している


汚れた子犬が一匹、道の隅っこでお腹を空かしたように横になっている


「大丈夫?こっちにおいで」


子犬に声をかけながら抱き抱える


子犬を連れて家に着いた猿楽はお菓子を持ってくる


「これ食べられるかな?はい!」


猿楽はクッキーを子犬の口元に持っていく


子犬はクッキーを食べる


「お、食べた」


猿楽は子犬を抱き抱え、お風呂へ向かう


わしゃわしゃと子犬の身体を洗ってあげる猿楽、子犬は嫌がらず気持ちよさそうにしている


お風呂から出て、子犬を抱き抱えてウトウトしていると


「ただいまー!猿楽いつもお留守番ありがとね」


猿楽の母が帰ってくる

____________________________________________

「犬のお世話する余裕なんてないわよ」


「でも猿楽が飼いたいって言ってるんだろ?」


「じゃああなたも絶対協力してよ」


「俺は仕事もあるから…」


「そうでしょ?気持ちはわかるけど難しいわよ」


夜中に両親が話しているのを聞いている猿楽


「そっか…」


翌日、猿楽は子犬を連れてペットショップにいた


「この子をよろしくお願いします」


ペットショップの店員さんが答える


「この子は僕の子?」


猿楽は首を横にふり


「ううん、道で拾ったんだけど、おうちじゃ飼えないから」


店員さんは優しい表情で


「そっか、じゃあお姉さんに任せて!」


猿楽は嬉しそうに


「うん!ありがとう」


猿楽は抱いてた子犬をお姉さんに渡す


子犬は猿楽の方を見て寂しそうに鳴く


「元気でね」


猿楽は涙を堪えてペットショップを出ていく


お店を出てすぐ涙がこぼれてくる

____________________________________________

家に着いて母親に説明する猿楽


「ごめんね、猿楽…」


猿楽は泣きながら


「僕、頑張ってお仕事して、動物いっぱいと暮らす」


母親は猿楽を抱きしめて


「うん、お母さんもお手伝いするね」


〜回想終わり〜


猿楽はゆっくり目を開ける、周りではエンマ、シルフ、星助が休んでいる


猿楽はテントを出て周りを確認する


「よし、安全だな」


猿楽は川の方に行き、水を汲む


「もっと頑張らないと」


珍しく猿楽は真面目な顔をしている、そこにエンマがテントから出てくる


「猿楽!おいら達助かったんだな!」


エンマは猿楽に飛びつきながら言う


「うん!エンマとシルフのおかげだ!」


エンマは笑顔で


「でもおいらが倒れた後、ここまで頑張ったのは猿楽だろ?」


猿楽は少し落ち込んだ表情で


「うん、でも俺には二人を運ぶことしか出来なかった…」


そこにシルフも出てきて


「マスターが運んでくれなかったら今頃私達はあの魔物に食べられていたはずです」


エンマは大蛇の事に気づき


「そういえば、あの魔物はどうなったんだ?」


猿楽は答える


「わかんない、二人を運ぶのに必死で、追っては来なかったみたいだけど」


シルフは疑問の表情で


「なるほど、どうやってあの魔物を退けたんですか?」


するとエンマがドヤ顔で


「おいらのスキルさ!」


シルフはびっくりしながら


「エンマのスキル?」


猿楽はシルフに事情を説明する


「詳しくはわかんないけど、エンマにスキルを与えることが出来たんだ」


シルフは結局意味が分からず


「不思議な力ですね」


エンマがシルフに質問する


「シルフ、魔力についてなんかわかるか?」


シルフは答える


「魔力ですか、この世界に生きる者には必ず魔力があります。その魔力を使ってスキルを使うのですが、スキルは生まれ持ったもの、教えてもらうもの、ある時閃くものがあるんですが、エンマの場合はどうなんでしょうか?」


エンマは考えながら、小さい声で


「なぁ猿楽、おいら達が別世界の生き物だってことそういえばシルフに言ってなかったな」


猿楽はびっくりして大きな声で


「え!?俺たちシルフ達と別世界の生き物なの!?」


エンマはツッコむ


「気づいてなかったのかよ!」


シルフは少し笑いながら


「私も薄々思ってはいましたが、マスター達は別の世界から来たんですね」


猿楽はさらにびっくりして


「シルフも気づいてたのかよ!?」


猿楽がしょんぼりしていると星助が側に来て


「プギ!!」


猿楽は星助を抱き抱えながら


「星助は気づいてないよな!」


星助は答える


「プギ?」


猿楽は星助を撫でながら


「よしよし、星助はいい子だな!そうだ、二人に紹介しないと」


エンマとシルフの方に星助を掲げて


「新しい家族の星助です!」


「プギ!」


エンマとシルフはそれぞれ答える


「相変わらずのネーミングセンスだな」


「あの時マスターが助けたピッグルーですね」


星助は元気よく


「プギ!」


そして星助のお腹が鳴る


猿楽達は笑いながら


「あはは!朝ごはんにしよう!」


エンマがコック棒を被るとそれを猿楽が奪い取る


「何すんだよ猿楽〜」


猿楽はコック帽をエンマから遠ざけながら


「エンマは休みなさい!」


猿楽はシルフの方を見て


「シルフもだぞ!」


そう言って星助を地面に降ろしてコック棒を被る猿楽


「よし!」


エンマとシルフは心配そうに猿楽を見つめる


「出来たら呼ぶからテントの中入ってて!!」


ほらほらとエンマ達をテントの方に追いやる猿楽


「さて、どうしようかな?」


猿楽は考える


「そうだ!昨日食べれてなかった魚がある!」


焼く前に森の中に走って行ったので、焼く直前の魚が串に刺さったまま残っていた


「まずは火を起こそう!」


薪を置き、枯れ葉等の燃えやすいものにマッチで火をつける猿楽、エンマが優秀すぎて気づかないが、猿楽も自給自足生活を目指していたのでこれくらいの事は当然のように出来る


手際よく火をつけ、魚を焼き始める猿楽


そして森の方へ向かう


「確かこの辺に…あったあった」


森に入ってすぐのところに、食べられそうな木の実がある


「多分いけると思うんだけど…」


そう言いながら木の実を齧ってみる猿楽


「お!うまい!!」


そう言いながら木の実を集める猿楽を木の影から見つめるエンマとシルフ


「急に森に行くから何事かと思ったぜ」


「マスターはいつの間に木の実を見つけてたんですかね?」


「猿楽はああ見えて視野が広いんだよ色んな所を見てる」


「さすがですね」


「鈍いところはとことん鈍いけどな!」


小さい声でエンマとシルフは話しながらクスクスしていると


「プギ!!!」


星助も近くにいて大きな声で鳴く


その声に気づいた猿楽は怒った顔でエンマ達を見つける


「お前ら!!」


エンマとシルフは星助の口を塞いでいるがもう遅い


「ごめんなさい…」


「すみません…」


「プギ!」


猿楽はムスッとしながら


「もうすぐ魚も焼けるだろうから戻るぞ」


エンマとシルフは申し訳なさそうに


「はい…」


「はい…」


星助はそんな事気にせず猿楽の側にいき


「プギ!」


猿楽はそんな星助を抱き抱えて、笑顔でシルフとエンマに


「朝ごはん食べて、みんなで今日はゴロゴロするぞ!」


エンマとシルフは笑顔で答える


「おう!」


「かしこまりました!」


猿楽達はテントの方に戻って窯を囲む


「これが焼き魚…」


シルフは猿楽に焼き魚を渡せれるが食べたことがないので不安そう


「はい、エンマも」


エンマは嬉しそうに猿楽から焼き魚を受け取る


「シルフ、こうやって食べるんだ!」


そう言いながら齧り付くエンマ


「骨に気をつけろよ、シルフ」


星助の為に魚をほぐしながら猿楽が言う


「なるほど、では」


シルフも齧り付いてみる


「これは」


シルフの口の中に塩味と魚の香ばしい香りが広がる


「美味しいです!」


エンマは魚を頬張りながら


「だろ!」


猿楽は星助にほぐした魚をあげる


「ほら、星助も」


星助は抵抗なく魚を食べ始める


猿楽達は昨日の夜から何も食べてなかったので焼き魚と木の実を夢中で食べる


そして食べ終わるとその場に横になり


猿楽「ふうー、食べた食べた」


エンマ「美味かった」


シルフ「美味しかったです」


星助「プギ〜」


それぞれ感想を言いながら眠ってしまう。


その様子を木にぶら下がりコウモリが見ている

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