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第一部 夢の一歩 29話

エンマに指示され完成したのは、石でできた窯だった。


猿楽は窯を見て


「おお、これはすごい!」


そしてワクワクしながら


「シェフ!本日はこれで何を?」


エンマはニヤリとしながら


「まだ秘密だ!まぁでも、猿楽は作ってる間に気づくかもな」


猿楽は何ができるか考え始める


「えー、なんだろ?」


シャークがエンマに


「なんでも良いから早く作ってくれ!」


エンマはポケットから種を取り出し


「もうすぐ帰れる事だし、大盤振る舞いだ!」


エンマはそう言って種を投げ、地面に手をつけ、スキルを発動する


成長(グロウ)


種は成長し、トマトや茄子、ピーマンなど野菜が実る。


それを見たみんなは、驚いたり歓声をあげたりしている。


フックがエンマに


「これはなんという植物で?」


エンマが説明をしようとするとシャークが、割り込み野菜を取る


「そういうのは後にしろ!全部取ったら良いのか?」


エンマもフックもイラッとした顔をするが、お腹がなってしまう


「後にしましょう」


「だな」


エンマはみんなに指示を出し、野菜を収穫していく


星助が猿楽に


「何ができるかわかった?猿楽」


猿楽は野菜を抱えて、見ながら


「うーん、色々候補がありすぎるというか、これだけあればなんでも作れちゃうっていうか…」


星助は楽しそうに


「そっか、でも楽しみだね」


猿楽は笑顔で答える


「うん!エンマが作る料理はなんでも美味いし!」


その頃シルフと父親は、話をしていた


「改めて礼を言う、シルフ…ありがとう」


シルフは答える


「こうしてまた話すことができて嬉しいです」


シルフの父親は答える


「猿楽達には感謝してもしきれないな」


シルフは色々思い返しながら答える


「はい、マスターのために私は精一杯生きたいと思います」


シルフの父親は俯き、会話が途切れる。


そこにJr.が来る


「兄ちゃん父ちゃん!!」


驚いた表情の二人


「水を運んでたら、二人を見つけて、猿楽が行って来いって」


シルフが微笑みながら


「マスターに気を使わせてしまいました」


シルフの父はテントの方角を見ながら


「彼は他人のために行動ができるのだな」


シルフが答える


「それが心配なのです、自分を顧みず行動してしまう」


シルフの父親が答える


「それはシルフもだろう?お前は優しい子だ」


シルフは答える


「それで怒られた事もありました、しかし、そもそも戦う力の無いマスターが魔物の前に立つなど」


シルフの父親はシルフの言葉を遮るように


「考えるより先に体が動いてしまうんだろう、それはお前もわかるはずだ」


シルフは困った顔をしながら


「それはわかりますが、もう少し考えて行動をしてもらわないと」


シルフの父親は答える


「そんな彼を守るために家族がいるんだろう?」


シルフはさらに困って


「そうですが…」


シルフの父親はシルフに背中を向けて話し出す


「そしてお前にはもう一つの家族がある」


シルフはわからず


「え?」


シルフの父親は背中を向けたまま


「血のつながった家族がお前にはいる」


シルフは父親の言いたい事がわからず


「そうですが、何を言いたいんですか?」


シルフの父親は空を見上げ


「助けを待ってる家族がいる」


シルフは驚いて


「え…?それって」


シルフの父親はシルフの目を見て答える


「他の子供達もまだ生きている」


シルフは嬉しそうに


「本当ですか!?どこにいるんです?助けに行きましょう!」


Jr.も嬉しそうに


「やった!行こうよ!助けに!!」


シルフの父親は難しい顔をする


「それぞれなんとなくしか…」


シルフは笑顔で


「手がかりはあるんですね!マスターに話して一緒に探しましょう」


Jr.も嬉しそうに


「近くまで行けば、星助の力で見つけられるかも!」


シルフの父親は強い目で


「それはできない、これはうちの家族の問題だ。彼らに迷惑はかけられない」


シルフは答える


「そんなこと言っても、マスターはきっと引きませんよ」


Jr.も


「そうだよ!絶対一緒に探すって言うよ!」


シルフの父親は答える


「だからこうして家族だけで話している」


シルフの父親は続ける


「彼らは実にいい家族だ、しかし、目の前に助けを求める者がいたらどうする?」


シルフは答える


「マスターなら必ず助けます」


シルフの父親は頷き


「そうだ、それはとても素晴らしいことだ。だが子供達が助けを待ってる」


シルフの父親は続ける


「立ち止まっている暇は無いんだ、私がダンジョンにいた間にも状況は変わっているかも知れない」


シルフは考えている。


Jr.は父親に


「でも、みんながいた方が助けられるかも知れないよ?」


シルフの父親は答える


「確かにそうだ、ただこればかりはどうすればいいのかわからない」


静寂。


シルフが口を開く


「私達だけで、助けに行きましょう。ただ父さんにお願いがあります」


シルフの父親は答える


「私にできることなら」


シルフは続ける


「Jr.は行きたい方へ、自分で選ばせてあげてください」


Jr.は自分のことを言われて驚く


「兄ちゃん、僕は一緒に行くよ!」


シルフはJr.に


「よく考えて決めるんだ、マスターとも、仲良くなった星助とも離れることになる。それに危険もある」


Jr.は考え始める。


シルフの父親が話し始める


「Jr.の選択を尊重するよ」


シルフは続ける


「それと私を鍛えてください」


シルフの父親は答える


「私を止めてくれたんだ、十分な強さだろう?」


シルフは答える


「いえ、あれはみんながいたからです。一人でもみんなを守れるぐらい強くなりたい」


シルフの父親は答える


「わかった。教えられることは全て教えよう」


シルフは頭を下げ


「ありがとう、父さん。必ず家族を助け出そう」


Jr.がシルフに


「猿楽にはなんて言うの?」


シルフは考えながら


「そうですね、正直に言って素直に送り出してくれるかどうか…」


シルフの父親も考えながら


「そうだな、だが彼に嘘はつきたくない」


Jr.はそれを聞いて


「僕はどうしよう」


シルフはJr.に


「星助と話してみたらどうだ?」


Jr.は答える


「え?いいの?」


シルフの父親が答える


「どちらにしてもみんなには正直に話すつもりだ。相談しても構わないよ」


シルフも


「よく考えて、Jr.が納得のいく答えを出したら、父も私もそれを否定したりしないよ」


Jr.は嬉しそうに


「わかった!星助と話してくる」


シルフとシルフの父親は二人きりになる。


シルフが話し出す


「父さんを止める時、母さんと話しました」


シルフの父親は驚いた顔をするが、すぐに微笑んで


「そうか、母さんはなんて?」


シルフは答える


「怒られました」


シルフの父親は笑う


「母さんらしいな」


シルフも笑いながら


「はい、そしてマスターに貰った名前を伝えて…」


二人は笑ったり泣いたり、しばらく話し続けた…


その頃、テントでは、料理も終盤に差し掛かっていた。


猿楽が嬉しそうに


「こっちに来て、まさかこの料理が食べられるとは」


エンマは誇らしげに


「おいらに作れないものは無い!」


フックは猿楽に


「これは一体、なんていう料理で?」


猿楽は窯を見ながら


「ピザって言うんだ」


シャークはお腹が空いて、動けなくなりながら


「なんでもいいけど、早くしてくれー」


エンマはシャークの口に少量のピザを入れる


「あっちー!!何すんだ!!」


怒りながらもシャークは咀嚼する


「ん?うめぇ!!!」


エンマは嬉しそうに


「よし、じゃあ、味見はオッケーだな」


シャークは我慢できず


「おい!エンマ!もっとくれ!!」


エンマは答える


「うるさいから、味見させただけだ!準備するから我慢しろ!!」


盛り上がる、みんなから少し離れたところでJr.と星助が話をしている


「え?そうなの!?」


驚いた星助に、Jr.は続ける


「うん、僕どうしたらいいかな?」


星助は困った顔で


「そんな僕に聞かれても…」


Jr.は俯きながら


「そうだよね、困っちゃうよね」


星助は答える


「Jr.は家族を助けに行きたい?」


Jr.は答える


「もちろん!でも猿楽達や、星助と離れるのは寂しいよ」


星助は答える


「僕も寂しいよ、でもまた一緒に入れるようになるよ!だって僕たちもう家族なんだから!」


Jr.は答える


「うん、僕、決めたよ」


星助は答える


「後で聞くよ、猿楽達と一緒に」


エンマが二人を呼ぶ


「おーい!星助、Jr.!手伝ってくれ」


星助はJr.を連れて


「ご飯ができたみたい!いこ!!」


食卓にピザが並べられ、みんなが揃う

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