第一部 夢の一歩 25話
長らくお待たせいたしました!
ちょっと忙しすぎまして…
「お姉さん!次はミズナちゃんだよ!」
ロミルはミズナの方を見て
「ああ、いつでもいいぞ」
ミズナはポーズを取り、スキルを唱える
「バブル!」
ミズナはシャボン玉のようなものを、たくさん出す。
ロミルは迫ってくるシャボン玉を槍で振り払う、しかし割れたシャボン玉は爆発する
「この程度でどうにかなるとでも?」
爆発を意にも介さず、シャボン玉を振り払いながらロミルはミズナに接近する
「うそっ!ダイビング!!」
ミズナの足元に水たまり現れ、ミズナは潜って消える。
ロミルは追いかけるように、水たまりに入っていく。
別の場所の水たまりから現れたミズナの後ろから、ロミルが現れる
「えっ!普通入ってくる?」
ロミルはミズナを槍で突き刺し
「小細工は時間の無駄だぞ」
突き刺されたはずのミズナは水になって消え、別の場所に現れる。
ロミルの攻撃にビビっている様子のミズナ
「こわいこわいこわい!」
ロミルはミズナに
「下手な芝居はやめたらどうだ?」
ミズナはスッと立ち上がり
「あなた、嫌いだわ」
ロミルは槍を回し
「ファイアボール」
火の玉がロミルの周りに現れる
「純粋な魔法対決といこうか?魔法少女」
ミズナはロミルと同じように自分の周りに水の玉を出す
「水晶玉!」
ミズナはロミルに
「ミズナちゃんに魔法勝負挑むなんて、馬鹿じゃないの?」
ロミルは答える
「魔法において大切なことを知っているか?」
質問しつつも、火の玉を飛ばすロミル。
ミズナは迎え撃つように水の玉を飛ばし、答える
「想像力!でしょ?」
ロミルは火の剣を作り、飛ばしながら
「想像力も大事だが、創造力も大事だぞ」
ミズナは同じように水の剣を出し、答える
「意味わかんなーい!!」
ロミルは炎を渦のようにしてミズナに向かって飛ばしながら
「想像したものを創造する事、それが魔法」
ミズナは同じ技で返しながら
「さっきから想像想像って同じ事ばっかり!」
ミズナはイライラして、ロミルに
「もうどうなっても知らないから!!」
ミズナはそう言うと右手を伸ばす、右手の先には水が現れ、そこに手を突っ込むミズナ。
ミズナが手を引き抜くと、その手には杖がある。
ロミルはそれを見て
「ほう、やっと真面目にやる気になったか」
ミズナは杖を振り
「ミズナちゃん、いっぱい!!」
ミズナの瓜二つの分身が四人現れる。
ロミルは腕のストレッチをしながら
「本物も入れて五人か、少ないな」
五体のミズナは声を揃えて
「甘く見ないで!!」
ロミルは五人のミズナの攻撃を交わしながら、一人のミズナに槍を突き刺す
「何!?」
ロミルの槍を杖でガードし、後退するミズナ
「魔法だけじゃないもーん!!」
五人のミズナは円を描くように杖を回す。
すると円形の水溜りが空中に現れそこから、勢いよく水が噴き出す。
ロミルに5本の水柱が迫る、槍でガードするものの押されていき、吹っ飛ぶロミル
「やるじゃないか、私もギアを上げよう」
ロミルが槍を構えると、槍の柄から炎が噴き出す
「トバすぞ」
瞬間、ロケットのように発射した槍を持ったままロミルが、一人のミズナを突き刺す。
ミズナは水蒸気になって消える
「うそ…速すぎ!!」
ロミルは再び槍を構える
「次、いくぞ」
ロミルは二人目のミズナに向かって飛んでいく。
狙われたミズナに向かって、他のミズナが水柱を飛ばす
「避けられないなら、捕まえちゃうもん!!」
ロミルが槍を突き刺そうとした時、ミズナが膨れ上がる。
ロミルは1人のミズナが膨れ上がった水の塊の中に、突っ込んでしまう
「このまま溺れちゃえ!!」
ロミルは水の中でもがく
「ごぼっ!!」
ミズナは1人に戻り、喜んでいる
「これでミズナちゃんの勝ち!!」
ロミルの槍が赤く燃え上がる。
ミズナは驚く
「え?何する気?」
槍から腕、上半身、下半身、何かに感染していくようにロミルも赤く染まる。
ベシャリはその様子を見て
「何だあれは?」
王も驚いている
「彼女の強さに底は無いのか?」
水が一気に蒸発し辺り一面霧に包まれる
「感謝するぞ、終わりにしよう」
ミズナは焦りながら
「もう!!割に合わないって!!これで終わり!!!」
ミズナが杖を構えるとその背後から、大波が押し寄せる
「ビッグウェーブ!!飲み込まれちゃえーー!!」
赤く染まったロミルはニヤリと笑う
「いいぞ、その魔法!貫く!!」
赤く染まったロミルは槍を構える。
ロミルを染めていた赤の全てが槍に集まる、ゴポゴポと音をたてる槍
「マグナスピアー」
押し寄せる大波とマグマの様に燃える槍がぶつかり合う
大波を引き裂き、ミズナの目の前で槍が止まる
「こうさーん!!お姉ちゃんの勝ち!」
ロミルは槍を納め
「合格だ」
ベシャリは叫ぶ
「終了!!これにて闘技大会は終了です!なんと三名全員が合格!皆様も見ていた通り、彼らの強さは我が王国騎士ロミルに負けず劣らず!素晴らしい戦いでした!!」
観客たちは歓声をあげる
ベシャリは続ける
「では最後に王から一言お願い致します」
王は前に出る
「素晴らしい戦いであった。これから我が国のために力を貸していただきたいと思う。しかしまずは身体を休めてくれ、国民の皆さんも夜まで存分に楽しんでくれ」
観客たちはさらに沸く
ロミルはぼそっと
「さあ、ベシャリ、覚悟しろ…」
「何!?」
石を確認しようとしたロミルはその石が無くなっていることに驚く
「どこだ?ベシャリか?いや、そんな隙はなかったはず」
ロミルはアレルに駆け寄る
「アレル!石はあるか?」
アレルは石を取り出し
「ここにありますが?」
そこにチュウチュウが駆け抜ける
「ヘックション!」
アレルのくしゃみの隙にチュウチュウは石を奪い、逃げていく。
ロミルは顔面にくしゃみの唾が飛んできて対応できなかった
「お前なぁ!!」
アレルは申し訳なさそうに
「すみません、でもこれで石のありかはあの人の所という事」
ロミルはイライラしながら
「クソが、何をするつもりなんだ?」
アレルは冷静に
「王の間に呼ばれています。そこで聞いてみましょう。約束通り協力しますよ」
ロミルとアレル、ミズナ、イヴァンは王の間へと向かう。
王の間に着いた4人が並ぶと、ベシャリが嬉しそうに話し出す
「いやぁ、素晴らしい戦いでした!ロミルさんも満足でしょう?」
ロミルはベシャリに
「ベシャリ、お前に聞きたいことがある」
ロミルを制するように王が口を開く
「待てロミル。私もベシャリには聞きたいことがある。其方と同じだ」
ロミルは驚いて
「陛下もお気づきで?」
王は頷き、立ち上がり
「すまないな、イヴァン、アレル、ミズナ。其方ら三人には約束通り王国騎士として、今後力を貸してほしい」
イヴァンは素直に喜ぶ
「この俺の力で魔物は全部ぶっ飛ばすぜ!」
アレルは王に
「すみません、辞退で」
それを聞いた王は冷静で、ベシャリが驚く
「貴様!何を言ってる?」
イヴァンも驚いて
「じゃあ何で参加したんだお前!」
アレルは答える
「面白そうだったから。役職や金には興味が無い。俺は森に戻って修行する」
ミズナも続いて
「ミズナも報酬次第かな?」
イヴァンは開いた口が塞がらない
「お前らなぁ」
ロミルはイヴァンの肩に手を置き
「真面目にやってたのはお前だけだったな」
王は三人に
「無理強いはせぬ。ただこの国に危機が訪れた時は、力を貸していただきたい。イヴァン、其方にはこの国の騎士として期待している」
ベシャリは慌てながら
「良いのですか?陛下!そんな勝手な!」
ロミルはそんなベシャリに
「別に協力しないとは言っていないだろう。この国に危機が訪れれば、彼らは力を貸してくれる」
ベシャリは納得いかない様子で
「しかしだな!自由にさせすぎではないか!」
ロミルはベシャリに
「自由なのはお前も同じだろう?」
ベシャリは少し戸惑いながら
「私が?何を言っている!」
王が口を挟む
「ベシャリ、この闘技大会で何を企んでいたのか、話してもらうぞ」
ベシャリは焦りながら
「陛下まで!私は何も企んでなど!」
ベシャリの言い訳を止めるようにミズナが
「おじさん、諦めなよ〜。はいこれ」
ミズナは光る石をベシャリに見せる
「お前!何を!」
ミズナは舌をぺろっと出し
「ミズナちゃんは報酬次第!」
ベシャリはガクンと肩を落とす




