第一部 夢の一歩 22話
新キャラ登場!!
闘技場に四名が向かい合う。
ベシャリが紹介をする。
「さぁ!決勝に残った強者を紹介します!Aブロックを勝ち抜いたのは、筋骨隆々、ここまでの敵をその拳で殴り飛ばしてきました!スヴァル・クラーク!!」
身体が大きく、筋肉も凄い男が雄叫びを上げる
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ロミルは小さな声で
「ちっ、うるさいな」
ベシャリは二人目を紹介する
「続いてBブロックを勝ち抜いたのは、目にも止まらぬ剣捌きで敵を一刀両断!決勝でもその斬れ味を見せてくれるのかー!!侍ソルジャー、アレル!!」
むず痒そうに鼻をすすりながら、アレルはボソッと
「ソルジャーって付けるなよ、かっこ悪い…」
ロミルはアレルを見て
「ほう…あいつ、強いな」
アレルは大きなくしゃみをする
「ヘックション!!」
ロミルは頭を抱え
「緊張感のないやつだ」
ベシャリが三人目を紹介する
「続いてCブロックは、最年少!かわいらしい美少女がまさかの優勝!この決勝でも勝利することができるのか!?水魔法の使い手、ミズナ・マホ!!」
少女がポーズを決める
「魔法少女ミズナちゃんでーす!!」
ロミルはミズナを見て
「ガキじゃないか」
ベシャリは最後に
「さあそして!この三名に、我が王国の騎士が直々にお相手します!ロミル・クアミレア!!」
ロミルは槍を振り回し、地面に突き刺すと、軽くお辞儀をする。
観客達は沸いている。
ベシャリが決勝戦のルールを説明する。
「では決勝戦のルールを説明します!ルールはポイント制!四者一同に戦闘をし、その攻撃が相手に有効と判断されれば相応のポイントを獲得できます!時間は無制限!ダメージによるダウン、もしくは降参によって、最後の一人に残るまで行います!終了時に最もポイントを獲得したものが優勝となります!」
ミズナは頭を抱える
「んーーー難しいーー!!」
スヴァルは拳を叩き、音を鳴らす
「相手を全員ぶっ飛ばせばいいだけだ!」
アレルは独り言のように
「複数戦はあんまりなんだけどな…まぁ自分以外は敵って考えると少しは楽か…」
ロミルは心の中で
「クソみたいなルールだ、めんどくさい」
ベシャリは続ける
「所持ポイントの計算は私のチュウチュウが行います!スキル等が当たってしまってもお気になさらず!代わりはいくらでもいます!」
ベシャリはスキルを唱える
「マウスキーパー!」
チュウチュウが四人に向かって走っていく。
ベシャリは続けて
「では、開始の合図は、我が国王にお願いします!」
王は玉座から立ち上がり、話す
「健闘を祈る。始め!!」
王の号令によって始まった決勝戦。いち早く動いたのはイヴァン。
イヴァンは思いっきり地面を殴る。
すると地面は割れ他の三人はバランスを崩す。
「悪いな、嬢ちゃん!最初に脱落してもらうぜ!」
割れる地面に驚いていたミズナの前に腕を振りかぶったイヴァンが現れる
「わわわ!マシマロ!!」
ミズナの前に球体の水が現れ、イヴァンの拳を受ける。
衝撃を吸収した水は消え、拳を止められたイヴァンは笑う。
「ガハハ!!いいぞ!嬢ちゃん!もう一回行くぞ!」
先ほどより力を込めて、振りかぶるイヴァン。
ミズナは慌てながら
「おじさん怖いい!!マシマロ!!」
イヴァンの拳が先ほどと同じように水の球体を撃ち抜く。
しかし、今度は拳は止まらず水を弾けさせ、ミズナに迫る。
「一人脱落だ!!」
勝利を確信し、ミズナの腹を思い切り殴るイヴァン。
声も出せずその場に倒れ込むミズナ。
「次は侍、お前だ!!」
イヴァンはアレルを指差し、笑う。
アレルは鼻を啜りながら、近くにいるポイント計算のチュウチュウに話しかけている
「もうちょっと離れてくれるか?苦手なんだ…」
チュウチュウは悲しそうにアレルから離れる。
イヴァンはそんなアレルに
「おい!!俺と戦え!!」
そう言いながらアレルに接近し、右ストレートを繰り出す。
アレルは最小限の動きで躱し、刀に手をかける。
イヴァンは自分の拳が躱されたことを理解しつつも、まだ振り終えていない拳を戻すことは出来ず。ただ、今目の前で刀を抜こうとしているアレルを見ることしかできない。
「ヘックション!!」
アレルは刀を抜く前に、大きなくしゃみをする。
イヴァンは顔の前で思い切りくしゃみをされ怯む。
そして何が起こったか一瞬理解できず、自分の身体が斬られていないかを確認する。
「斬られてない…!あいつ戦いの最中にくしゃみしやがった!舐めやがって!!」
アレルは怒るイヴァンに
「あ〜、悪い…敏感なんだよ。魔物が近づくとくしゃみが出ちまう」
イヴァンは怒りを抑えて、冷静に心の中で考える
「なんだそれ、だが実力は本物、迂闊に突っ込めば次はやられる」
アレルはイヴァンに
「考え事してると、足元掬われるぞ」
イヴァンが何の話をしているのかと疑問に思った瞬間、自分の真上に脅威を感じる
「トンカチーーー!!」
倒れたはずのミズナがイヴァンの背後で大きな水のハンマーを作り出していた。
イヴァンは咄嗟にガードをする、水のハンマーを受け止め、踏ん張り耐える。
水のハンマーは水に戻りイヴァンはびしょ濡れになりながら
「どういうことだ?嬢ちゃん!」
ミズナはあっかんべーをしてイヴァンに
「教えてあげなーい!!」
そしてイヴァンを指差し
「強火!」
イヴァンは何か攻撃が来ると思って身構えるが何も来ない。
そう思った瞬間全身が沸騰したように熱くなる
「あちぃ!!なんだ!?」
イヴァンの身体についていた水が沸騰した、全身から蒸気を発し、火傷を負ったイヴァンを見てミズナは
「すごーい!おじさん!!これみんな悶絶するのに!!」
イヴァンは笑う
「ガハハハ!!これは楽しめそうだなぁ!!」
アレルが呟く
「集中」
アレルの周りを円状に風が吹く。
殺気に気づいたイヴァンはガードの態勢を取る、その瞬間、一閃。
イヴァンはガードで構えた腕が少し斬られる。
ミズナは胴体を真っ二つにされるも、水になって消える。
アレルは抜刀した刀を鞘に戻しながら
「居合抜刀・フウジン」
技名を言い終わり、構えをといたアレルは続ける
「流石にこれじゃ、やれないか…でもこれで諦めてくれてもいいんだぜ」
イヴァンが答える
「ガハハハハ!!諦めるわけねぇだろ!!」
ミズナもどこからか現れて
「おじさんもすごーい!!じゃあミズナもすごいの見せてあげる!!」
ミズナはニコニコしながら、楽しそうにポーズを決めて
「海の窓」
空中、地面、色々な所に水たまりのようなものが現れる、大きさは直径2m程。
アレルは刀に手をかける。
イヴァンも構える。
ミズナは続けて
「いっくよー!!おいで!!みんな!!」
水たまりの一つから凶暴な魚たちが別の水たまりに向かって跳んで出てくる。
アレルは刀を抜き魚を斬る。
イヴァンも殴って対応する。
ミズナはさらに
「まだまだだよ〜!次はもっと速くー!!」
先程よりも速い速度で魚たちが襲ってくる。
アレルは回避を混ぜながら、魚を斬る。
イヴァンは魚に噛みつかれながらも大したダメージは無く、対応しているが
「あぁ!!イライラするな!!」
ミズナは楽しそうに笑っている
「いいねいいね!もっと速くしちゃう??」
アレルは魚に対応しながらもくしゃみをする
「ヘックション!これ以上は勘弁だな…」
アレルは出入り口になっている水たまりを斬る、同時にイヴァンも別の水たまりを殴って壊す。
ミズナはそんな二人を見て
「あー!!だめだめ!!新しく作らないとじゃん!!」
そう言ってまたスキルを唱えようとした瞬間、水たまりが全て消える
そしてイヴァンが吹っ飛ぶ。
アレルはかろうじて攻撃を刀で受ける、目が合った相手はロミルだ
「ほう、受けるか。だが弱いな!」
アレルは刀でロミルの槍を受けたもののそのまま振り抜かれ吹っ飛ぶ。
ミズナは一瞬で吹っ飛ばされた二人を見て、驚いていると背後から槍で刺され水になって消える。別の所から現れたミズナの目の前にロミルが現れ、片手で持ち上げられる。
「足が水に触れていれば、分身を置き水の中に逃れる、というところか?」
ミズナは図星だったことと移動した先にロミルが高速で現れた、今の状況に驚いて動けないでいる。
「まあいい」
質問に答えないミズナを放り投げ、三人に向かってロミルは話す
「本気でやれ、でなければ審査にならん。出し惜しみしてると、全員不合格だぞ」
ロミルのポイントは10ポイント。
イヴァン、アレル、ミズナは2ポイント。
三人は立ち上がり、ベシャリは不敵に笑う。




