第一部 夢の一歩 18話
本当は昨日17話が投稿される予定だったんですけど、予約の日付間違えちゃったのは内緒…
てなわけで今日は2話分一気にどうぞ!
シルフは風を纏っている
その姿を見た猿楽はぼそっと
「かっこいい…」
コウモリはシルフの姿を見て
「風の精、彼は今、風と一体になっている…」
シャークはシルフを見て
「凄ぇじゃねーか!」
フックはシルフに
「風の鎧ですか?」
シルフは答える
「鎧とは少し違いますが、フックのスキルからイメージは貰いました」
エンマはシルフに
「どんなスキルなんだ?」
シルフはスタートを切るような体勢に構えながら
「それはこれから確かめます」
そう言ってシルフは地面を蹴る、シルフは目にも止まらぬ速さでヴォルフガングを通り過ぎ、反対の壁に脚をつき身体を止める。
壁は大きくへこみ、衝撃が走る。
そしてもう一度蹴り出し、折り返すようにヴォルフガングに突っ込んでいくシルフ。
通り過ぎざまにヴォルフガングの脚を切り裂くように前脚を振るシルフ。
そして着地する。同じように地面はへこむ。
コウモリは呟く
「なんという速さ…」
エンマは戻ってきたシルフに
「速すぎだろ!!」
シルフの脚が震えている
フックはそれを見て
「制御しないと先に壊れるのはあなたの方ですよ、シルフ」
シルフは答える
「そうですね、自分の速さについていけてません」
シャークも寄ってきて
「俺は嫌いじゃないぜ、そういう自分の身を削る大技」
ヴォルフガングは雄叫びをあげて立ち上がる
「グルァァアアアアア!!!」
全員意識をヴォルフガングに向ける。ヴォルフガングは再び竜巻を飛ばしてくる。
四方八方無作為に放たれた竜巻は壁や天井を壊していく。
エンマは回避しながら
「このままじゃここがもたないぞ!!」
シャークは大きな声で
「どうすんだぁ??」
フックは落ちてくる瓦礫を避けながら
「これでは飛んでいることもままならない」
その時、暴れるヴォルフガングが止まるほどの雄叫びがこだまする
「グオオオオオオオオ!!!」
ヴォルフガングはターゲットを雄叫びの主に向ける。
雄叫びをあげたのはシルフだ
「皆さん、父の動きを止められますか?」
シャークが答える
「脱皮はもうできねぇ、スキルもあと一発だ」
エンマも
「おいらも魔力が、それに植物のストックもあと一つ」
フックは状況を確認する
「私も魔力が足りません、皆さんも満身創痍…」
猿楽が声をあげる
「俺がしがみついてでも動きを止める!」
エンマはツッコむ
「このバカはほっといてどうするよ?」
フックは答える
「馬鹿の発想も悪くないですよ」
猿楽は嬉しそうに
「本当に!?よし!じゃあみんなで羽交締めにしよう!」
シャークが猿楽に
「あんなデカいのどうやって羽交締めにすんだよ!」
猿楽はたじろいでいる
「それは、その!どうにかみんなで頑張って…」
フックが猿楽の代わりに答える
「エンマ、ツタをもう一度出せますか?」
エンマは答える
「最後の一本だ、出せるぞ」
作戦会議をヴォルフガングは待ってはくれない…
シルフに向かって突進してくる。
シルフは正面から向かい撃つように突進する。
ヴォルフガングとシルフの額がぶつかる。
シルフの額から血が流れる
「父さん、少し待ってくれませんか」
ヴォルフガングは答えるように
「グオオオ!!!」
二人は言葉を交わし離れる。
エンマはその様子を見ながら
「急ぐぞ!フック!説明してくれ!!」
フックは空を飛びながら
「簡単です。エンマのツタで雁字搦めにします!」
シャークはエンマに
「よっシャ!ツタ出せ!!」
エンマはスキルを唱える
「シャーク!頼んだ!成長」
エンマが出したツタを咥えて、ヴォルフガングに向かっていくシャーク
猿楽は戦うシルフに報告する
「シルフ!作戦が決まった!俺たちに任せろ!!」
シルフは一度下がり、集中する
「ありがとうございます。すみません、集中します!」
シャークはヴォルフガングの身体にツタを巻きつけ、ツタの先端を飛んでいるフックにパスして、シルフに声をかける。
「チャンスは一度だ!頼むぜシルフ!!」
フックは空中でツタを受け取り、嫌がり暴れるヴォルフガングの攻撃を躱しながら、さらに巻きつけていく。
そして、今度はエンマにパスをする。
「エンマ!締めは任せました!」
エンマはツッコむ
「おい、こんな時にダジャレかよ!!」
シャークは爆笑する
「シャッシャッシャ!!!フックお前顔赤いぞ!!」
フックはダジャレを言うつもりじゃなかったので、恥ずかしくなる
「いや、そんなつもりは!第一そんなダジャレ、私が言うわけないじゃないですか!」
エンマはツタを持って、ヴォルフガングの身体を駆けずり回りながら
「フックも焦るんだな!ははは!!」
フックはスキルを唱える
「突風」
フックのスキルの突風がエンマに向かって飛んでいく
「おい!馬鹿野郎!」
エンマは驚いて動きを止める、そこにツタで身体を動かせない状態で首を動かしエンマに向かって竜巻を飛ばすヴォルフガング。
それを予見していたのか、フックの突風が相殺する
「エンマ、首を固定してください、でないと右目が狙えません」
そう言いながら、魔力を使い切ったフックはふらふらと地上へ降りていく
エンマはフックの言葉を聞きヴォルフガングの顔を見る、ちょうどヴォルフガングもエンマを見ていた。
「おお!!こえぇえええ!!!」
エンマはツタを握って、一度ヴォルフガングの身体から降りる。
そこにシャークがやってきて
「貸せ、エンマ!俺がやる!」
エンマはツタの先端をシャークに託す
「どうやって顔を固定するんだ?」
シャークはニヤリとして
「気合いだ!全部出し切るんだよ!!」
そう言って突っ込んでいくシャーク、エンマはそんなシャークに
「やっぱり馬鹿だ、あいつ」
魔力も無くなり、ツタを持って駆けずり回ったエンマはその場にしゃがみ込む
「おいらももう駄目だ、動けねぇ」
シャークはヴォルフガングの背中に乗るとシルフに向かって叫ぶ
「シルフ!もうすぐだ!準備はいいか!」
シルフは答える
「わかりました。任せてください」
シルフは目を瞑り、イメージを固めていく。
シャークは暴れるヴォルフガングに
「お前、ちょっと落ち着けよ。これからいいところなんだ」
シャークのお腹が大きくなり、口元に何かが移動していく。
シャークは大きく口を開け、液体を吐き出す
「毒にも色々あるんだ、ちょっと痺れるぜ」
ヴォルフガングの動きが鈍くなる
「グルァァ!」
シャークはヴォルフガングの顔に向かって走り出す
「麻痺毒、嬲る趣味はねぇからあんまり使わないんだが、今回はサポートだ」
首をロックするようにツタを巻いていくシャーク。
シルフの周りに風が集まっていく。
「風は自由…狙いは右目…そこに向けて道を作るイメージ」
ただならぬ雰囲気を出すシルフに気づいたヴォルフガングは雄叫びをあげ、動きづらい首を動かしシルフに向かって口を大きく開ける。
フックはそれを見て
「シャーク!!」
エンマも
「口を塞げ!!」
シャークも気づき
「クソッ!!間に合わねぇ!!」
シャークがヴォルフガングの口をツタで巻くよりも先にシルフに向かって竜巻が飛んでいく
「グォォオオオオオオ!!!!!」
シルフは目を瞑り、集中している。
竜巻がシルフに向かっていく
エンマが叫ぶ
「シルフ!!!」
シルフは目を開ける。
目の前で猿楽とJr.が盾になる。
「マスター!Jr.!!」
猿楽とJr.は倒れるがシルフに向かって
「お兄ちゃん…!」
「いけ…シルフ!!」
シルフは決意を固めてスキルを唱える
「風の通り道」
シルフの周りに集まっていた風が、ヴォルフガングの右目に向けて道を作る
シャークはヴォルフガングの口を塞ぎ終え、離れる
「ロック完了!!ぶちかませ!!」
シルフは身構える
「皆さん、ありがとうございます…いきます!!父さん!!」
シルフは踏み込み、目にも止まらぬ速さで右目に向かって進んでいく
コウモリはその様子を見て
「制御は効かないまま、しかしあらかじめ道を作ることでコントロールした」
シルフは風の道を抜け、右前脚を突き出す
「一陣の風…疾爪!!」
右目を貫き、魔石が砕ける…
ヴォルフガングは雄叫びをあげる
「グオオオオオオオオオオ!!!」
痛みに暴れながらも倒れるヴォルフガング
シルフは着地すると、倒れる。
それを倒れる前に猿楽がボロボロの状態で支える
「やったな!シルフ!!」
Jr.も近くに来ていて
「お兄ちゃん!凄かった!!」
シルフは支えて貰いながらヴォルフガングの方を見て
「父は…どうなりましたか…」
猿楽、シルフ、Jr.は倒れたヴォルフガングの方を見る