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第一部 夢の一歩 16話

気温の変化についていけない今日この頃

二体のヴォルフガングと向かい合う、猿楽達


「グルルルル…」


一体はシャークとフックの攻撃のダメージが残っているが、先程よりは回復してしまっている。


どちらが先に動き出すか、緊張感が漂っている。


先に動き出したのは、猿楽達だった。

__________________________________________________

ヴォルフガングの所へと向かいながら作戦を確認する猿楽達


星助を抱えながら走る猿楽、シルフの背中に乗るJr.とエンマ、シャークを掴み飛んでいるフック。


一番後ろにはコウモリ。


エンマが全員に聞こえるように話し始める


「相手が仕掛けてこない限りは、星助の合図があるまで戦闘禁止だ」


フックはシャークに


「突っ込んで行きそうなのは、シャークぐらいしかいませんけどね」


シャークは答える


「あ!?俺だって少しは考えてから動いてるわ!!」


エンマは続ける


「星助が魔石の位置を感知出来た場合、二体を分断して一人づつ相手する」


シルフは答える


「分断できるでしょうか?」


猿楽が答える


「できるさ!俺たちなら!」


シャークも賛同する


「シャー!やれるに決まってんだろ?」


フックが呆れたように


「馬鹿二人はほっといて作戦はあります。シャークの分身で気を引き、エンマの植物で壁を張ります」


シルフは答える


「なるほど、エンマの植物だけで抑えていられるでしょうか?」


エンマが答える


「そこなんだよな、おいらもできるだけ魔力を使ってデカい木にしようとは思ってるんだけど、やってみないとわからねぇ」


猿楽はエンマに


「エンマなら大丈夫!」


星助が不安そうに話し出す


「そもそもボクが魔力を感知できなかったら…」


猿楽は星助に


「星助なら絶対できるから大丈夫!」


シャークが猿楽に


「どっからくるんだよ、猿楽のその自信は!」


猿楽は答える


「信じてるから。俺にはスキルとか無いし、戦うことは出来ないから…」


「みんなの事を全力で信じるんだ!」


コウモリが心の中で話す


「猿楽の言葉で、全員が自信を持った。それになんだ…全員の魔力が上がった?」


エンマは軽くため息を吐き


「はぁ、猿楽に信じられるとどうにかしなきゃってなるんだよなぁ」


シルフも


「マスターに出来ると言われると出来てしまう気がするんですよね」


シャークがフックに


「俺は猿楽に言われなくても出来る気しかしてねぇけどな」


フックは答える


「明らかにテンション上がって気合い入ってるんですから、その時点で猿楽のおかげでしょう」


シャークは言い返す


「テンションは自信と関係ねぇだろ!?」


Jr.が小さな声で


「僕にも出来ること、あるかな…」


シルフがJr.に


「ありますよ、父さんと母さんを一緒に助けましょう」


Jr.はシルフに


「うん!頑張る!!」


エンマが指示を出す


「もうすぐだ!準備はいいな!!」


各々返事をして、ヴォルフガングと対峙する

__________________________________________________

緊張感の漂う中、静かな声で星助が猿楽に


「見えるよ、猿楽…」


猿楽はヴォルフガングの方を見たまま嬉しそうに笑顔になり、静かに返事をする


「さすが、星助。出来たな!」


そう言うと猿楽は右手を挙げ、全員に合図を出す


「魔石位置確認!分断作戦!!!」


緊張を破る猿楽の声、一斉に各々のやる事に向けてスタートを切る


シャークが声を上げて、ダメージの無いヴォルフガングの方へ突っ込んでいく


「シャーーーー!!開幕じゃーーーー!!」


シャークがヴォルフガングに思い切り踏みつけられる


猿楽は思わず声を上げる


「シャーク!!!」


フックが猿楽の頭の上に乗り


「落ち着いてください!作戦通りです!」


煙の中からシャークが現れ、ヴォルフガングの周りを動き回り気を引いている


猿楽はほっとしたように


「そうだ、脱皮があるんだった」


フックは猿楽の頭から飛び立ち


「のんびりしている暇はありませんよ!羽根の舞(フェザーダンス)獣の鎧(ビースト)


フックの羽根はシルフの身体に鎧のようにくっついていく


シルフはフックの羽根を装備し終わると、ダメージの残っているヴォルフガングに向かっていく


「ありがとうございます。フック」


フックは突っ込んでいくシルフに向かって


「多少のダメージは無視して突っ込んでください」


エンマはそんなフックに向かって


「キャプテン、次はおいらだぞ!」


フックは答える


「わかってますよ」


そう言いながら、ジャンプしたエンマをキャッチしてさらに上へ飛び上がるフック


「ちょっと重たいですね」


エンマはフックに


「鍛え方が足りてないんじゃないか?」


フックはなにも答えず、黙ってエンマを離す


「おい!?馬鹿野郎!フック!!」


フックは落ちていくエンマに


「キャプテンには優しく接してくださいね」


落ちながらエンマは叫ぶ


「もう始めんぞ!シャーク!」


シャークは落ちながら叫ぶエンマに笑いながら


「シャッシャッシャ!お前どういう状況だよ!!」


エンマは着地と同時にスキルを唱える


成長(グロウ)


地面から木が生えてくる。シャークが戦っているヴォルフガングを囲むように次々にエンマは木を成長させていく。


木の隙間をすり抜け包囲網を抜けたシャークはスキルを唱える


「起きろ!分身(アヴァターラ)!気を引け!」


シャークの脱皮した抜け殻が起き上がりヴォルフガングの周りを動き回る。


ヴォルフガングは分身を倒そうと暴れるが捉えられない


「俺の分身は速いぜ」


囲んでいる木に降り立ちフックがシャークに


「速さだけですけどね」


シャークがキレるよりも先に猿楽が


「すげー!脱皮だ!脱皮した皮が動き回ってる!!」


シャークは怒りを忘れ嬉しそうに


「すげーだろ、猿楽!」


シャークと猿楽が話してるのを見ながらフックは呟く


「単純すぎません?」


そこにエンマがきて


「馬鹿二人!喋ってる時間はねぇぞ!」


猿楽達はシルフが戦ってる方に向かう


「星助!どうだ?」


星助はヴォルフガングを見つめて、魔力を感知する


「見えたよ!左肩の上の方!」


猿楽は戦っているシルフに向かって叫ぶ


「シルフ!左肩の上の方!」


シルフは一度下がり言われた場所を確認する


「かしこまりました。一撃で決めます」


フックとシャークがシルフに


「お手伝いしますよ」


「いいところは譲ってやるよ!」


シルフは二人に向かって


「よろしくお願いします」


シャークがヴォルフガングに突っ込んでいく


「お前との戦いはもう終わってんだよ!」


フックはエンマを掴み飛ぶ


「まだいけますよね?エンマ」


エンマはびっくりしながらも答える


「おいらも!?なにしたらいいんだよ?」


フックは答える


「エンマなら見てればわかりますよ」


エンマが戦況を見つめる中、シルフは覚悟を決める


「私が助けます。必ず!」


決意を固め、シルフは地面を蹴り、跳び上がる。


シャークはヴォルフガングの攻撃を躱し、右前脚に一撃を加える。


「シャークガム!!」


ヴォルフガングの右前脚に向かって、弾丸のように飛びつき噛みちぎるシャーク。


フックは少し驚いたように


「新技ですか、シャーク」


それを聞いたエンマが驚いて


「あの技、今作ったのか!?」


フックはエンマを離し、答える


「スキルは閃きによって、オリジナルで作ることも可能です」


エンマはツッコミながら落ちていく


「だから急に離すな!」


フックはヴォルフガングに羽根を飛ばしながら


「即興ですよ。エンマ、あなたなら出来ます」


エンマは落ちながらも状況を確認する


「即興!?考えろ!おいら!!!」


ヴォルフガングはシャークの一撃で右膝をつく、そこにフックの羽根が飛んでくる


羽根の舞(フェザーダンス)突き刺す雨(スタブレイン)


膝をついたヴォルフガングに追い打ちをかけるように、フックの羽根が雨のように降り刺さる


「エンマ!」


フックに指示されエンマは即興でスキルを発動する


「即興!!スキル!締めるツタ(ロック・ザ・ウィップ)!!」


エンマの手のひらからヴォルフガングに絡みつくようにツタが伸びていく


「動きは止めた!!いけ!シルフ!!」


エンマは宙に跳んでいるシルフに向かって叫ぶ


「皆さん、ありがとうございます」


シャークはシルフに向かって


「ぶちかませ!!」


フックは空の上から


「決めてください!」


猿楽、星助、Jr.は声を揃えて


「いけー!!シルフ!!」


シルフは狙いを定めて、落下しながら身体を捻る、ヴォルフガングは最後の力を振り絞り咆哮をあげる。


咆哮と共に竜巻がシルフに向かって飛んでくる。


それを見たコウモリは呟く


「あれは、風魔法?」


ドリルのように回転しながら、シルフは竜巻に向かって突っ込んでいく。


竜巻の中心を抜け、魔石のある左肩の目の前に辿り着いたシルフはそのまま自分の回転を利用して思いっきり右前脚を振り抜く。


「グァアアアアア!!!」


ヴォルフガングは痛みで声を上げる、左肩を抉り取ったシルフの右前脚には魔石がある。


魔石を宙に投げ、シルフは口を開けて思いっきり噛み砕く。


魔石は砕け、キラキラと落ちていく。


「ここはどこだ?」


魔石を砕いたはずのシルフは広い草原にいた。


「ありがとう」


シルフの目に涙が浮かぶ、声のする方を見なくてもわかる。


シルフは振り向きながら


「母さん…」

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