第一部 夢の一歩 10話
間に合わなかった…いつもの22時に…でも投稿しちゃう!だってだって記念すべき10話ですもの!!
洞窟の中にて
「にゃはは、やっぱりあの人間面白いにゃ!!」
猫は大笑いして喜んでいる
「陛下、いかがいたしますか?」
ヴァンピは尋ねる
「どうしようかにゃ〜?」
猫は楽しそうに考えている
「まだ直接会うには早いにゃ、でもちょっかいは出したいにゃ!」
ヴァンピは答える
「ではこういうのはどうでしょう?彼らを敵として配下を何人か送るというのは」
猫は笑顔で
「にゃるほどにゃぁ、じゃあグーフォとナヘカを向かわせるにゃ!」
ヴァンピはコウモリを一匹飛ばしながら
「あの二人をお選びになるとはさすがです」
猫は髭をいじりながらドヤ顔で
「当然にゃ!」
ヴァンピはお辞儀をして
「陛下、こういうのはどうでしょうか?」
ヴァンピはそう言い、猫に内緒話をする。
内容を聞いている猫はニヤニヤし始め
「それは楽しそうにゃ!!すぐ準備するのにゃ!!」
ヴァンピも少し楽しそうに答える
「かしこまりました」
猫の高笑いが洞窟に響き渡る…
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洞窟の入り口に立っている猿楽達、猿楽が話す
「どうする?行くよな?これは行くしかないよな!?」
エンマは少しビビりながらも、笑って
「猿楽は行きたくてたまらないんだろ?」
シルフがワクワクしている様子の猿楽を見て
「さすがマスター。この洞窟を前に楽しみの方が上回っているなんて」
エンマはシルフの背中に乗り
「バカなだけだよ」
猿楽は再確認する
「じゃあ満場一致でこの洞窟に入るって事でいいな?」
星助がすぐさま
「プギ!」
シルフとエンマも合意する
猿楽は真面目な顔になり
「危ない事は絶対にしない。シルフの弟達がいるかも知れない。見つけてみんなで家に帰ろう」
シルフが答える
「はい、マスター」
エンマは猿楽の様子を見て、ツッコミ口調で
「急に真面目だな!!でも思ってる事はおいらも同じだ」
猿楽は頷き
「それじゃあ、行くぞ!」
猿楽達は洞窟の闇に消えていく
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フクロウのような魔物グーフォ、蛇のような魔物ナヘカが二人で話している
「陛下ってなんでこんな洞窟の中にいるんだろうな」
ナヘカがグーフォに話しかける
「わからん」
グーフォは答える
「気にならないか?」
ナヘカはグーフォに尋ねる
「ならんな、わしは陛下の配下なのだ。陛下がいるところがわしの居場所であり城なのだ」
グーフォはそう言い、ナヘカの方を見て
「お主もそうであろう?」
ナヘカはニヤリとしながら
「まぁな、懐かしいな、俺ら二人でボコされた時が」
グーフォも少し笑いながら
「わしらも若かったな、誰彼構わず挑んでおった」
ナヘカも笑い
「シャシャシャ!!最初の敗北が陛下だったな!」
グーフォも昔を思い出し
「今なら勝てると思うか?」
ナヘカは答える
「あの時よりはいけるだろ?」
グーフォとナヘカはお互いを見て、同時に
「試してみるか」
一瞬の緊張感のあと、笑い出す
そこにコウモリが現れ、ヴァンピの声が聞こえる
「相変わらず威勢がいいですね、お二人は」
グーフォは笑うのをやめコウモリに話す
「ヴァンピ様、何用で?」
ナヘカは嬉しそうに
「仕事か?戦えるのか!!」
ヴァンピは答える
「はい、陛下が今楽しんでいる人間がおりまして…」
ヴァンピが話している途中でナヘカが割り込む
「よっシャー!!やっちまっていいのか!?」
グーフォも横で気合いが入った様子
ヴァンピは答える
「生かしておいては欲しいのですが、可能ですか?」
ナヘカは少し残念そうにしている、グーフォが答える
「可能だがどこまでを求める?」
ヴァンピは答える
「詳しくは陛下からお話が」
ナヘカが答える
「陛下を楽しませたらいいんだな」
グーフォはナヘカを脚で掴み飛ぶ
「今すぐ伺いましょう」
コウモリとグーフォ、ナヘカは猫の元へと向かう
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ヴァンピが話し始める
「今からあの二人が参ります」
猫は傷だらけで、玉座に座っている
「どうにゃ?ヴァンピ」
猫は痛そうな芝居をしている
「とても痛々しいです…これならば二人は騙されるかと」
ヴァンピも少し楽しそう、そこにグーフォとナヘカの声がする
「お待たせしました、陛下」
グーフォはナヘカを放し、着地する
「陛下!!誰にやられた!?」
猫の様子を見たナヘカが怒った顔で言う
グーフォも続けて
「ヴァンピ様!なぜ黙っていた?」
猫は後ろを向き笑いを堪えながら
「我が止めたのにゃ…こんな恥ずかしい姿…見せられないからにゃ…」
ナヘカは怒りを抑えながら
「陛下が面白がっている人間ですか?」
猫は後ろを向いたまま
「そうなのにゃ…」
グーフォはヴァンピに
「場所は?」
ヴァンピが答えようとすると猫が割り込み
「行かなくていいにゃ!」
ナヘカはさらに沸く怒りを抑え
「なぜですか!」
猫は振り向き
「お前達が行ったら殺してしまうにゃ」
ナヘカは怒りを抑えきれなくなり、大きな声で
「なんで殺しちゃいけねーんだ!!」
グーフォも
「陛下をこんな姿にした者など生かしておく必要はありません!」
ヴァンピが今にも暴れ出しそうな二人を押さえつけ
「陛下が殺すなと言っているんだ」
二人はヴァンピに抑えられ動けないでいる
猫が話し出す
「お前達の気持ちもわかるにゃ、だから軽く痛めつけて欲しいのにゃ」
ヴァンピが続いて
「殺すなよ」
ナヘカは何も言わず、グーフォが答える
「場所は?」
猫は二人にバレないようにニヤリとする
ヴァンピがグーフォに
「私のコウモリが案内します」
そう言って二人を解放する
ナヘカが少し痛がりながら
「行くぞ、グーフォ」
グーフォはナヘカを掴みヴァンピのコウモリを追っていく
二人が見えなくなるまで見送った後猫は大笑いして
「にゃっはははは!!!大成功にゃ!!!!」
猫は涙が出るほど笑った後、冷静になり
「あの二人、殺しちゃったりしないかにゃ?」
ヴァンピも笑いながら
「その時は私が止めに入ります」
猫は答える
「頼んだにゃ!」
猫は嘘の包帯などを外し、玉座に座り直し
「楽しみにゃ…」
ニヤニヤしながらつぶやいた
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洞窟に入った猿楽達は、ランタンを点け、進んでいた
猿楽がシルフに
「弟達の匂いとか気配って感じるか?」
シルフは集中して感知する
「微かですが、弟達の気配を感じます」
猿楽は笑顔で
「よし!絶対見つけて連れて帰るぞ!」
エンマが辺りを見ながら
「この洞窟どこに続いてるんだろ?魔物がいっぱいいたりしないよな?」
シルフが答える
「魔物の気配もたくさん感じます…遭遇したら逃げましょう」
猿楽は同意して
「そうだな!でもどんな魔物がいるのか気になるな〜」
少しワクワクしている猿楽を見てエンマが
「目的を忘れんなよ!猿楽!」
猿楽は答える
「わかってるけど、良いやつがいたら協力してもらっても良いだろ?」
エンマはやれやれとした顔で
「良いけど話のわかるやつにしてくれよ?」
それを聞いた星助が鳴く
「プギ!!」
星助の感情を読み取った猿楽は
「あー!エンマが星助の悪口言ったー!」
エンマはびっくりして
「いや!違うよ!賢いっていうか、大人っていうか…」
シルフは冷静に
「それは星助が子供だと…?」
エンマは猿楽の肩に乗り、星助を撫でながら
「違うよ〜、星助そういう事じゃなくてね…」
星助はエンマの手をはらうように顔を背け
「プギ!」
エンマは落ち込む
「そんなぁ〜」
猿楽とシルフは笑っていると、声が聞こえる
「グルルルルルルル」
猿楽達に緊張感が走る
「マスター、まだ近くにはいません、静かに行きましょう」
シルフが前に出て先導する、鳴き声が響く中進む猿楽達