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招かれざる獣たち~彼らとの出会いが少年の運命を変える。獣耳の少女と護り手たちの物語~  作者: 都鳥
第六章

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閑話5 もしも『まねけも』メンバーが日本にいたら?(七夕閑話)

突発七夕閑話です。

ほぼ一発書き、校正時間とれていません。チェックが足りてないかもですがそこはご容赦下さい。

そして、思いっきり物語ぶったぎりました、どうぞお許しください~~(^^;)

ヴィジェス「っつーわけで、『まねけも』もしもシリーズ、第一回だぞ!」

セリオン「まてヴィジェス。ちゃんと説明しろ。ラウルくんが呆気にとられているじゃないか」


ヴィ「えっとだな、七夕なんで何か閑話を書こうとしたらしいんだが」

ジャウマ「誰がだ?」

ヴィ「書くっていったら作者に決まってるだろうが。で、書こうとしたけど設定的に『まねけも』世界で書くのはちょっと難しかったので断念して開き直ったらしい」

セ「それでもしもシリーズか…… 安易だな」

ラウル「第一回って……?(ぽそっ)」


アリア「作者さんをいじめちゃだめなのーー はじまるよーー」



 * * *


「こんにちはー」

「あら、今日はお兄ちゃんのお迎えなんですね」

 幼稚園の先生は、一瞬だけちょっとだけ残念そうな表情を見せ、でもすぐににっこり笑顔になって僕を出迎えた。

 多分、いつものヴィーさんが来ると思って期待したんだろう。


 ヴィーさんは顔が怖いので、最初はヤンキーか何かと思われて避けられる。でもコミュニケーション能力が高くて人当たりも良いので、しばらくするとすぐに打ち解ける。

 ヤンキーじゃないとわかってもらえれば、セリオンさんほどではないにしても整ったルックスをしているし、何より愛嬌が良いのだと先生方は言う。

 そしてここにお迎えに来るパパさん方の中では、抜群の若さだ。


 初見のイメージに反して、この幼稚園の先生方の間では、ヴィーさんの人気はそれなりにあるらしい。


「ラウルおにーちゃん~~」

 アリアちゃんは僕を見つけると、駆けてきて飛びつくように僕にしがみついた。

「アリアちゃんはお兄ちゃんも大好きよねぇ」

 正確には僕はアリアちゃんの兄ではない。でも否定はせずに、先生の言葉に笑顔を返した。


「お待たせ、一緒に帰ろう」

 二人で手を繋いで、先生方に挨拶をした。


 * * *


「ヴィーパパ、お仕事ー?」

「かな? 僕も昼休みにメッセージが来ただけだから、よく知らないんだ」


 昼間は仕事でいないジャウマさんとセリオンさんと違い、夜の仕事をしているヴィーさんは、朝帰宅するとそのまますぐに布団に入る。そして午後に起きると、アリアちゃんのお迎えに行ってくれる。


 僕が学校帰りに寄ってもいいんだけど、僕には夕飯の買い物と食事の支度があるからと、それ以外の家事は三人が手分けして引き受けてくれている。


 今日は急な用事が入ったと、ヴィーさんからスマホにメッセージが来た。たまにはこういうこともある。僕だって料理が出来ないこともあるから、お互い様だ。


「お買い物、寄るのー?」

 いつもとは違う帰り道も、アリアちゃんには楽しいようだ。

「うん、今日は何が食べたい?」

「んっとね、ハンバーグ~~」


 そんな会話をしながら、買い物をして帰路についた。


 * * *


 僕ら5人で住んでいる家に着き、玄関を開けようと鍵を回すと、手ごたえがなかった。

「もう誰か帰ってるみたいだ、ヴィーさんかな」


 玄関には、乱暴に脱ぎ捨てられたヴィーさんの靴が転がっている。当たりらしい。

 アリアちゃんは自分の靴を揃えるときに、ヴィーさんの靴も一緒に揃えて端に寄せた。


 居間に入ると、そこにはさらさらと揺れる大きな笹の枝があった。いや、これは竹かもしれない。

「うわーー!! ヴィーパパ、これどうしたの??」

「今日は七夕だからなー。仕事先の知り合いに譲ってもらったんだ」

 アリアちゃんの大喜びの様子に、ヴィーさんが満面の笑みで応える。


「ほら、飾り付けをしよう。あと短冊に願いごとを書くんだってよ」

 僕らが帰る前にと準備したんだろう。色とりどりの画用紙でつくられた短冊がテーブルに置かれている。


「はーーい!!」

 可愛い声で返事をして、アリアちゃんがそそくさとテーブルに着く。その隣の席に、すっとヴィーさんが座った。アリアちゃんの相手をしてくれるつもりらしい。

 なら僕は、その間に食事の支度をしてしまおう。


 買ってきた食材を仕舞おうと、冷蔵庫を開ける。と、その冷蔵庫の二段目を大きな箱が塞いでいた。箱には有名洋菓子店の名前がある。ヴィーさんが買ってきたんだろう。

 相変わらず、アリアちゃんに甘いよな。

 そう思いながら、アリアちゃんに気付かれぬよう、いつも通りのフリをして冷蔵庫の扉をしめた。



 僕が玉ねぎを刻んで、ひき肉を丸めて、付け合わせにするポテトサラダのじゃがいもを潰しているうちに、緑一色だった笹は、飾りと短冊でカラフルに彩られていく。

 料理の手すきのタイミングで、アリアちゃんと折り紙で飾りを作っていると、玄関の扉が開く音がした。


「あ! 帰ってきた!!」

 そう言って、アリアちゃんが玄関へ小走りで出迎えに行った。



 だいぶ賑やかになった笹の葉を見上げる。

 随分と短冊の数が多い。この家は5人しかいないのに、10以上はぶら下がっているだろう。


「同じお願いをいくつ書いても意味がないって言ったんだけどな」

 笹の葉を見あげている僕に向かって、ヴィーさんが苦笑いでもするように言った。


「同じ?」

 よーーく見ると、確かに短冊に書かれているのは全て同じ願い事だ。


「わざわざ短冊にかかなくっても、いいのになあ」

 そんな風に言うヴィーさんは、ちょっと嬉しそうだ。


【ずっと皆で仲良くいられますように】


 ちょっと不器用な、でも可愛い字で書かれた、アリアちゃんの願い。


「うん、そうですね」

 でも、こうやってたくさん願いたいほどに、僕らと一緒に居たいと思ってくれている。それがなんとなく、くすぐったくて嬉しかった。



 * * *


 アリアちゃんに手を引かれて居間に入ってきたセリオンさんは、大きな果物籠を手にしていた。お土産らしい。高そうなメロンや見たこともないような珍しい果物も載っている。

 そのしばらく後に帰ってきたジャウマさんは、アイスでできたケーキをお土産に持ち帰った。


「ちぇっ、俺もちゃんと用意したのになあ」

 そう言ってヴィーさんが冷蔵庫からケーキの箱を出すと、ダイニングテーブルの上はデザートでいっぱいになった。


「皆でいーーっぱい食べられるねっ」

 アリアちゃんが、僕らの顔を見まわしながらとてもとても嬉しそうに笑った。

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