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出会いエンド(後編)

サブニーを探しに旅館を飛び出るが案の定道に迷い真っ暗闇で途方に暮れていたのぞみ。

その前に現れた救世主とも呼ぶべき謎の男。

ついに出会ってはいけない二人が対峙する。

二人の運命は?


男はまったく喋らなくなった。

僕が話しかけても上の空。自分の世界へ。

僕がいけないことでも言ったのかな?

でも心当たりはないしなあ……


「ねえ。どうしたの? 」

「黙れ! 」

「ええっ? 変だよ…… 」

「うるさい! 静かにしてろ! 」

そんなに怒らなくてもいいじゃないか。

「ごめんね。僕子供だからさ…… 」

「言い訳はいい。大人しくしてろ! 」

「でも…… 」

「いいから! 」

男から余裕が消えた。

「ならもう行こうよ。もう旅館もすぐなんでしょう? 」

「馬鹿野郎! 立ち上がるな! 」

「今日ね…… 」

「だから俺を怒らせるな! 」

「そんなこと言ったって…… もういいよ…… 」

仕方なく言われた通り大人しく下を向く。

真っ暗では心細い。どうしてもお話がしたくなる。

僕の気持ちも少しは分かって欲しい。


「うう…… 」

五分は経っただろうか。

何か言いかけては口ごもる。

何度も何度もその繰り返し。いい加減嫌になる。

「済まない…… 」

まただ。聞こえるか聞こえないかでつぶやく。

「どうしたの? 」

ついつい反応してしまう。

「許してくれ…… 」

何かおかしい。やっぱり変だ。

何を考えているのか全く分からない。

次第に恐怖を感じ始めた。


「いや…… ダメだ…… 」

「どうしたの? 」

男の顔を見る。

「見るんじゃない! 」

「ごめんなさい。僕…… 」

「急に見てはダメだ! 狂っちまう」

「えへへ…… そんな大げさだよ」

「馬鹿野郎! 死んじまうぞ。いいのか? コントロールを失えばお前などひとたまりもないんだぞ! 」

何を言ってるんだろう? 子供相手にムキになっちゃって。

「いや…… それでいいのか…… でも俺なりの美学ってもんがある」

さっきからブツブツと。自分ばかり。

「ねえ! 早く旅館に連れて行って! 」

我慢しきれずについ口からでる。

「おいおい。だってお前足が痛いんだろ? 」

男は一応は僕の体の心配をする振りをする。

「休んだからもう大丈夫。早く! 」

「無理するな」

「大丈夫だってば! 」

どうしても行かせたくないらしい。

そんな意地悪しなくてもいいじゃないか。子供だな。


「くそ! 」

男はどうするか迷っている。

別に難しいことじゃないんだけどな……

「ねえ。早く! 」

駄々をこねる。

どうしても決心がつかないらしい。

こっちを睨む。

「よし分かった。掴まれ! 」

「大丈夫だよ。一人で歩ける」

「いいから! 」

くっ付く。

男は必要以上に僕の体をがっちり掴む。

まあいいや。これでようやく帰れる。

ああ疲れた。


「ごめんな…… 」

また何か囁いている。困ったなあ。

いけない…… ついつい顔を見てしまう。

「お兄ちゃん? 」

男の目から涙が溢れていた。

「どうしたのお兄ちゃん? お兄ちゃん? 泣いてるの? 」

「本当に済まない。だがこれも運命だ。受け入れてくれ!

お前はもう目標を達成した。後は帰るだけだろ? さあ行こう! 誰も訪れたことのない世界へ!」

「何? 何? 理解できない。どういうこと? 」

「許してくれ! 」

「分かんないよ! お兄ちゃん! 」

理解することも受け入れることもできない。

そもそも僕には難しすぎる。


「お兄ちゃん。お願い! 元に戻って! お願いだから…… 」

「ふふふ…… これが本来の俺さ。残念だったな」

「ええっ? 僕に分かるように教えて。どういうこと? 」

もう不安のレベルを超えている。

男はついに本性を現した。

「こういうことだよ! 」

何かを取り出した。

そして勢いよく振りかぶる。

「ええっ? ナイフ? 」

よく大人たちが狩りに持って行くあれ……

僕もサブニーから習ったけ。

「待ってよ! 止めてよ! 」

「仕方ないんだ。これも運命なんだ。受け入れてくれ! 」


その時雑音が混じる。

おーい!

おーい!

幽かに聞こえる音。

「のぞみ! どこだ? 」

「のぞみ! 返事しろ! 」

サブニーがようやく迎えに来てくれた。

「サブニー! 」

「おいおい。誰が叫んでいいって言った? 」

目が怖い。


「止めて! 止めてよ! 」

「済まない。もうどうにもならない。それにもう時間も無い」

「悪いな…… 」

「止めて! 止めて! 」

もうダメだ。

男がナイフを振り下ろす。

どうすることもできず目を瞑る。

「助けてサブニー! 」

「止めて! 」

「サブニー! 」

「うわわわ! 」

大絶叫。

だがもうどうにもならない。

後の祭りだ。


逃げろ…… ?

逃げろ…… ?


一人が倒れ絶命。

一人が姿を消す。


こうして主人公はナイフの餌食となった。

夜に出歩いていた落ち度があるとはいえ悲惨な結末を迎えた。


出会いエンド <完>


エピローグに続く



登場人物紹介


逃亡者A カテゴライズシンドローム発症。

     町から逃亡。

     夜な夜な獲物を求めて徘徊。


希望のぞみ 山奥の村からやって来た少年。

        町には百人以上いることを確かめにやって来た。


サブニー のぞみのお世話役。

     勝手な行動でのぞみを危険な目に。


緑子 捜査官。逃亡者を追っている。

   祭りではサブニーと行動を共にする。 


刑事二名 頭脳明晰な上司とベテランで呑気な部下。

     逃亡犯を追跡。

     緑子の協力を得る。


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