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新米美人捜査官 緑子

「応答せよ! 」

「応答せよ! 」

無線に呼びかける。しかしなかなか返事が無い。

「こちら異常なし」

女性の声が返ってくる。

「どうした何かあったのか? 」

「いえ。手間取ってしまっただけで特に問題ありません」

「そうかならいいが…… では例の場所で落ち合おう」

「了解! 」


旅館。

「いらっしゃい。あら小さくてかわいい男の子」

若女将の計らいで仲居たち従業員に集まってもらった。

もう十二にもなるのだから子ども扱いは止めて欲しいが悪い気はしない。

「何が聞きたいの? 」

「名前だけでいいんです。お願いします」

うまくいったと思ったけど緊張で頬が赤らむ。

「まあかわいい! 」

だからいい加減に子ども扱いは止めて欲しい。

なかなか言い出せない。

「照れちゃってかわいい」

嬉しいような恥ずかしいような。やっぱり嬉しいかな。

舞い上がってしまう。

「名前をお願いします」

「あらそんなこと。私はね…… 」

自己紹介を済ませる。


「お風呂はどうしようか? 一緒に入る? 」

えっと……

言葉が出てこない。

このままの流れならば…… 期待していいのかな?

いややっぱり無理だ。

「いえサブニーと入るんで…… 」

せっかくの誘いを断る。

「では添い寝はどう? 一緒に寝てあげようか? 」

寝つきは良い方だ。問題ない。

「いえ。間に合ってます」

「それは残念! 」

「じゃあね。何かあったら呼んでね」

「はい」

仲居たちは出て行った。


もったいなかったかな…… うーん。

ボーっとしていると急に声をかけられる。一人が戻ってきて一言。

「そうだ。お風呂は十一時までだから気をつけてね」

用件を言い出て行く。

まずい。気づかれた?


ずいぶん静かになる。

これで残り二人。

あともう少しで百人だ。

嬉しいな。さあやるぞ!

目標達成まで残り僅かとなり俄然やる気が出てきた。

できたら今日中に達成したかったなあ。

欲も出てくる。

だがそんな気持ちも吹っ飛ぶ現実が。

誰もいない。独りぼっちの世界。

寂しい……

涙を堪えてじっと壁を見る。

壁は古くシミだらけ。そのシミが人の形に見えて怖い。

早く帰ってきてよサブニー! 一人じゃ心細いよ!

肘掛椅子に腰かける。

窓越しに外を覗くが真っ暗で恐ろしい。

もうダメだ! 怖くて怖くて仕方がない。


ふう疲れた。こんなに人混みを歩いたのは何年ぶりだろうか?

獲物を物色。

人が多すぎて上手く行かない。ターゲットを定めきれない。

まあいい。ゆっくりするさ。祭りが終わる頃が狙い目なのだから。

うん?

それにしてもずいぶん汚らしい格好だ。着替えたのはいつ頃だったけな?

クンクン。

くさ!

自分でも驚くぐらい臭い。これでは誰も寄り付かない。獲物もいいが着替えと寝床の目途もつけておかないと。

うう?

痒い! 痒い!

蚊に刺されたかダニにやられたか。

まったく痒くて仕方ない。

首筋を掻き脇を掻く。痒みがどんどん下へ広がる。

足首が今度は痒くなった。

痒い所に手が届かない。仕方がない屈む。

うー。気持ちいい。でも痛い。でも気持ちいい。

癖になりそうだ。


女の声がした。

「ちょっと三郎さん。私用ができちゃってごめん 」

見たことのない女が手を合わせている。

三郎? 何を言ってるんだこの女?

「いや…… 」

目が合った。

女は人違いに気づいたのか恥ずかしそうに駆けて行った。

何が三郎さんだ。まったく勘違いしやがって。

まあいいか。

気を取り直して物色。


できたら女の子。大人しくてかわいらしいお人形のような子がいい。

目の前を歩く少女。

絶好の獲物! ダメだ男がいる。

しかしあの男なんか不自然だ。こちら側の人間のような気がする。

変なものを引きずっているしな。

隣の女もどす黒い何かを感じる。近づいたらこちらがやられてしまう。

後ろで睨んでるのもヤバそうだ。

こいつらまともじゃない。

まあ男と女なんてこんなものか。

経験はないがな。ははっはは!


一人が離れた。

チャンス。

だがすぐに姿を消し見失う。

どうやら今から何かの儀式に参加するらしい。

まあ俺には関係ない。次!


「お待たせしました」

どこからともなく声が聞こえる。

若い女性が現れた。

「この方は? 」

「応援です。捜査協力してもらいました」

「こちら緑子さん」

「よろしくお願いします! 」

「ああ。元気があっていいね」

「遅れて申し訳ございません。思ったよりも手間取ってしまい……

地元の者では気づかれる恐れがありちょうどいい男を探すのに手間取ってしまいました」

「それでどうだね」

「はい今のところ目立った動きはありません。残念ながらまだ手掛かりはありません」

「よしではここからは手分けして探すぞ」

「はい! 」

緑子捜査官が加わった。

「あの…… 」

「どうした何かあるのか? 」

「いえ。急いでいた為に彼を置いてきてしまいました」

「では用が済み次第向かってくれ」

「了解」

三方向に分かれた。


逃走犯が町に戻ることも考慮して町に繋がる道へ。

次にこの辺りに留まることも考えて付近の捜索。

そして山奥に逃げ込むことを考えて山入り口に向かう。

これが一番有力。捜索が終わり次第、皆向かうことになっている。

捜査は慎重に。

情報の共有も大切。

今のところまだ不審者情報はない。

三十分ごとに無線で連絡を取り合う。

行動開始!


                  <続>


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