表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
95/124

文面と口調が違う人っているよね

これで素直に喜べるほどに俺は子供ではなかった。だが、この高鳴りを一人で抱え込むほどには大人ではなかった。

とりあえず恋先輩に、相談してみることにした。

『……ということなんですけど、どういうことですか?』

『どうもも何も、レイではなく洸祐を選んだというだけのことでしょ』

『先輩、ずっと思ってましたけれど、話すときとLINEの時の口調違いますよね』

『そういうことは言わない』

『へいへい』

『洸祐は勉強しているのか?明日は宿題考査でしょ?』

『してますよ、もちろん』

もちろん嘘であるのだが。そんなこんなで、実感として、藍子の言葉が浮かび上がってきた。

それでも、心にブレーキがかかるのは、このままアクセルを踏んでしまえば、自分の親友がひき殺されてしまうとわかっているからだった。

『レイには言うなよ。洸祐があいつと友達でいたいと思うのならな』

『それは、卑怯にならないですか?』

『なる。だが、嘘も方便』

もしかしたら、恋先輩にはこういう経験があるのかもしれない。

『多分藍子もそういうことはわかっているはず。そして伝えてもいるはず。でも、どうして今なんじゃろうな』

『あ、口調戻った』

『そういうことは言わない』

恋先輩は、三年生ということだから、宿題考査はないらしい。というかそもそも宿題がない。まあ、正直それ以上の課題量だろうから、宿題がないといってもほとんど意味がないだろうけれど。だからこうして付き合ってくれている。

感謝のメッセージを送り、かわいらしいスタンプが返信されてきたタイミングで、部屋の窓にこつん、と何かがあたる音がした。―――藍子だ。

メッセージが来ていた。『もう一つ話しておきたいことがあった』と。

わざわざメッセージではなく、言葉を交わすというのはよほど複雑なことなのだろうか。

「どうした」

「藍子の部屋には電気がついていないらしく、藍子の姿はほとんど見えない。

「一つだけ、言いたいことがあったから」

「そうか」

「うん。文化祭最終日。私たち一年生は後夜祭の設営には関わらないから、実質最終日の文化祭終了で仕事が終わるわよね?」

「そうだな、。確かにそんなことを生徒会長が言ってた気がする」

「そう。その、後夜祭の時、時間空いているかしら」

「……空いているけれど?」

「もし、何もないなら、屋上に来てもらえる?」

「屋上?入れないんじゃないのか?」

「入ろうとすればわかるわ。その時間だけは入れるようになっているから」

「……そうなのか。わかった」

「約束よ?」

「ああ。」

「おやすみ」

「おやすみ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ