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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
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夏と休みと文化祭準備

夏休み。

先生も言っていたが、何の気兼ねもなく遊べる夏というのは今年が最後かもしれない。来年からは普通の学校より一年も早い受験生になるからだ。進学実績もそれによってか例年良いという。

夏休みだというのに、学校に登校する生徒が多いと感じるのは、文化祭準備に来ている生徒が多いということ以上に、二年三年の先輩方が熱心に学校の自習室を活用しようとしているということの表れでもあるのだろう。

うだるような暑さだった。一歩一歩歩くたびにじっとりとした汗をかく。もういっそのこと裸で歩きたいくらい。何故俺は夏休みに学校に行かなきゃなんないのか……。

「四回あるうちの三回目の文化祭準備でしょ? そろそろ慣れなさいよ。三回目なんだから」

と、隣の藍子はポータブル扇風機を全開にして文字通り涼しい顔でそういった。

俺は常々思っていたことなんだが、なんだか女の人って汗かかなくないか?よく男のワイシャツがびっしょりと濡れて背中に引っ付いているのは見るが、女の人でそうなっているのを見たことがない。ポータブル扇風機を持っている女子なら納得だが、それ以外の女子でも見たことがないような気がする。

「別に女もだらだら汗かいてるわよ。ただ、制汗剤とか、下着とか、そういうのに気を使っているだけよ。あんたも変なこと言ってないで、この扇風機買えば?」

藍子は俺に扇風機を向ける。

まさにオアシス!という感じで、冷たい風が俺の顔付近に吹き荒れた。最高だ。

でも、俺は、

「そんなやわなモノ、俺には必要ありません」

なんて強がってしまった。くそ。ポータブル扇風機のにおいが好きじゃないとか言わなきゃよかった。俺は今や「ポータブル扇風機はダサい党」の当主だから、簡単に意見を変えるわけには…。


学校につくと、夏休み前と変わらないように思えるほど人が多くいた。

そして、汗一つかいていない男が一人。袖ケ浦レイもいた。

いくらか日に焼けたようで、いつも青っ白かったから、いつもよりも健康的に見えた。

「藍子さん、洸祐さん。お久しぶりです」

「たった一週間だろうが」

「ところで洸祐さんも藍子さんもビワは食べれますか?これ、旅行に行った時のお土産です。生ものなので、なるべく近いうちに食してくださいね」

高級そうな紙袋に入ったビワゼリーだった。一口サイズになっていて、とても食べやすそうである。

「どこに行ってきたの?」

「まあ、この肌はグアムで焼けてしまいまして…。このビワゼリーは祖母の家行った時のものです」

グアムに、国内旅行。なんだか生きている世界の違いを感じるな。

「へええ。ありがたく食べさせてもらうわ。ありがとうね」

「サンキューな」

「はい。喜んでもらえて何よりです」

そんな感じで始まった文化祭準備三日目。

文化祭実行委員に任命された俺達に降りかかる仕事量の全貌をここで知ることになる。

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