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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
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間章 旧校舎って本の中でしか見たこと無い

翌週、土曜日、午前十時。

カンカンと照り付ける日差しに嫌気がさしてきたこの七月上旬。

俺達は旧校舎の前に集合していた。

学校の横に隣接されている旧校舎なのだから、当然制服だと思って、このくそ暑い中着てきた俺が馬鹿だったようで、ほとんどが私服で、しかも涼しそうなラフな格好に身を包んでいた。

ケンジは膝が完全に見えている短パンに、無難な白T。筋肉質な彼が着ると、スポーティーな印象を受ける。とても涼しそうだ。

そしてケンジが連れてきた一人は、杠葉恋ちゃんだった。生徒会総務のかわいい後輩ちゃんだ。彼女は短すぎないホットパンツに、ライブTシャツという出で立ちだった。背中に大きく『夜露死苦』と書いてある。…何のバンドなのだろう。俺はよくわからない。

そしてもう一人。これまた後輩で、鶴ヶ島川越という。どちらも地名という奇天烈な名前で、きっと皆からの覚えもいいだろう。ぜひ将来は政治家にでもなってもらいたいものだ。

彼はと言うと、俺と同じ制服姿だった。半袖のワイシャツに、スラックス。そして靴はサンダルだった。

「お前暑くないのか?」

俺はと言うと、半袖ではなく長袖のワイシャツを袖まくりしていて、靴はもちろんローファーだった。道理で汗が止まらないわけだ。というか俺は馬鹿なのだろうか。

「ああ。本物の馬鹿だな。勉強ができてもこういうところで気を遣えない奴は馬鹿だ」

とケンジはリュックサックから短いズボンを取り出す。

「これやるから、とりあえず着替えてこい。視てるこっちが暑苦しい」

とそれを手渡された。半ば投げつけられるようにして。

全体を通して、とてもかっこいいとは言えないような格好にはなったが、暑いよりはましかもしれない。

「ところで、ケンジは俺のお母さんか何かなのか?」

と言うと。

「うるせえボケ。ぶっ飛ばすぞ」

と筋肉質から繰り出される疾風のパンチが俺の横を掠めた。殴られたことに気づいた風が送れたやってくる。

最近殴られそうになること多いな。

にしても、涼しかった。もう一回やって。

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