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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
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間章 人の温かみとかそういうことじゃない

そういえば、最近の若者世代は電話をしないというニュースがやっていたのを見た。これはメッセージでのやり取りよりもハードルが高い電話という行為を避けている。今の若者世代は人とのかかわりを避けている。という主張らしい。

でもこれは、正直電話する必要がないというのが正しいんじゃないかと思う。

メールみたいに読み返して何の話をしていたかとか考えなくてもいいし、すぐに返信がしやすくなっているからだという風にも言えるだろう。

だが、俺はその点電話の方が好きだった。

文字に残らないからこそ、言葉に重みがあるように感じるからだ。そして責任も伴うように思うからだ。

『で、旧校舎の生徒会室の整理を手伝ってほしいっていう話でいいんだよな?』

「そう。手伝ってくれるか?」

『いいぜ。お前の頼みなら受けてやる』

「ありがとう。ちなみになんだが、他にも誘えそうなやつはいるか?さすがに男手が足りないと思うんだ」

と、電話が好きな同盟同士通話していた。俺が、自分で言って自分の人望の無さに失望していると、

『人望のない生徒会長のために、人肌脱いでやるとするか。決行日は来週だったよな?』

「そうだな。来週の土曜日、十時集合でよろしく頼むよ」

『了解だ。人望のない生徒会長のために、前日までにかき集めておくよ。人望のない生徒会長のために』

「何回言うんだ」

『すまんな』

なんてやり取りをして、そのあとは夜が更けていくのもお構いなしに、クラスの事とか、岩ちゃんは最近「冴ちゃん」と呼ばれ始めているということとか、そんな他愛もない話をした。

明るくなるのも早いもので、もう四時くらいになると空が白んできていた。じんわりと日の暑さが顔を出してくる。

電話を切るころにはほとんど俺もケンジも意識を失いかけていた。

だけどそんな長い時間会話していたにもかかわらず、ケンジは俺の髪の奇妙さに一切言及しなかった。

本当に、いい友達を持ったと思う。

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