BLネタって今は下火なのかもな好きだけど
「はははははっはは。確かにそれは気になる所じゃな。ははは。」
杠葉先輩はそうやって俺の言葉に笑った。快活に、楽しそうに。其の小柄な体躯から出る声とは思えないくらいに大きな声で。
ところで、体躯と表現するのか、躰と表現するのかは意見が分かれそうだ。という話はここでしておくのはやめておこうと思う。一つの論文ができかねない。紙幅が足りない。足りるけど。
「お前さんの立場なら、まずにそれを気にしてしかるべきじゃろな。―――そんなもの簡単じゃよ。ただ今の生徒会長、鶴ヶ島川越よりも、ワシはお前さんのことが好きというだけの事じゃ」
――だから、おぬしに先んじて教えにきたし、こうして対策を練っているというわけじゃよ。
と先輩は言った。
「俺のことが好き……?―――とぅんく。」
「なんか今変な効果音聞こえてこなかったかの?」
流石先輩。少女漫画にも造詣が深いとはなかなかに趣味が合いそうだ。
「いや、それに関してはおぬしの方が意外じゃよ……」
「まあ、俺は藍子と幼馴染ですから、漫画の貸し借りをよくしていたってだけですよ。藍子は少女漫画担当。俺は少年漫画とBL担当ってだけで。だからあいつの少女漫画から予想して、好きなタイプとかわかりますよ。大体主人公とくっつくようなイケメン爽やか男子よりも、幼馴染で短髪の爽やかイケメンが好きなんですよ。負けヒロインが好きなんですよあいつ」
「あの強引駄々こね娘か……。なんだか同情するわけじゃないが、こうして淡々と聞かされると、あの藍子とか言う娘にも同情の余地がありそうじゃな……幼馴染にタイプがばれているとかワシだったら耐えきれん……」
「先輩は、モブキャラで、身長が小さめの少しチャラけたような男の子が好きですよね。受けみたいな」
「うっ……。よくもそうやって直球でストライク出してくるな……。ん…?BL、受け。聞き流しておったが、おぬし結構チャレンジャーじゃな」
「でも俺は女の方が好きです」
「それはそれで、新天地」
先輩はきちんとかゆいところにツッコミを入れてくれるからやりやすいぜ。
そして、俺の悪いところ。すぐに話が脱線してしまう。こんなに毎回脱線するような電車には俺は乗りたいとは思えない。当たり前か。
「おっほん。本題に戻るぞ」
俺もレイも、真面目に話を聞くことにした。きっとレイはBLのことを話せる人間が一人増えそうだということにうれしい気持ち感じてるのだろう。目が輝いていた。
「それで、この『果たし状』受けるのか、受けないのか。どっちにするんじゃ」
そんなのはもちろん。