東部東上線みたいな名前だな
果たし状。そう書かかれた下には、俺の名前ともう一人の名前が書かれていた。
「そう。これは現生徒会長、鶴ヶ島川越。あの成都海先輩から直々に次期生徒会長を任された張本人」
そして場所は、来週の月曜日、この学校の校庭。
時刻は午後六時が予定されている。
「鶴ヶ島先輩ですか。これはまた難儀なことになりましたね。洸祐さん。」
「ただの生徒会長だろ?何がおかしいことなんだ?ポットでの新人がいきなり『副生徒会長』になったんだからこの対応は適当だと思うんだが……」
「なんだか変な奴じゃのう。自分が矢面に立っているというのにも関わらず、そうも他人ごとのように片付けてしまうとは……まあ、おぬしの言った通り、当然と言えば当然なんじゃよ。人間だれしも少なからず批判を受けるものじゃしな。そうでなければ人間と呼ぶにはいささか不健全じゃ。不完全が故、健全というのもおかしな話じゃがな」
先輩はまたもっともらしいことを言っていた。
流石先輩!とふざけるのはもうよしておこう。シリアスな雰囲気だし。
「でも一つ気になることがあるんじゃが……」
「場所ですよね」
「うむ」
レイが持ち前の洞察力を発揮して、先輩が用意していた答えにたどり着いてしまった。なんというか、参謀って感じなんだよな。袖ケ浦レイという男。さすがに今期の中間テスト学年3位だ。ちなみに俺は下から数えて3番目だった。おそろっち!
「ただ、生徒会長がおぬしに不満をぶつけ、解雇という形にするのならば、校庭である必要がない。例えばこの教室でもいいわけじゃしな。お茶も美味いことじゃし。でも川越の奴は校庭を選んだ」
「もしかすると、それは何か見せしめ的な意味合いがあるんじゃないでしょうか」
校庭ならば、確かに全校生徒からの注目を浴びることができるだろう。だが
「それだと時間がおかしいんじゃないか?六時なら、部活動をやっている生徒はまだしも、帰宅部の皆様方はもう帰ってしまっているからな」
「確かにそうですね」
「そうじゃな」
俺達は探偵じゃないから、事がなかなかに進まないのだった。
本当の探偵がこの三人の中にいれば、「そんなこともわからないのかい、ワトソン君」なんて鼻高々に推理を披露してくれたりするのにな。俺は絶対になれそうにはないが。
俺が探偵になれるかはさておき。
俺には一つ、根本的な疑問というか、前提条件に疑問を呈したかった。まるで数学の問題自体に誤字を見つけてしまい、手を付けられないというような心持だった。
「先輩。一ついいですか?」
「なんじゃ」
――――どうして、生徒会側の先輩が俺にそんなことを……?