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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
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赤色とスラックス

事の顛末。

真実ではないということだけは言っておこう。俺から見た、俺の中の真実というだけなのだから。

『ネクタイの色が私達と一緒』と言った藍子。

この一言であの生徒会長、成都海先輩の全容がわかるといっていいだろう。

この学校は、マンモス校らしく、きちんと制服がかわいい。もしくはかっこいいということで有名である。とくに造形にこったものではないと素人目線からは思うのだが、その色はとても英国っぽいものでかっこいいとは思う。

ブレザーの色は亜麻色で、スラックスは藍色のようなチェックが入っている。スカートも同様である。そして男子はネクタイ。女子はリボンということになっているのだ。

ここで勘のいい、察しがいい皆さんならばお気づきだろうが。

あの生徒会長、一人称が「私」であり、話し言葉もどこか女性のようだった成都海という人物は――生物学的には男だということだ。

性別ということに敏感になった今となっては、こんな叙述トリックもどきは無くなってしまうのだろうか。という懸念もあるのだけれど、それはまた別の話として取っておこうと思う。

とにかく、体は男であり、心は、行動は女である。そんな人間があの生徒会長、成都海という人物なのだ。

そんなことはどうでもいい。男だとか女だとか、そんなことは、もうどうでもいい。ありふれていると、言えるだろう。

そして次なる問題は、『色が一緒』ということだ。

これは簡単で。と切り捨ててしまうのは容易だが、ここはきちんと言葉を弄しておこうと思う。拙い言の葉を、使い倒してやろうと思う。

この学校では、高校という共同体ではさほど珍しくもない(これは俺の地域だけかもしれないが)単位制を導入しているのだ。

だから二年になると、自分で時間割を組んで、自分の希望の大学に行くことを目標として据え、受験戦争に突入する。――という方式を取らなければならない。

ということは、だ。

単位を落とすということは何を意味しているのかということは想像に難くないと思われる。

例えば、家庭科の授業を『どうせ自分は料理なんてしない。家政婦さんに頼もう』と欠席を繰り返し、再三の注意も潜り抜けたとしよう。

するとどうなるか。

あらびっくり。

高校『四』年生が爆誕するというわけだ。

聞き間違いではない。高校四年生である。

そしてその一年間は家庭科だけを履修することになる。週に一回。

そしてほとんど生徒は四年生になるということを意識しているはずもなく、そしてそれは学校側も意識しているはずもないので―――ネクタイ、リボンの色は三色で固定されている。

現在、一年生。俺と藍子、そしてレイは、赤色。

二年生。それは碧。

三年生。まだ記憶に新しい杠葉恋先輩は青色だった。

ということは。

四年生がいるとすれば、それは、赤色をまとっているということに他ならない。

一年生ではないのに、赤色のネクタイをまとっていた先輩に藍子が疑問を抱くのも仕方がない。というものだ。髪の長さに印象を抱かなかったのは、彼女自身がアウトローだということも起因しているだろう。

まあ、とどのつまり。

成都海先輩は男の先輩であり、生徒会長。

それもさながら上皇のような

―――元生徒会長だということに他ならない。

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