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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
122/124

二十五歳。決意の夏

「ということは、だね」

鶴ヶ島先輩は情報共有を進めていく。『世界の中心人』『紫吹藍子』『エゴイスティックサマー』。すべてを話し終えるころには、学校の火災報知器がけたたましい音を鳴らしていた。

「最後の能力者『時間遡行』はあなたですね。鶴ヶ島川越先輩」

レイは、もう早くここから出ないと、取り返しのつかないことに!って恋先輩を抱えて言っている。

「あの日、可笑しかったんですよ。『果たし状』をもらった時。あの時、校庭に生徒がいなかった。あれはそう考えてもおかしい。そして俺と先輩が話終わると、すぐに部活動が始まった。もしかして、俺と先輩が『過去』に行っていたんじゃないですか? だから、ああして俺たちの話が終わってから部活が始まった」

鶴ヶ島先輩は、こんな中でも、紅茶をすすりながら、優雅に話を聞いていた。一層目を見開いて、

「ご名答。さすが、あの悪魔の幼馴染だね」

レイは恋先輩に覆いかぶさるように、守っていた。俺と鶴ヶ島先輩だけ、火事にも、地震にも動じていない。ソーサーに乗ったカップが倒れる。今のは大きかった。

「君は、この解決法が分かっているんだね」

「そうです」

「きっと、こうして一度崩壊しなければ、こんな機会はなかっただろう。だから、僕と君はあの時絶交していて正解だったに違いない。」

「先輩。俺を『時間遡行』で過去に戻してください。というか、()()()()()()()()()

ああ、ごめん。そんなことと思って描写してなかった。

鶴ヶ島川越先輩は、初めから制服姿だった。俺も恋先輩もレイも、同じように年を取って、少しがっちりとしていたりしたが、先輩は何も変わらない。きっと、十年前のままだ。

先輩は、十年前から、十年後の今に『時間遡行』してきたのだろう。

「時間遡行できるのは、僕を含めて一人しかできない。紫吹藍子を止めるということを考えれば、決まっているようなものだ。」

俺はうなずく。

レイと恋先輩のほうを見る。

レイも心配だが、恋先輩、そしてその中にいる新たな命も心配だ。

「頼みます」

レイの言葉。きっと一番こもっていた。力が。

藍子を、止めなければ。


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