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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
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魔髪のせいとかい

「では僕は特別棟の三階と四階を。洸祐は一階と二階を。」

この午後の時間。教室棟では授業をしているのだから、もし隠れている、もしくはどこかに連れ込まれているとするならば、教室棟よりも、実験室などの所謂移動教室が並んだ特別棟が有力な場所であることは間違いなさそうだった。

そしてこの特別棟には、俺が一番めぼしいと感じる部屋がある。

――まあ、メッセージからわかる通りの部屋ではあるのだが。

『せいとかい』

この文言から予想される部屋は一つだろう。

そう――――。



それは、理科実験室だろう。

『せいとかい』という文字から連想される部屋は理科実験室に決まっている。この学校ではという枕詞がついているのを伝えるのを忘れていたので、普通に『生徒会室』だという風に推論しても仕方がないことだろうと思う。

でも。

この学校では。

『せいとかい』という言葉の羅列を見れば、

――――成都海。この学校の生徒会長を思い浮かべるのが普通というものだ。


************************************


成都海。この学校の生徒会長でもあり、理科実験部の部長である。

髪は長くしているにもかかわらず、先生から注意されているところを見たという生徒はいないらしい。

長いといっても、それは腰くらいだとかそういった類のものではない。

地面に引きずるくらい、長いのだ。

まるで、お時話に出てくるお姫様のように。

普段はそれらを結んでまとめているらしい。俺はちなみに見たことはあっても話したことはない。

まあつまりはこれくらいの有名人であるのだから、『せいとかい』なんて文字の羅列をみたら、あの先輩を思い出すのはい必然だろう。

「でも、授業中だしな……」

一階にある理科実験室に、整然とたたずんでいると噂の人物。

その長い髪は実験に邪魔なので椅子を大量に並べた上に横たえているらしい。

授業中にいるとは思えないが。

ガララ。

と理科実験室の扉を引く。

すると、俺の鼻を突いたのは、刺激臭だった。

臭いというよりは、鼻を突きさすような。そんな香り。

「うっ……」

思わず顔を顰めてしまう。眉をひそめてしまう。

そうだ。この香りは、手で仰いで嗅ぐ事が必要とされる―――アンモニア。

誰かが、この劇薬を垂れ流しにしている。

目も開けられないような実験室で目を凝らす。

「――やあ。君は確か……降谷君。この不届きものの幼馴染、だったかな」

そこには髪の長い生徒会長と、紫吹藍子が、いた。

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