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少女ネイビーとシャングリラ  作者: オカダ倭
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これは果たしてどちらの夢だったのか

こうして前書きに登場するのは久しぶりな気がしますね。

突然、すみません。時間が飛びました。

時系列としては、大体十年後と思っていただければいいです。あれ?なんだか聞いたことがあるな。十年後の夏……?

とにかく、ここから、最終章になります。

どうか最後まで楽しんでいってください。

「コウ君最近元気ないね。どうしたの?」

「ん? まあ最近ちょっと仕事でね」

家賃七万円のアパート。郊外だから、こうして二人で住んでいてもそんなに不便は感じない。きちんと風呂とトイレが別なのはポイントが高いとしずくが言っていた。コンロもアパートでは珍しく二口だからそこも便利というのがここに決めた要因でもある。

「そういえば、レイ君?だっけ?結婚するらしいね」

「そうらしいな」

高校の時から、恋先輩と付き合っていたから、特に驚きはなかった。そのまま大学も同じところに行き、そのまま十年近く付き合ってゴールインということだ。最近レイから連絡があって、俺は知った。ご祝儀にいくら入れればいいのかということは、俺も二人で話し合わなければならない。

しずくは、少しこういう結婚の話をするとき、期待をしているように感じる。俺は別にそれが嫌ではないし、俺も同じ気持ちではあるのだが、どうしても金銭面とかで一歩踏み出せない部分がある。そろそろ勤続して三年になるから、そろそろ昇給の話が来てもいいだろう。

「ってことは、同窓会もあるんじゃない? 同じ部活だったんだし、話来てないの?」

「あー、来てないかも」

「じゃあコウ君が主催すれば?」

「それはありかもな」

しずくは料理を作っている。今日は生姜焼きだろうか。いい香りがリビングに充満している。

俺としずく。昔は先輩と呼んでいたけれど、大学に入るにあたって、授業を一緒に取ったりしてそんな呼び方はしなくなった。というか、先輩には「名前で呼んで」と初めから言われていたのだが、結構な時間がかかったものだ。

こうして、あの『総理大臣部』の話をしているのに、俺もしずくも触れない部分があった。しずくは俺を気遣って。俺は少しの怒りと、疑問と、不安が混ざり合ったような気持ちでそのことに触れられずにいる。


「ほい。しずく特製生姜焼き~。ポテトサラダも作ってみました~」

「ありがとう。じゃあ」

「「いただきます」」

生姜焼きはボリューミーで結構ショウガが聞いていておいしかった。ポテトサラダも、俺の家はしっかりとジャガイモをつぶすタイプだったから、こうしてゴロゴロとしたポテトサラダに少し驚いたものだ。今ではこっちが好きになっている。

「おいしい?」

「うん。また料理うまくなったね」

「まあ、最高のスパイスは愛情って言うし?そういうことじゃない?」

「かわいいこと言うなって」

料理は、俺としずくの当番制になっている。だから明日は俺の番だ。俺はどちらかというと和食のほうが得意だから、明日は魚にしよう。ホッケとかなら安いかな。


皿洗いをして、しずくが風呂に入っている間に洗濯物をたたんだり、今日の分の洗濯物とかを洗濯機にかける。こういう家事は、気づいたほうがやる。というルールになっている。脱衣所に洗濯機があるから、シャワーの音が聞こえてくる。

「コウ君~。今日は入らないの~?」

「今日はいいや。先に寝室に行っておいて。後で行くから」

「はーいー」

同棲を初めて最初のころは、「覗かないでね」なんてやり取りがあったものだが、というかしずくは今もしてくるときがあるが、最近は昔ほど多くはなくなった。ちょっと悲しいな。


ホカホカの体で、俺は寝室に向かう。しずくはまだ寝ていないらしく、文庫本を見ながら「あがったね」なんていって栞を挟む。

「髪ちゃんと乾かした?ちょっとぬれてるじゃーん」

なんだか、弟になった気分だ。キャミソール姿のしずくに頭を乾かされている。

「結構頑張ったんだけどな。ダメだったか」

「だめだよ。きちんと根元まで乾かさなきゃ、意味ないよ? 禿げるし」

「禿げる!? それは嫌だなあ」

「いつも言ってるじゃん。今日は、する?」

ドライヤーのスイッチをしずくは落とし、俺はしずくの肩を抱いた。

ありがとうございます。

もし面白いと思っていただけたなら、評価してくださるとうれしいです。


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