“私の傍に居て!” 貴方に届かない声もある。
私は、好きな男性の前だと全く思ってる事が言えない女。
どうやら? 意識し過ぎると、緊張して言葉にならないらしい。
そんな私にも、大好きな男性がいる。
その男性とは、職場が一緒で爽やかな男性だ。
1年前に、付き合っていた彼女と別れて今は好きな女性もいない。
彼の事をいいなと想っている女性は、職場にも多い。
私以外にも、数人彼の事がいいと言う女性はいるが。
みんな彼氏や旦那がいる人達ばかりだ。
それだけが、私の救いだった。
だから、職場の女性達に私が彼に告白するように何度か
言われた事もあった。
『菅野さん、木野くんに告白してみたら?』
『えぇ!?』
『好きなんでしょ!』
『そうよそうよ!』
『・・・い、いや? でも、』
『ワタシだって! “独身なら木野くんに告白してるわよ”』
『木野くんモテるから』
『早くしないと、他の女性に取られちゃうわよ』
『・・・・・・』
『何よ! “ただ告白するだけじゃない!”』
『普通、言えないわよ』
『そうよ』
『でも、本当に木野くんモテるから早くしないと!』
『は、はい。』
職場の人達には、私の気持ちを知っているから【告白】する
ように急かされる事もあるのだけど...。
それもこれも、私の事を想って言ってくれていると思えば
感謝でいっぱいになった。
現に、木野くんにアプローチをかけているのは、、、?
職場の人達だけではない、営業で来た女性や挨拶回りで
出会った女性からも木野くんはモテる。
どうせ、私なんか木野くんに相手にもされないよ。
*
・・・そんな時、私が恐れていた事が起きていた。
そう、木野くんに彼女がデキたのだ!
しかも? めちゃめちゃ可愛い彼女。
私なんか比べ物にならないぐらい、とっても可愛い彼女だった。
木野くんは、自分が休みの日に彼女を連れて職場にやって来た。
『実は、最近付き合った彼女の橋川しほさんです』
『あら? 可愛い彼女ねぇ~』
『“美男美女じゃない!”』
『可愛いお嬢さんだこと!』
『ねえ? 菅野さんもそう思うでしょ!』
『は、はい!』
『たまに、彼女も職場に連れてくるので今日は挨拶に連れてきました』
『本当、木野くんは律儀な人よね!』
『・・・い、いや? そんな事はないですよ』
『これからも、木野くんの事! よろしくお願いしますね』
『はい!』
・・・初めて見る彼の彼女は、キラキラして可愛い彼女に見えた。
私なんか、到底かなわない彼女だと思った。
職場の人も言っていたが、誰が見ても二人は“美男美女”だ!
お似合いとは? こういう事を言うのだろう。
私の声は、彼には届かない。
私の心の中でずっとこう叫んでいた。
【私の傍に居て!】と、、、。
私の心の声は、虚しく私だけに響き渡る。
悔しいけど、私の彼への恋ごころは諦めるしかないと思った。
明日から、どんな顔で彼と会えばいいのだろう。
彼と何を話せばいいのだろう。
私には、戸惑いしか残らない。
いつか? スッキリ彼への気持ちが吹っ切れる日まで。
今は、普通にするしかないのかな。
最後までお読みいただきありがとうございます。