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今は信じるしかない!

 わたくしなりに考えた結論は王子様に早まった行動をしない様、進言する事だった。理事長の反応からして勝算は皆無。それは王子様も分かっておられると思うけど念には念を入れとかないと、もしもって事があってはならない。


 そう、パーティーで婚約破棄なんか宣言しても、王子様が恥をおかきになるだけよ。……またどこかでそのチャンスはある。


 ーーきっとあるから。


 放課後、人目を忍んで生徒会室へ足を運んだ。馬鹿女には上手くお酒を飲ませ、軽く寝かしつけている。でもそんなに時間の余裕もないから急ごう。


「失礼します」


 生徒会室ではいつものメンバーが卒業式の最終的な打ち合わせをしていた様だ。ミーア様も居る。


「やあ、ポピー。卒業式はいよいよ明日だね。で、何か報告があるのかな?」


「お忙しいところ申し訳ございません。手短にシェリー様の手の内をお話します」


「手の内……それは?」


「先ず、ジャック様を御父兄としてお呼びするそうです。これはご入場のエスコートも兼ねますし、ダンスもご一緒されます」


「何と、全国大会優勝ペアーのダンスを披露すると言うのか!?」


「はい。さぞかし注目されるでしょう。それから、此処が大事なお話です。理事長は王子様との婚約破棄を望んでいません! だから、パーティーの席で()()()()()()()()()()()()()()()()()。今のままでは王子様の不利でございます!」


「なるほど……まあ、反対されるだろうね。僕もあっさりと従うつもりもないし、引くに引けなくなる」


「そうです。その日は卒業式と言う慶事ごと。御来賓もいらっしゃる中で台無しになること間違いありません。そもそも王子様は陛下にお話されたのですか?」


「ああ、僕の気持ちはお伝えした。はっきりと反対されなかったが、あまりいい印象ではなかった」


「では、ここで焦った行動をしない方が得策です。まだチャンスはございます!」


「うん、君の話はよく分かった。報告ありがとう。その意見を念頭においてよく考えてみよう」


「はい。わたくしはいつでも王子様の味方です。それではっ!」


 シュッと手を上げ、慌ててこの場から立ち去る。言いたい事だけをまくしたてたけど、早く帰らないと馬鹿女が起きてしまうかもしれない。


 ……それにしても王子様はまだ迷ってらっしゃったご様子。でも、勝ち目のない無謀な振る舞いはなさらないと思うわ。これで良かったのだ。念を押しといて良かった。だってわたくしがアイツに代わって論破しなければならないなんて辛いですもん。


 ーーわたくしの仕返しはいつか必ず叶えられると今は信じるしかない!



 ***



 そして、いよいよ卒業式を迎えた。


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