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ヤドカリの冒険

作者: シグルド
掲載日:2019/08/21

静かな海の底、ヤド村でヤドカリ達が生活している。


その中に小柄なヤドカリのヤド太が、貝殻を探して旅をしている。


すると目の前に、貝殻を見つけた。


「この貝殻は良さそうだな。」


ヤド太が鋏で、大きさを確認していると、中からヤドカリが出てきた。


「どなたかな?」


中から出てきたのは、ヤドカリのヤド爺だった。


「ヤド太じゃないか!また探しているのか?」


ヤド太は頷き。


「もうお尻が狭くって…。」


ヤド爺が、鋏を東に向けて、話始める。


「あっちの殻山に、空き貝殻が沢山あったはずじゃ。」


ヤド太はヤド爺が指す方を見て。


「ありがとうヤド爺!行ってみるよ。」


ヤド爺が頷きながら。


「気をつけるんじゃぞ。」


ヤド太はヤド爺が指す方へ歩きだした。


******


歩きだして3日、ヤド爺が話していた通り、色々な物が積まれている場所に着いた。


「ここがヤド爺の言っていた場所みたいだな。」


殻山を眺めていると、中腹で動いているヤドカリを見つけた。


「先客がいるんだ…。」


ヤド太は鋏を大きく振ってみた。

すると、気付いたのか鋏を振り返し近付いてきた。


「ヤド太!お前も宿探しか?」


ヤド太は頷く。


「うん、ヤド郎さん、良い殻あつた?」


ヤド郎は、背負った殻を見せた。

それは、小さなアルミボトルだった。


「貝殻じゃないけど、良いのあったぞ。」


ヤド太は殻を見て、首をかしげる。


「それって?」


ヤド郎は殻を叩いて話し始める。


「これは、人間が捨てた物だよ。軽くて丈夫だろ。」


ヤド太はヤド郎の周りを回りながら…。


「良いな~!僕も探してみるよ。」


ヤド郎は頷く。


「俺は、先に帰るから。頑張れ!」


ヤド郎は鋏を振りながら帰って行った。


「さあ、僕も探そう!」


ヤド太は殻山を登りつつ、物色していく。


「これはどうかな?穴の大きさも固さも良いし。」


ヤド太が見つけたのは、牛乳瓶だった。

しかし、入ったのは良かったが、重たくて動けなかった…。


「う、動けない…。」


ヤド太は元の殻に戻り、また探し始めた。


「さっきのより軽いのないかな。」


次にヤド太は、プリンのカップを見つけた。


「穴は大きいけど、軽くて丈夫そう♪」


ヤド太は嬉しそうにお尻を振る。


「獲物発見!」


それを見ていた鱵が、前から突っ込んできた!!


「おっと!危ないな…。」


辛うじて交わすが、鱵のアゴが、カップに刺さり、ヤド太を残し、どこかへ行ってしまった。


「はぁ…。また探すのか…。」


ヤド太は殻を着ないまま、慌てて探し始める。

次に見つけたのは、サザエだった。


「これにしよう♪」


サザエを新しい殻にしたヤド太は、殻山を下りヤド村へ戻って行った。


******


ヤド村へ向かうこと2日、ヤド太は気分良く歩いていると…。

不良ヤドカリのヤド政に出会った。


「よお、ヤド太じゃねえか。」


「ヤ、ヤド政!!」


ヤド太は、震えながら後退りする。


「なに逃げようとしているんだ?」


ヤド政が近づく。


「良い殻じゃないか!俺によこせ!」


ヤド太は首を振る。


「や、やっと見つけたのに嫌だよ…。」


ヤド政はもっと近づいて。


「嫌じゃないんだよ!あそこに2本ある昆布の根元の間を、先に通った方が勝ちな!」


ヤド政は、昆布を指し。


「よーい、どん!」


ヤド太は渋々、走り出した。


「ヤド太!早く追いつかないと、俺の勝ちだぜ!」


ヤド太は少しムッとして、スピードを上げる。

だが先にゴールしたのは、ヤド政だった。


「よし、1番だー!」


その後ヤド太もゴールするも2番だった。


「くそっ!」


ヤド太は腕を地面に叩きつけ悔しがる。


「さあ、ヤド太!その殻をよこせ。」


ヤド政が、ヤド太の殻を指す。


「わ、わかったよ…。」


ヤド太とヤド政は、お互いの殻を交換した。

ヤド政は、お尻を振り。


「こりゃ軽くて良いや。」


ヤド政が使っていた殻は、江戸風鈴だった。

それに乗り換えたヤド太。


「これって何?」


ヤド政は、首を傾げる。


「さあ?貝殻じゃないと思うぜ。」


そう答えながら、ヤド政はどこかに行ってしまった。

ヤド太は、新しい殻を背負ってヤド村へ帰っていく。


******


次の日、ヤド太は無事に、ヤド村に到着した。

そこで、ヤド郎が待っていた。


「ヤド太、おかえり!」


ヤド郎が腕を振り近づく。


「ヤド郎、ただいま。」


ヤド郎はヤド太の周りを回る。


「これが、ヤド太の新しい殻か?」


ヤド太は、頷く。


「うん、ヤド政に競争で負けて…。」


ヤド郎はヤド太の殻を叩いて。


「これ、丈夫で良いと思うぞ。」


「そうかな…。」


ヤド郎は頷く。


「ああ、まずは無事で良かったよ。」


ヤド太は、他のヤドカリ達と仲良く生活していきました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  ヤドカリの気持ちを感じることができました。  アルミボトルが出てきた場面では「人間が無造作にゴミを捨てていく……」と思えて少し悲しくなりましたが、牛乳瓶で重くて動けないというところは、ク…
[気になる点] なぜヤドカリに着目して書かれたのか教えていただきたいです。面白いなあと思ったので、ぜひ理由を教えていただきたいです。 [一言] すごく面白いストーリーでした。私は、絵を描くことが好きな…
[一言] とてもおもしろかったです。
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