ヤドカリの冒険
静かな海の底、ヤド村でヤドカリ達が生活している。
その中に小柄なヤドカリのヤド太が、貝殻を探して旅をしている。
すると目の前に、貝殻を見つけた。
「この貝殻は良さそうだな。」
ヤド太が鋏で、大きさを確認していると、中からヤドカリが出てきた。
「どなたかな?」
中から出てきたのは、ヤドカリのヤド爺だった。
「ヤド太じゃないか!また探しているのか?」
ヤド太は頷き。
「もうお尻が狭くって…。」
ヤド爺が、鋏を東に向けて、話始める。
「あっちの殻山に、空き貝殻が沢山あったはずじゃ。」
ヤド太はヤド爺が指す方を見て。
「ありがとうヤド爺!行ってみるよ。」
ヤド爺が頷きながら。
「気をつけるんじゃぞ。」
ヤド太はヤド爺が指す方へ歩きだした。
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歩きだして3日、ヤド爺が話していた通り、色々な物が積まれている場所に着いた。
「ここがヤド爺の言っていた場所みたいだな。」
殻山を眺めていると、中腹で動いているヤドカリを見つけた。
「先客がいるんだ…。」
ヤド太は鋏を大きく振ってみた。
すると、気付いたのか鋏を振り返し近付いてきた。
「ヤド太!お前も宿探しか?」
ヤド太は頷く。
「うん、ヤド郎さん、良い殻あつた?」
ヤド郎は、背負った殻を見せた。
それは、小さなアルミボトルだった。
「貝殻じゃないけど、良いのあったぞ。」
ヤド太は殻を見て、首をかしげる。
「それって?」
ヤド郎は殻を叩いて話し始める。
「これは、人間が捨てた物だよ。軽くて丈夫だろ。」
ヤド太はヤド郎の周りを回りながら…。
「良いな~!僕も探してみるよ。」
ヤド郎は頷く。
「俺は、先に帰るから。頑張れ!」
ヤド郎は鋏を振りながら帰って行った。
「さあ、僕も探そう!」
ヤド太は殻山を登りつつ、物色していく。
「これはどうかな?穴の大きさも固さも良いし。」
ヤド太が見つけたのは、牛乳瓶だった。
しかし、入ったのは良かったが、重たくて動けなかった…。
「う、動けない…。」
ヤド太は元の殻に戻り、また探し始めた。
「さっきのより軽いのないかな。」
次にヤド太は、プリンのカップを見つけた。
「穴は大きいけど、軽くて丈夫そう♪」
ヤド太は嬉しそうにお尻を振る。
「獲物発見!」
それを見ていた鱵が、前から突っ込んできた!!
「おっと!危ないな…。」
辛うじて交わすが、鱵のアゴが、カップに刺さり、ヤド太を残し、どこかへ行ってしまった。
「はぁ…。また探すのか…。」
ヤド太は殻を着ないまま、慌てて探し始める。
次に見つけたのは、サザエだった。
「これにしよう♪」
サザエを新しい殻にしたヤド太は、殻山を下りヤド村へ戻って行った。
******
ヤド村へ向かうこと2日、ヤド太は気分良く歩いていると…。
不良ヤドカリのヤド政に出会った。
「よお、ヤド太じゃねえか。」
「ヤ、ヤド政!!」
ヤド太は、震えながら後退りする。
「なに逃げようとしているんだ?」
ヤド政が近づく。
「良い殻じゃないか!俺によこせ!」
ヤド太は首を振る。
「や、やっと見つけたのに嫌だよ…。」
ヤド政はもっと近づいて。
「嫌じゃないんだよ!あそこに2本ある昆布の根元の間を、先に通った方が勝ちな!」
ヤド政は、昆布を指し。
「よーい、どん!」
ヤド太は渋々、走り出した。
「ヤド太!早く追いつかないと、俺の勝ちだぜ!」
ヤド太は少しムッとして、スピードを上げる。
だが先にゴールしたのは、ヤド政だった。
「よし、1番だー!」
その後ヤド太もゴールするも2番だった。
「くそっ!」
ヤド太は腕を地面に叩きつけ悔しがる。
「さあ、ヤド太!その殻をよこせ。」
ヤド政が、ヤド太の殻を指す。
「わ、わかったよ…。」
ヤド太とヤド政は、お互いの殻を交換した。
ヤド政は、お尻を振り。
「こりゃ軽くて良いや。」
ヤド政が使っていた殻は、江戸風鈴だった。
それに乗り換えたヤド太。
「これって何?」
ヤド政は、首を傾げる。
「さあ?貝殻じゃないと思うぜ。」
そう答えながら、ヤド政はどこかに行ってしまった。
ヤド太は、新しい殻を背負ってヤド村へ帰っていく。
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次の日、ヤド太は無事に、ヤド村に到着した。
そこで、ヤド郎が待っていた。
「ヤド太、おかえり!」
ヤド郎が腕を振り近づく。
「ヤド郎、ただいま。」
ヤド郎はヤド太の周りを回る。
「これが、ヤド太の新しい殻か?」
ヤド太は、頷く。
「うん、ヤド政に競争で負けて…。」
ヤド郎はヤド太の殻を叩いて。
「これ、丈夫で良いと思うぞ。」
「そうかな…。」
ヤド郎は頷く。
「ああ、まずは無事で良かったよ。」
ヤド太は、他のヤドカリ達と仲良く生活していきました。




